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再度フラガール!

フラガール!についてはすでにフラガール賛歌で書きましたがM男さんからも寄せられたので掲載します。
このブログはM男さん映画評論ブログでもあります。

「当時はこうして周りのみんなから信頼される人間になることが人生の最大公約数的な目標ではなかったか。決して、金持ちになること、勝ち組になることではなかったような気がする。子どもが生まれ、成長し、結婚し、孫が生まれる。親は子の成長に喜びを見出し、子どもも親の願いに応えようとした。そのために、一所懸命働いた。働くことによって、自分の成長と家族の幸せと戦後の復興がイクオールで結ばれているという誇りがあった。だから、仕事や生活の空間には良くなろうという意欲と充実感がみなぎっていた。」

最近の教育の問題事件を見るたびに「地域の教育力」という言葉を思う。
子どもは近所のおじさんや友達自身が教育していた。
昔の親は教育に今ほど関心がなかった。

自分もテストの前にあそんでいたら「中学校になったら試験の前は勉強するものだ」と近所のお兄ちゃんに言われた事を覚えている。

教育基本法や憲法九条があったから日本は戦後犯罪が一路減ってきた。
教育基本法に濡れ衣を着せてはいけない!
真犯人はほかにいる。

フラガール!から離れてしまった。
昭和三十年代が時代背景の映画が多かったのが確かに今年の特筆すべき事だろう。
私もフラガール!を今年のトップグループに評価する。
今年の自分ランキングを作ってみたい。
皆さんのランキングも教えて下さい。

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以下M男さんの映画「フラガール!」評論です。

シネマぶらり観て歩き(94)

 フラガール
                                    邦画

福岡市内ではとうに上映が終了していた。是非とも、スクリーンで観たくて晩秋の冷たい雨がふる飯塚市まで追っかけた。
観客は3人。カメラは傾斜の鋭いボタ山をとらえ、昭和30年代の炭鉱風景を映し出す。規則的にならんだ炭住。写真家・土門拳の「筑豊の子どもたち」と映画がだぶる。一歩踏み入るとエネルギッシュで猥雑な音が聞こえてきそうだ。住んだ経験はないのに何故か懐かしい。
舞台となる常磐炭鉱(現いわき市)には時代の荒波が押し寄せていた。京浜工業地帯に石炭を運び、戦後の復興をエネルギーで支えてきたが、世界は石炭から石油へ大きく転換し、まさに瀕死の状態にあった。
荷台に若い女を乗せた耕運機が田んぼ道を行く。女は平山まどか(松雪泰子)。派手な服に身を包み、相当酔っ払っている。閉山する炭鉱会社が湧き出る温泉を利用した“楽園ハワイ”でフラダンス・ショーを立ち上げるために、SKD出身のまどかを技術指導に呼んだのだ。この時代、農村の子が都会に出ることはあっても、都会から田舎にくることはなかった。会社は地元の娘たちを踊り子として募集し、谷川紀美子(蒼井優)、木村早苗(徳永えり)、熊野小百合(山崎静代)らが応募した。しかし、先祖代々、炭鉱とともに暮してきた住民は計画が受け入れられず、まどかや練習する娘たちに辛くあたった…。
まどかは異邦人であり、来るべき時代への不安の象徴でもある。 映画はパンチの効いたこの導入からラストまで一気に観させる。結論から言えば、今年(11月まで)の私のベストである。
シンプルなストーリー、軽快なテンポ、歯切れのよい台詞、カタルシス…この作品は優れた映画のエキスを凝縮している。小説でいう“箱書き”部分にそれぞれ見せ場があって、笑わせ、泣かせるのだ。まどかがフラの練習に通う早苗を殴った父親を追い、男湯に飛込むシークエンスがある。立ち昇る湯気、呆気にとられる男たちを尻目に啖呵を切るまどかの姿は日頃のうっぷんを吹き飛ばす爽快さがある。ここは、見せ場であり、監督にとっては「してやったり」の所だろう。しかし、あざとさを感じない。そこは観る側に委ねて先へ先へと進む感覚が新鮮だ。
出会い、別れ、屈辱、達成…観客は人生そのもののような幾つかの感情を体験し、最後には涙でぐしょぐしょにさせられる(観てのお楽しみ)。“ドラマは葛藤である”とは使い古された言葉だが、この作品は葛藤を縦に連ね、横に斜めに重ねながら観客を監督・李相日(リ・サンイル)ワールドに引き込む。
最近、昭和30年代―40年代を舞台にした作品がうけている。「Always 三丁目の夕日」が火付け役だろうか。「佐賀のがばいばぁちゃん」がヒットし、「東京タワー オカンとボクと、時々オトン」(リリー・フランキー)も映画化されるという。監督が必ずしも、この時代を知っている訳ではないところが面白い。
人はこの時代の何に魅かれるのだろう。
小津のあまりにも有名な作品に「東京物語」がある。子どもたちに会うために上京の準備をしているところに、窓から近所のおばさんがぬっと顔を出し、「お出かけですか」と尋ねる。(*正確ではない)現在の近隣関係では考えられない異状接近だ。余計なお世話であり、突然、家を覗かれたなら、プライバシー侵害云々となる。しかし、当時、隣人との関係は煩わしいものとしてではなく、住民同士の付き合いとして普通のことであった。頼るべきは「遠くの親戚より、近くの他人」なのである。住民同士が生活を助け合い、仕事をもやい、そこで生まれた子どもたちは言わば地域住民の共同の子孫だった。だから、悪い行いをしたら他人の子でも叱った。今風に言えば、成熟したコミュニティが形成されていたのだ。常磐炭鉱も他のヤマと同じく、「一山一家」である。先祖代々、人々はヤマで生計を立て、住民は一つの家族のごとき紐帯で結ばれていた。
スクリーンの上で、登場人物たちはしばしば罵り合い、つかみ合い、派手に喧嘩する。しかし、楽園の椰子の木が寒さで枯れそうになった時、住民たちが灯油ストーブを持ち寄って危機を救ったように、根底には住民同士の信頼関係があった。
思うに、当時はこうして周りのみんなから信頼される人間になることが人生の最大公約数的な目標ではなかったか。決して、金持ちになること、勝ち組になることではなかったような気がする。子どもが生まれ、成長し、結婚し、孫が生まれる。親は子の成長に喜びを見出し、子どもも親の願いに応えようとした。そのために、一所懸命働いた。働くことによって、自分の成長と家族の幸せと戦後の復興がイクオールで結ばれているという誇りがあった。だから、仕事や生活の空間には良くなろうという意欲と充実感がみなぎっていた。当時の映画を観て今と違うなと思うのは俳優の眼の光だ。
「三丁目の夕日」のラストシーンは象徴的である。3人の家族が沈み行く夕日を眺めている。このきれいな夕日は明日も50年後もずっと変わらないだろうという未来への思いが伝わってくる。我われがこのシーンに感動するのは、その後、良いことばかりではなかったことも知った上で、希望を持って生きることに対する無条件の肯定なのだ。
そして、今作品では幾多の困難を経てオープンしたステージで、見事に踊りきった彼女たちの底抜けに明るい笑顔がこれに相当する。やり遂げた自信と将来への希望がスクリーンから溢れ出す。
(*最近、政府首脳が「三丁目の夕日」に登場する家族・住民の連帯感を「美しい」と褒め上げている。しかし、この人間同士の関係性を壊してきたのは構造改革を貫く市場原理主義であり、一方で分断と競争を煽りながら、もう一方で互助を美徳として説くのはいかにも空々しい)
館を出ると、あたりは真っ暗になっていた。人気のない通りの駐車場で料金を払うと、係りの老人が「有難うございました」と丁寧にお礼をした。久し振りにきちんとしたお礼を見て、一瞬、映画のなかに居るような錯覚にとらわれた。
                                    (M男)
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