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『汚名「九大生体解剖事件」の真相」(東野利夫著)(文春文庫)を読み終わった。

家の外で読んだのだが移動中はいつもラジオを聞くのだけれど今日は何も聞かなかった。

衝撃が大きく頭を整理したかったからだ。

こんなに身近にこの事件はあった。

東野先生ともお会いしたばかりで先生の戦争を憎む気持ちをお伺いした所なのでこの本を書いてこの事件の真実を歴史にとどめようとされたことがよく分かる。

先生は捕虜が「ここはどこかと聞くので「university」というとすごく安心したような顔で眠った。」と言われていた。 捕虜達にとっていかに「university」という言葉が安らぎを与える言葉であったことか・・・・ この本は恩師の汚名を晴らす為にそして「戦争の真の悲惨と愚劣」を表現するために書かれた本です。

産婦人科を経営しながら休みの度にB29の墜落場所を探して山の中までも行き(この間、先生と会ったという大分の山の中に住んでいる人とも出会った。)19歳の青年の神風体当たり作戦で墜落させられパラシュートで落ち、「実験手術」に遇うことなくただ一人生存しているパイロットにアメリカまでも会いに行っている。 この執念がすごいと思った。

遠藤周作の小説や上坂冬子の本で有名になっている「人肉試食」というのは実は米軍の自白強要による捏造であったことはこの本を読むと良く分かる。

事実その件では挙証できず全員無罪となっている。 本の中から少し紹介します。

「私が、この書で取り扱った首謀者といわれる人たち、パイオニアといわれる人、また軍の権力の操り人形としか思えない悲しいピエロの存在、その人たちが、あの切迫した時代背景の中で、演じたものーそれを深く、裏側から洞察した場合、果たして、彼らは、個人的に裁かれるべき真の悪人だったろうか。

私はだんだん事件の根源へのベールを剥がしていくうちに、そこに戦争の真の悲惨と愚劣が生々しく存在していることが、分かってきた。

この戦争の悲惨と愚劣は、どんなに表現しても、いまの若い世代には分かってもらえないかもしれない。」

ただ一人生存しているパイロット・ワトキンズさんとの対話

東野

「私も当時学生だったが解剖実習室に入って二度、実験手術に立ち合い手伝った。
医師の立場に立って後から考えると、どうして良心が疼かなかった悔やんでいる。
事件に関係した医師の中には心の奥底では今でも罪の意識に苛まれている人もいると聞いている。」

ワトキンズ
「この事件の関係者の中で、まだ胸を痛めている方がおられたら伝えてください。私は決してその方たちに悪い感情など持っていないということを。
死んでいった部下たちはかわいそうだったが、ナチスがやったような残虐な殺され方ではなく、麻酔をかけられてわからないようになって死んでいったのがせめてもの救いです。」

東野
「戦争も末期になると敵も味方も互いに異常なほど狂気に支配されることをこの事件から教えられました。
戦争ほど人間の悲惨と愚劣をみせるものはほかにないと思いました。」

最後に東野さんに託された慰霊碑を作った大分県竹田市の人たちへのワトキンズさんのメッセージを紹介します。
(新婦人新聞でこの関連で東野先生が間接的に紹介されました。)

竹田のみなさまへ

“殉空の碑”の慰霊祭は祖国の安寧のために尊い生命を捧げた御霊を想起し、あの忌まわしい戦争の悲劇を考えさせる良い機会だと思います。
私はこれらの御霊に深い感銘と悲しみを覚えるのであります。
今まで国家と国家の間には幾多の戦争があり、そのたびに沢山の尊い生命が失われていきました。

私、マービン・S・ワトキンズは1945年5月5日、九州に飛来したB29の機長として、竹田市のみなさまに私の部下と日本の少年航空兵を追悼する合同の慰霊碑を建立して下さったことに深く感動し、そのご努力に感謝いたします。

日米両国の今日の平和と友好の陰には生命を捧げて礎となった犠牲者があることをわたくしたちは決して忘れてはなりません。

過去36年にわたって共に享受してきたこの友好を日米両国の者が、今後とも末永く維持するよう心からお祈りいたします。

1981年5月5日 元B29機長 マービン・S・ワトキンズ

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コメント

日本国憲法擁護連合さん
コメント有難うございます。
>日本が戦争に巻き込まれる論よりも、むしろ日本が自衛という名のもとに、率先して侵略戦争を起こすことにならないよう、現行の日本国憲法を絶対に変えさせてはならないと私は考えています。それが、アジアと日本の戦争被害者にたいする私たちの責任ではないかと思います。
全く仰せの通りだと思います。

九大生体解剖事件のエントリーはとても重要だと思いました。事実として、生体解剖の責任は、戦争責任として処罰されておりません。通説では、アメリカ軍に生体解剖の諸結果や細菌研究を提出して処罰を逃れたといいます。
このことにわれわれ日本人は、戦争責任としておさえておかなければ、ふたたびアジアへ侵略戦争をしかけていく可能性があるといえるでしょう。そんな時代だからこそ、過去の戦争を賛美する勢力が登場しているわけです。
日本が戦争に巻き込まれる論よりも、むしろ日本が自衛という名のもとに、率先して侵略戦争を起こすことにならないよう、現行の日本国憲法を絶対に変えさせてはならないと私は考えています。それが、アジアと日本の戦争被害者にたいする私たちの責任ではないかと思います。

美爾依さん
長文を読んでいただいてコメント頂いて有難うございます。
この記事は実はこの夏に書いた物で消失した前のブログに書いたものです。
九大同窓生九条の会のブログに寄稿していたものを再掲したものです。
この事件は戦後日本の二大秘話の一つとしてこの8・6のテレビで鳥越俊太郎さんのザ・スクープに取り上げられました。

大津留さん、
コメントありがとうございました。「九大生体解剖事件」の感想を面白く読ませていただきました。戦争は本当に人類を滅亡に導く悲惨なものですので、絶対に日本が戦争に巻き込まれないよう、九条を守らなくてはなりませんね。

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