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「極限すればあらゆる映画は幸福論につながる。様々な人生を描き、観客に提示する。幸せだったり、不幸だったり。そこには隠された作者の価値観がある。
しかし、死を前にした映画ともなればテーマは凝縮され、純化される。

そういうと誰しも思い浮かぶのは黒澤明監督の「生きる」(1952)だろう.・・・・・・」

こういう印象的な文章があった。
「いきる」はBSで近々やるのではないかな・・

M男の映画評論はますます快調です。
今回は「最高の人生の見つけ方

「極限すればあらゆる映画は幸福論につながる」

では今回の幸福論をどうぞ・・・・

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(112)シネマぶらり観て歩き

             最高の人生の見つけ方
                                   アメリカ

自動車整備工カーター(モーガン・フリーマン)は家の都合で大学進学を諦めたが、知的好奇心は旺盛で仕事中もラジオのクイズ番組に挑戦していた。ある日、検診結果を知らせる電話がなり、がんであることを知らせる。ただちに入院し、家族が見舞った。同じ病室に大金持ちのエドワード(ジャック・ニコルソン)が入院してきた。しかし、見舞い客は秘書だけ。二人の共通点は余命半年の末期ガン。カーターは冗談で死ぬ前にやっておきたいことをメモしたリストを作っていた。それを、見つけたエドワードはリストを追加した。そして、二人は周囲の反対を押し切ってリストを実行する旅に出た…。
極限すればあらゆる映画は幸福論につながる。様々な人生を描き、観客に提示する。幸せだったり、不幸だったり。そこには隠された作者の価値観がある。しかし、死を前にした映画ともなればテーマは凝縮され、純化される。
そういうと誰しも思い浮かぶのは黒澤明監督の「生きる」(1952)だろう。渡辺勘治(志村喬)という市役所の市民課長を務める53歳の男がふとしたことからがんで余命半年ということを知ってしまう。今まで死んだも同然の暮らしだった彼は、その日から「生きている」ことを実感し、残された日々を充実させたいと考える。勘治は妻をなくし、男手一つで息子を育てた。だが、息子は自分のことしか考えていない。やけになり、貯めたお金をパチンコやストリップショー、キャバレーに使った。しかし、心が満たされない。打ちひしがれて公園のブランコに揺られ、「ゴンドラの歌」を歌う。やがて、彼は人に役立つことをすれば生きがいを感じるのではと、住民から要望があった公園づくりに精を出す…。
もう一つ、「死ぬまでにしたい10のこと」(2003、カナダ・スペイン)。23歳の女性アン(サラ・ポーリー)は余命2ヶ月と告げられて、ひそかに死にゆく準備をする。原題は“My Life Without Me”、17歳で子どもを生み、子育てと仕事に追われて「私」というものがなかった主人公が淡々と自分と周囲を見つめる。今まで、気づかなかった日常生活の何気ない会話や所作がいとおしい。彼女は死ぬまでにしたい10のことを書き出し、実行する。リストの一つに“夫以外の男性とつきあう”という項目があって賛否を呼んだ。しかし、自分というものを持たなかったアンがしみじみと来し方を振り返り、残された家族を気遣う姿は心に響いた。
これら3つの作品は、基本的には同じ構造をもっている。死の「宣告」は時間を止める。今まで日常の暮らしで見えていなかったものが見えてくる。そして、死ぬまでの時間を充実したものにしたいと願う。
ここで「最高の…」は他の2つの作品と、やや異なる設定をとった。今までは当事者が自分で死ぬ準備をするストーリーだったが、二人の共同作業になる。
カーターのリストのうち、「荘厳な景色を見る」「見ず知らずの人に親切にする」「泣くほど笑う」などは精神的な充実を得たいということだろう。これに自動車整備工だった彼の憧れの車、「マスタングの運転」が加わったことは理解できる。しかし、エドワードが付け加えた「世界一の美女とキスをする」は愛嬌だとしても「スカイダイビング」「ライオン狩」などはワルノリというか、カーターの経済力では実現不可能である。(また、体力や体内カテーテル感染の心配もある)それを、エドワードが金にあかして実現する。家族を大切にしながら、つましく暮らしてきたカーターには異次元の世界ともいえる。つまり、映画の面白さは価値観や人生観の異なる二人が友情で結ばれ、ときには激しく火花を散らしながら、ある一つの結末に向かって進む。その過程に面白さがあり、それはそのまま人生は素晴らしいという人生賛歌になるはずであった。
しかし、ハリウッドを代表する芸達者を起用しているにもかかわらず、試みが成功したとは言いがたい。内面的に深まっていかないのだ。だから、予想されたハッピーな結末も喜びを生みだすまでにはいたらない。むしろ、いくつかのリストの実行場面では私の胸には死ぬときまでもアメリカンドリームかという虚しさすら去来した。邦題「最高の人生の見つけ方」に惑わされたのかもしれない。なにせ、原題は単純に“The Bucket List”(棺おけリスト)、とやかく言わず、やりたいことをやって楽しんであの世に行けば良いのだから。
監督は少年時代の冒険をノスタルジックに描いた傑作『スタンド・バイ・ミー』(1986)のロブ・ライナー。生きづらい世の中、邦題効果(?)と宣伝力により、観客動員に成功している。

                                    (M男)

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コメント

青い鳥さん

こちらでも有り難うございます。
残念ながら「M男の映画評論」は先輩のM男さんの文章で私の文章ではありません。
このブログの右下にリンク先がある「シネマ私の旅」(杉谷雅博著)という本になっています。
このブログの「M男の映画評論」カテゴリーにその多くはあります。http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/cat6484715/index.html

最高の人生の見つけ方

わたしも、観ました。 いい映画ですネ…
モーガン-フリーマンが渋くて最高ですネ…
‘死生観’を考えさせられました。『もし、死の告知を受けたら自分はどうだろうか?』『後悔しない生き方とは?』… など、いろいろ考えました。 でも、全編を通し明るいトーンの素敵な作品でした。

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