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2007年6月15日 (金)

シネマぶらり観て歩き100回記念 日本の青空

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M男の映画評論100回記念です。
このブログでは途中からしか中継してないがM男さんの継続的な努力に敬意を表します。
今やこのブログは何割かはM男さんのものです。
この映画評論はネタバレ評論です。
ネタバレがいやな人はスルーしてください。

M男さんと一緒に話を聞いた早稲田大学法学部教授 水島朝穂さんの言葉も紹介されています。

国民の側から正確に言えば「憲法を守る」ではなく、国や自治体に「守らせる」ということであり、それにより、国家権力を縛り、個人や人権を尊重させるということになる。

ジェームス三木さんの言葉も紹介されている。

文化や技術には国境がない。今、実施しようとしている日本国憲法改正こそ、アメリカ政府が望んでいるものだ

城山三郎さんの言葉も紹介されている。

戦争で得たものは『憲法』だけ。

M男さんの「ぶらり」映画宣言はこうだ。

私は「ぶらり」を書く際、無意識に憲法を意識してきたように思う。もし、他人から「なぜ、映画を観るのか」と問われれば、「おかしくならないため」と答える。映画はおかしくならないための姿見であり、生きることの一部である。

ではどうぞ。

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シネマぶらり観て歩き(100)
                           
                                   邦画

中山沙也可(田丸麻紀)は販売部数減少が続く雑誌「月刊アトラス」の派遣社員。編集部は復活をかけて「特集・日本国憲法の原点を問う!」を企画する。編集部員たちが白洲次郎やベアテ・シロタ・ゴードンなどの有名人を企画する中、沙也可は母(岩本多代)の助言により、全く名を知らなかった憲法学者・鈴木安蔵(高橋和也)の取材を進める。安蔵の娘・ 子(水野久美)と潤子(左 時枝)の取材を通じ、自由主義的な思想への弾圧下で在野の憲法学者として信念を貫いた安蔵の姿を知る。安蔵を支えたのは妻・俊子(藤谷美紀)だった。
 敗戦、新しい民主国家の建設に向けて知識人たちが行動を開始する。鈴木安蔵は高野岩三郎(加藤剛)、森戸辰男(鹿島信哉)、室伏高信(真実一路)、岩淵辰雄(山下洵一郎)、杉森孝次郎(坂部文昭)らと民間の「憲法研究会」を結成した。天皇を主権者とした大日本帝国憲法に変えて、国民が主権者になる新憲法を自分たちの手でつくろうという意気込みに溢れた集団であった。
日本政府が作成した憲法草案は大日本帝国憲法と似通ったものでGHQは採用を拒否。逆に「憲法研究会」の草案は高く評価され、GHQ案に多大な影響を与えた…。

映画は、連合軍の押し付け憲法という批判に応える作品。現憲法は占領下に生まれたが、下敷きになったのは鈴木安蔵ら民間人の「憲法研究会」が作った草案であったという歴史的事実を明らかにする。

一般に憲法はどのようなイメージで捉えられているのだろうか。早稲田大学法学部教授 水島朝穂は平明にこういう。
「憲法とは、国民が国家権力の暴走を抑え、それを制限する規範である。これが根本理念である『立憲主義』です。…ところが、小学校や中学の授業などで『憲法とはなんですか』と子どもに聞かれると、『みんなで守らなければばらない一番大切なきまりですよ』と言ってしまう先生が多いんですね。この『みんなで守る』という言い方によって、あたかも国民を縛る道徳や法律のように錯覚されているのです。日本の憲法教育は、こういう物言いで教えてきたのです」(「憲法『私』論」小学館2006)
国民の側から正確に言えば「憲法を守る」ではなく、国や自治体に「守らせる」ということであり、それにより、国家権力を縛り、個人や人権を尊重させるということになる。水島は植木枝盛やジェファーソンの「世に良い政府などない」という言葉を引き、くれぐれも権力に優しい憲法など作ってはならないと言う。
*この稿を書いている時に自衛隊情報保全隊による国民の平和運動などの系統的監視が発覚した。政府・防衛省はこれを正当な情報活動だと釈明したが、これは、集会、結社および言論、出版などの表現の自由を保障した憲法第21条などに明白に違反する行為である。改憲論者は現憲法にプライヴァシー権の項がないなどを理由にしているがいかにも空々しい。
押し付け論に関しては、脚本家のジェームス三木さんが「福岡県九条連絡会」主催の憲法講演会(5/3)で面白いことを言った。
「改憲勢力は現憲法を占領軍の押し付けなどと言っているが、日本は昔から政治、経済、文化など海外から取り入れてきた。『大宝律令』は中国・漢の律令が元だし、明治憲法も伊藤博文がドイツから持ってきたもの…フランス人権宣言はアメリカの独立宣言のパクリだと言えなくも無い。そもそも、文化や技術には国境がない。今、実施しようとしている日本国憲法改正こそ、アメリカ政府が望んでいるものだ(要旨)」。痛快である。
沙也可の調査とともに、映画の後半は「憲法研究会」メンバーと政府側草案作成メンバー、GHQの3極構造で進行する。
憲法研究会(会長 高野岩三郎 元東大教授・NHK初代会長)の7人はそれぞれ、思想・立場は異なるが全員が戦時中、軍部に弾圧された経験を持つ。その経験から、彼らは確固たる決意をもって新生日本の骨格(Constitution 憲法には構造などの意味もある)案を造る。大人の風格があり、実に格好良い。日本の映画で中年男が活躍する映画はめったにないが、まさに「7人の怒れる男たち」だ。
彼らの案には、明治時代初頭の自由民権運動の思想家・植木枝盛まで遡る日本の人権思想が脈々と流れていた。1946年1月11日、草案を読んだGHQ民生局法規課長ラウレル陸軍中佐はなかば驚き、「民主的で受け入れられるものである」(democratic and acceptable)と高く評価した所見を民生局局長と連名で総司令部に送り、GHQ案に反映されることになる。
一方、GHQは政府側の草案を、明治憲法と大して変わらない陳腐な内容として拒否。GHQ案作りの過程では、おなじみのベアテ・シロタさんが「第24条 男女平等」を強く主張する場面が登場する。今日でも若々しいが、知的で美しい。こうして、日本の智恵と集められた世界の憲法の最良部分が融合し、結晶したのが現憲法である。世界的視野でみると「人類普遍の原理」や「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」が国境を越え、日本に根を下ろしたことになる。
改憲派は憲法が英文の翻訳だということを言う。私は翻訳物に抵抗がない方だが、オーソドックスな日本語だから良いということにもならない。社会保障に関係が深い第25条を鈴木らの「憲法草案要綱」と比較してみよう。前述のように良く似ている。

【憲法草案要綱】
1. 国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス
1.国民ハ老年疾病其ノ他ノ事情ニヨリ労働不能ニ陥リタル場合生活ヲ保証サルル権利ヲ有ス
【日本国憲法】
第25条
① すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

現憲法は日本政府がGHQ案をひらがな・口語体に翻訳したものだが、文語体の「憲法草案」に比べ、明快さ、力強さを感じる。(そういう世代なのかもしれないが)
私は個人的には「宣言文」の体裁をとった前文が好きである。国際平和と人間主義を謳いあげて格調高い文学の趣があり、「われらは…思う」(We desire)「われらは…信ずる」(We believe)と主人公(国民)が一人称で登場し、精神の昂りを覚える。
私は「ぶらり」を書く際、無意識に憲法を意識してきたように思う。もし、他人から「なぜ、映画を観るのか」と問われれば、「おかしくならないため」と答える。映画はおかしくならないための姿見であり、生きることの一部である。映画のテーマを考えていくと、平和や生命の絶対的価値、個人・自由の尊重など人間にとって幸福とは何かという普遍的内容に行きつくのだ。どのような芸術も本来そうなのかもしれない。
九条改憲の動きがにわかである。3月に73歳で亡くなった作家 城山三郎さんは「戦争で得たものは『憲法』だけ」が口癖だったという。(5/22「日経」夕刊、佐高信の弔辞)尊い犠牲を払って得たものを我われの世代で失ってはならない。
監督は「GAWA-月桃の花」「アイ・ラヴ・ユー」などの大澤豊。タイトルは8月15日の澄み渡った青空を新生日本の象徴としたもの。独立系作品で全国を自主上映中。
                                       (M男)

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