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九大同窓生九条の会のブログに前のブログに書いた『汚名「九大生体解剖事件」の真相』の感想文が引用されていましたので再掲します。


遠藤周作原作の「海と毒薬」のDVDの感想文を書かれた土佐高知の雑記帳さんに捧げます。

「汚名」の著者の東野利夫さんは「海と毒薬」は全く事実ではないと言われてました。

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悲惨と愚劣(『汚名「九大生体解剖事件」の真相』を読んで)

感想・レビュー / 2006-07-26 00:21:05

『汚名「九大生体解剖事件」の真相」(東野利夫著)(文春文庫)を読み終わった。
家の外で読んだのだが移動中はいつもラジオを聞くのだけれど今日は何も聞かなかった。
衝撃が大きく頭を整理したかったからだ。
こんなに身近にこの事件はあった。
東野先生ともお会いしたばかりで先生の戦争を憎む気持ちをお伺いした所なのでこの本を書いてこの事件の真実を歴史にとどめようとされたことがよく分かる。
先生は捕虜が「ここはどこかと聞くので「university」というとすごく安心したような顔で眠った。」と言われていた。
捕虜達にとっていかに「university」という言葉が安らぎを与える言葉であったことか・・・・
この本は恩師の汚名を晴らす為にそして「戦争の真の悲惨と愚劣」を表現するために書かれた本です。
産婦人科を経営しながら休みの度にB29の墜落場所を探して山の中までも行き(この間、先生と会ったという大分の山の中に住んでいる人とも出会った。)19歳の青年の神風体当たり作戦で墜落させられパラシュートで落ち、「実験手術」に遇うことなくただ一人生存しているパイロットにアメリカまでも会いに行っている。
この執念がすごいと思った。
遠藤周作の小説や上坂冬子の本で有名になっている「人肉試食」というのは実は米軍の自白強要による捏造であったことはこの本を読むと良く分かる。
事実その件では挙証できず全員無罪となっている。

本の中から少し紹介します。

「私が、この書で取り扱った首謀者といわれる人たち、パイオニアといわれる人、また軍の権力の操り人形としか思えない悲しいピエロの存在、その人たちが、あの切迫した時代背景の中で、演じたものーそれを深く、裏側から洞察した場合、果たして、彼らは、個人的に裁かれるべき真の悪人だったろうか。
私はだんだん事件の根源へのベールを剥がしていくうちに、そこに戦争の真の悲惨と愚劣が生々しく存在していることが、分かってきた。
この戦争の悲惨と愚劣は、どんなに表現しても、いまの若い世代には分かってもらえないかもしれない。」

ただ一人生存しているパイロット・ワトキンズさんとの対話
東野「私も当時学生だったが解剖実習室に入って二度、実験手術に立ち合い手伝った。
医師の立場に立って後から考えると、どうして良心が疼かなかった悔やんでいる。事件に関係した医師の中には心の奥底では今でも罪の意識に苛まれている人もいると聞いている。
ワトキンズ「この事件の関係者の中で、まだ胸を痛めている方がおられたら伝えてください。私は決してその方たちに悪い感情など持っていないということを。
死んでいった部下たちはかわいそうだったが、ナチスがやったような残虐な殺され方ではなく、麻酔をかけられてわからないようになって死んでいったのがせめてもの救いです。
東野「戦争も末期になると敵も味方も互いに異常なほど狂気に支配されることをこの事件から教えられました。
戦争ほど人間の悲惨と愚劣をみせるものはほかにないと思いました。」

最後に東野さんに託された慰霊碑を作った大分県竹田の人たちへのワトキンズさんのメッセージを紹介します。
(新婦人新聞で紹介されたのはこのことだと思います。)

竹田のみなさまへ
“殉空の碑”の慰霊祭は祖国の安寧のために尊い生命を捧げた御霊を想起し、あの忌まわしい戦争の悲劇を考えさせる良い機会だと思います。
私はこれらの御霊に深い感銘と悲しみを覚えるのであります。
今まで国家と国家の間には幾多の戦争があり、そのたびに沢山の尊い生命が失われていきました。
私、マービン・S・ワトキンズは1945年5月5日、九州に飛来したB29の機長として、竹田市のみなさまに私の部下と日本の少年航空兵を追悼する合同の慰霊碑を建立して下さったことに深く感動し、そのご努力に感謝いたします。
日米両国の今日の平和と友好の陰には生命を捧げて礎となった犠牲者があることをわたくしたちは決して忘れてはなりません。
過去36年にわたって共に享受してきたこの友好を日米両国の者が、今後とも末永く維持するよう心からお祈りいたします。1981年5月5日
元B29機長
マービン・S・ワトキンズ

関連情報を二つ紹介します。
7.30(日)14時から 東野利夫講演会 於)福岡市早良区早良市民センター (藤崎駅直結)
8.6(日)14時から(KBC九州朝日放送他テレビ朝日系放送 ザ・スクープスペシャルにて東野利夫VS鳥越俊太郎対談)あり

大津留公彦のブログより
以上です

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コメント

三毛猫さん
コメントありがとうございます。
日本の15年戦争は強いられたものではなく軍部と財界の起こした侵略戦争です。
それをどの総理も認めず日本はドイツと違い戦犯の子孫が政治の中枢にいます。東条内閣の商工大臣で戦犯だった岸信介が総理になったのはその象徴であり、その孫が今総理をやっているのは日本の戦前との連続性を示す日本の不幸の最たるものです。

東野先生は博多の六本松の東野産婦人科に行けば会えます。

このB29に乗った人々は、名古屋等の都市を無差別爆撃し、多くの非戦闘員を殺害しました。B29に体当たりした19歳の少年が、可哀そうです。日本は、ABCDの経済封鎖で、戦争に巻き込まれてのです。戦争をするなら、必ず勝たねばならない。歴史を作るのは、勝者の側ですから。たとえ、敗者が、国際法を守り、勝者が破っても、勝者のいいように歴史は、書き換えられてしまうのですから。今日NHKで九大病院の実験について見ました。東野氏の努力に感謝します。私は、遠藤周作の小説しか知らなかったからです。東野氏にお会いしたいと思いました。

常識では考えられないことが常識となって横行してしまう戦争というものの残虐性。忍び難い恨みさえも許すことのできる高貴な心。同じ人間の中に宿るものの幅広さに、言葉を失う思いです。

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