トルコの狙いはキルクック
私は嘗てイラクに住んだことがあります。
それもクルドの問題で話題になっているキルクックに。
前にその体験を講演したことあがりそれはブログ記事に残っています。
講演録はここに格納しています。
田中宇の国際ニュース解説 2007年10月30日 http://tanakanews.com/
からイラククルド問題箇所を引用します。
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★大戦争になる中東(4)
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中東では今、3つの地域で、新たな戦争が起こりそうな瀬戸際の状態にある。
一つ目は、アメリカによるイラン攻撃の可能性。二つ目は、トルコ軍が北イラ
クのクルド人地域に侵攻し始めていること。三つ目がイスラエル・パレスチナ
で、11月初旬にアメリカのメリーランド州アナポリスで行われる中東和平会
議が失敗して、パレスチナで蜂起が起こり、イスラエル軍とパレスチナ人武装
組織の間で戦争になり、イスラエル・レバノン間と、イスラエル・シリア間の
戦争をも誘発する可能性である。
以下イラク関係のみ
トルコ軍の北イラク侵攻は、名目的には、北イラクを拠点にトルコで破壊活
動を展開しているクルド人武装組織PKK(クルド労働党)の本拠地を越境攻
撃するのが目的だ。だが実質的には、イラクにおけるアメリカ支配が弱まる中
で、北イラクのクルド自治政府が分離独立する傾向を強めているため、トルコ
軍がそれを実力で阻止し、大油田地帯のキルクーク周辺がクルド人の手に落ち
るのを防ぐのが、越境攻撃の真の目的である。
http://www.todayszaman.com/tz-web/detaylar.do?load=detay&link=125672
トルコが戦いそうな真の敵は、3000人程度の兵力しかないPKKではな
く、40万人の兵力を持ち、米軍から武器と訓練を伝授されたクルド自治政府
の軍隊「ペシュメガ」である。
トルコの北イラク侵攻も、これまで安定していた北イラクを戦場にしてしま
うという点では大惨事だが、広域的な落としどころは見えている。トルコは
NATOに加盟するアメリカの同盟国である。北イラクのクルド自治政府は、
イラク占領で最もアメリカに協力してくれている勢力であるが、ブッシュ政権
はクルドの分離独立には反対している。2者間の戦争は、アメリカにとって
仲間どうしの戦争だが、米政府は「戦争するな」と言うばかりで、有効な仲介
策も打てず、無策の状態にある。
そして、アメリカ以外の関係諸国はすべて、トルコの味方である。トルコと
同様にクルド人の独立運動に悩まされてきたイランとシリアはトルコの侵攻を
支持しており、イラクの中央政府もシーア派主導でイランの影響力が強いので、
トルコとクルドが本格戦争に入れば、関係諸勢力はイラクの統一を維持するた
め、トルコに味方する方向で仲裁に入ることになる。最終的に、クルド人は黙
らされ、独立の夢は潰される可能性が大きい。
http://news.yahoo.com/s/afp/20071017/wl_mideast_afp/turkeyiraqkurdsunrestsyria
クルドについては、米イスラエルの諜報機関の動きに詳しいセイモア・ハー
シュが「PKKは間接的に、米とイスラエルに支援されている」と指摘した。
米・イスラエル軍の諜報機関は、占領下の北イラクからイランに潜入して破壊
活動を行うクルド人テロ組織PJAK(クルド自由党)を支援してきたが、
PJAKとPKKは、指導者と基地を共有する事実上の同一組織であり、米イ
スラエルは間接的にPKKを支援していることになると、ハーシュは指摘して
いる。
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=28988§ionid=3510203
これとは別に、PKKの掃討を進めるトルコ軍が、これまでにアメリカ製の
武器(軽火器)1290丁をPKKから押収しているという情報も出てきた。
これらの武器は、アメリカ兵がイラクのブラックマーケットに不正に売却し、
それをPKKが買ったという流れで、トルコ政府の抗議を受け、米の国防総省
とFBIが捜査を開始したという。だが、国防総省は、イラクに持ち込んだ3
7万丁の軽火器のうち3%しか製造番号をデータベース管理しておらず、PKK
に流れた武器を米軍の誰が売ったのか、わからない状態だ。
http://www.antiwar.com/justin/?articleid=11828
米とイスラエルの軍事諜報機関は、フセイン政権時代から、イラクの政権転
覆のために北イラクのクルド人を支援していたことが知られている。彼らは米
イスラエル政界の右派の代理勢力であり、米とイスラエルの敵を強化する作戦
を繰り返している。彼らがPKKを動かしてトルコを挑発しているのだとした
ら、それはトルコを親米から反米に転じさせ、イランやシリアの仲間にしてし
まおうとする作戦である。
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