若者は「母べえ」を受け入れるか
映画「母べえ」を見た。
終わった後に隣の妻も回りのみんなも泣いていた。
私もウルウルしていた。
たんたんと戦時中の庶民の生活を描き戦後の最後のシーンで「、「(父べえに)あの世でなんか会いたくない。生きている父べえに会いたい」と死に行く母べえが言う。
拷問や弾圧のシーンはなかったがこみ上げてくる戦争への怒りを見る者が共有できる。
しかしそういうシーンがないので父べえの事が若い人には理解しにくいかもしれない。
(観客は多かったが残念ながら若い人はほとんどいなかった)
山田洋次はNHKテレビの「100年インタビュー」という番組で『母べえ』の製作動機について「〈銃後〉を語り残すことが自分の世代の責務」だと語っている。
その心意気にエールを送ります。
静かな怒りを湛えた映画になっているのです。
ラストシーンの戸田恵子(照べえ)の演技は少し違和感があったが、私はこの映画は日本映画史に残る成功した映画だと思います。
このブログの「M男の映画評論」では「吉永小百合の10歳の子の親」が議論になった。
幾つかのブログを見たがそれ以外にも賛否両論がこの映画にはあることが分かった。
多くの人は絶賛だと思うので疑問を挟んでいる人の意見を紹介して意見交換ができればと思います。
A.リベラル21というブログで半澤健市 (元金融機関勤務)という人の書いている文章が気になった。
以下の通りです。
2008.02.13 神々しい吉永小百合だけでよいのか
《二つの問題点―「神々しさ」と歴史の速さ》
それを二つの角度から言いたい。
一つ。『母べえ』の原作者野上照代の自伝『蜥蜴の尻っぽ』(文藝春秋・2007年)によれば「母べえ」一家の実像は次のようであった。「父べえ」は拘置所で転向して釈放される。戦後は共産党に入り著述、翻訳を業としながら政治活動にも関わった。死の直前には神戸大教授の席を得ている。一方、映画と逆に「母べえ」は1954年、「父べえ」より早く結核で死んだ。疲労が重なったのであろうという。「父べえ」は「母べえ」の生前から別の女性と関係があり家庭内に問題を起こした。その女性と再婚した「父べえ」も57年にもガンで死ぬ。私はその事実を描かないから映画がダメだというほど野暮ではないが、やはり美化が強すぎるという印象は捨てがたい。野上の原作のためでもあることは勿論である。山田洋次は松竹の元同僚渡辺浩との対談(『キネマ旬報』08年2月上旬号)のなかで、「〈父べえ〉に生きて会いたかった」という「母べえ」の最後のことばが必要だったことを強調している。だが私は、戦後が描かれていない「母べえ」に、死の床でそれを言わせるのは唐突であると思うのである。
(原作者の野上照代さんは、戦後、日本共産党に務めています)
二つ。2008年の現実にこの美しい映画は向きあうことができない。 2008年の現実とは何か。教員組合の集会は裁判所の後ろ盾があっても会場が確保できない。街宣車への敗北である。君が代・日の丸に「敬意を表さない」教員が罰せられる21世紀は、映画の描いた祝祭日の小学校講堂の場面とどこが違うのか。政府のアメと鞭によって岩国市民は米艦載機基地受入問題で膝を屈した。このような現実は、山田の「〈銃後〉を語り残すことが自分の世代の責務」という歴史認識より速く進んでいる。歴史は1940年代に悲劇として現れたが今、それはテレビニュースの画面に軽やかな喜劇のように現れては消えていく。観客はこのような歴史の変化と『母べえ』の訴えるものとの関係を理解できないのではないか。彼らの多くは見終わって「こういう時代だったんだよ」と思うであろう。遠い昔の話だと感じて劇場を去るであろう。そしてグローバリゼーションの日常に戻るであろう。山田洋次はそんなことは「観客の問題」だと答えるのであろうか。自分はやるだけのことをやったと答えるのであろうか。
B次は.キネマ徒然草から
1. 主演の吉永小百合がミスキャストでしょう。彼女が主演を前提に作っているので、今回は企画ミス
2. 吉永小百合ってスター女優です。この人は存在感というかオーラで見せる人です。はっきり言って、芝居はへたくそです!
3. ただそんな事がどうでもよくなるぐらい、シナリオが酷い出来!
4. 母べえを取り巻く多くの人物が登場するのですが、その多くが、中途半端にフェードアウトしていく
5. 物語として、致命的にラストがいけない
さあどうでしょう。
サユリストはかなりお怒りでしょうか?
若い人に受け入れられるかどうかがこの映画が成功かどうかを決めるでしょう。
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コメント
ゴンベイ@オルタナティブ道具箱さん
ご指摘ありがとうございました。
全く気付きませんでした。
早速リンク先を変更しました。
投稿: 大津留公彦 | 2008年2月22日 (金) 00時11分
右コラムのリンク集にある「オルタナティブ通信」のurl、大津留さんが期待しているのは次のものではありませんか?「1」が無いのは妙な奴ですよ。
http://alternativereport1.seesaa.net/
投稿: ゴンベイ@オルタナティブ道具箱 | 2008年2月21日 (木) 18時49分
トピずれですが、同じベルリン映画祭出品作品ということで、、、。
日中合作ドキュメント映画「靖国」がベルリン映画祭で大絶賛|どこへ行く、日本。
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10073848312.html
映画 『靖国』|YASUKUNI公式サイト
http://www.yasukuni-movie.com/
投稿: ゴンベイ | 2008年2月20日 (水) 01時56分