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投稿頂いているM男さんの映画評論です。
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シネマぶらり観て歩き(98)

     ドリームガールズ
                                  アメリカ

1962年、シカゴに住むエフィー(ジェニファー・ハドソン)、ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)の黒人の仲良し3人組は「ドリーメッツ(夢と出会う)」という名のボーカルトリオを結成し、デトロイトのオーディションに挑戦するが失敗する。しかし、彼女達の才能に目を留めたカーティス(ジェイミー・フォックス)は強引なやり方でスーパースターであるジェームス(エディ・マーフィ)のバックコーラスとしてデビューさせる。黒人への偏見が強い時代だったが、彼女らのパワフルな歌はやがて熱狂的に迎え入れられるところとなり、チーム名もドリームガールズと変えた。しかし、メンバーたちはその栄光の座とひきかえに多くのものを失っていった…。(注:結末に触れている)
館を出てからもパンチの効いたロックのリズムや情熱的なヴォーカルが体に残る。強烈なライト、跳ねる肉体、斬新なファッション…60年代のまばゆい光が次々と観客席に差し込む。
光は闇を伴う。華やかさの裏面には陰がある。この作品が描いたのは人間の孤独である。
バックコーラスで大当たりしたとはいえ、太っちょエフィーの願いはステージの真ん中で好きな曲を歌うことだった。ポップス路線に食傷気味の彼女はバックコーラスに満足しているディーナやローレルたちとしっくりいかず、挙句は舞台をすっぽかす。マネージャーのカーティスとの愛にも破局が訪れ、彼は美人ディーナのもとに行く。カーティスは舞台に立たないエフィーの代わりには事務員として雇ったミシェル(シャロン・リール)を歌手に仕立て上げる。しかし、エフィーにはカーティスの子が宿っていた。
「自分の可能性を試したい。それも、片田舎ではなく大都会で認められたい」
いつの時代もこの1行に若者の願いが凝縮されている。実際に夢を叶えられるのはほんの一握りの人だ。成功した人が必ずしも実力を伴っているとは限らない。成功者とはチャンス、コネ、時流などの全てを運よく引き寄せられた人だ。だから、舞台裏には蔑み、嫉妬、奸計が渦巻く。そんな世界にあってエフィーは歌に対する自分の信念を貫く。貫くが故に舞台から消える。(消えるが故に観客の意識にとどまる)
美貌と歌唱力により時代の寵児となったディーナは迷っていた。カーティスと結婚し、何不自由なく暮していたものの、求めていたものとは違っていた。それは、何だろうとの思いが日々募っていく。
スーパースターのジェームスは栄誉に包まれながら、時代が求める音楽についていけなかった。彼はレイ・チャールズがそうであったように、孤独に負けて麻薬に手をだし、悲劇的結末を迎える。金や女、まして薬がこころの空洞を満たすことはなかった。
こうして、作品から原色の色彩にあふれた映像や音楽を剥ぎ取った後、見えて来るのは人間の心の深層である。順境や逆境のなかで人は自堕落になったり、あるいは見事な復活を果たしたりする。その心の分水嶺はどこにあるのだろうか。
だれでも人は自分の内に「もう一人の自分」を持っている。これはやっかいな隣人で、辛い時、「へこたれるな」と励ますかと思うと、「サボったら」と誘惑したりする。だれもがこのもう一人の自分に手を焼きながら常に対話している。この対話を止めた時、人は真の孤独に陥る。そこは葛藤のない闇の世界であり、自己意識を無くしたという意味では人間から獣(beast)への退行でもある。(ぶらりNo.71「五線譜のラブレター」参照)この深淵から救い出すことができるのは家族や真の友人だ。しかし、ジェームスはもはや、心の友を失っていた。
ディーナは歌だけでなくカーティスとの生活にも行き詰まっていた。別れる決意を固め、机を整理しようと引出しを開けた時、エフィーの写真に目が留まった。
「彼女に会いたい」
自然な気持ちが湧いてきた。エフィーの歌にかける情熱や姿勢はずっとディーナの心に棲みついていたのだ。それは彼女が対話し続けたもう一人のディーナでもあった。
終章。ドリームガールズの解散公演。
「メンバーは実は4人でした」
ディーナが紹介し、登場するエフィー。エフィーはデトロイトでカーティスの子を生み、一人で育てながら歌手として立派に復活していた。4人の力強いヴォーカルが観客席を圧倒する。ミュージカルならではの見事なラストである。
伝説のブロードウェイミュージカルの映画化。監督・脚本は『シカゴ』で脚本を担当したビル・コンドン。第79回アカデミー賞でエフィー役のジェニファー・ハドソンは助演女優賞を、ジェームス役のエディ・マーフィが助演男優賞を受賞した。グラミー賞受賞者のビヨンセ・ノウルズがディーナ役として歌とファッションを見せているが、パンチある歌声と純朴な役柄が絶妙にマッチしたジェニファーが並外れた迫力でビヨンセを後景に追いやっている。脇をジェイミー・フォックス(「Ray/レイ」を想い出す)やエディ・マーフィなどの実力俳優が固める。また、デトロイト暴動、公民権運動、ベトナム戦争などの時代背景が進行に合わせて描きこまれ、物語に奥行きを与えている。
 
                                    (M男)

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