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2008年7月 1日 (火)

「灘の男」 (車谷長吉)を読んだ

かみさんお勧め本3冊目の紹介です。
その本は「灘の男」 (車谷長吉 文芸春秋)

この小説では二人の男が紹介される。
ひとりは、濱田長蔵、通称 濱長と呼ばれた男で、塩田農家の塩を牛で運ぶ仕事から始めて、戦後、浜田運送という百台余りのトラックを有する会社を成した。
もうひとりは濱中重太郎といって、船の錨鎖(ア ンカーチェーン)などの部品を扱う製造会社濱中製鎖工業株式会社をつくった。
彼らの波瀾と葛藤に満ちた人生が車谷の取材で明らかにされた。

本の詳しい内容は下の書評をご覧頂くとしてこの本に登場する一人の人物について紹介します。
それは内海繁

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父の内海信之(青潮)は与謝野鉄幹の新詩社に入り、後に犬養毅(木堂)に私淑し、人道主義・平和主義を称えました。

内海信之は三木露風、矢野勘治とともに兵庫県竜野市の3賢人と言われています。
(戦前は三木清もいますが)
内海繁は京都大学国文学教授で反戦詩人で私の属する新日本歌人協会の会員でした。

この本の中の濱中重太郎さんの息子濱中英男さんの話によると、彼はレッドパージで教職を追われ濱中製鎖工業に世話になっている。

同じくレッドパージで京大を追われた児島賢次が英語を読めたので英語の本でスウェーデンの電気溶接錨鎖製造装置を見つけソ連・中国を見せてやるという誘い文句で濱中重太郎と一緒に昭和28年にスウェーデンに行き日本で初めてその機械を買ってきたというのが面白い。帰りにはモスクワ経由で中国に入っている
二度目の旅行には内海繁を連れて行っている。
やはり帰りにはモスクワ経由で中国に入っている。

ついでですが山崎町の小林謙一、龍野の内海繁と3人で共同経営の三松株式会社を創業した姫路地方文化団体連合協議会初代会長 黒川 録朗はノーリツの初代副社長です。
機関誌『現代文学史研究』第4集(2005年6月1日発行)から
土井晩翠と与謝野鉄幹■久保忠夫という文章の中にこんな一節があった。
内海繁の『播州平野にて―内海繁文学評論集』(昭58・6 未来社)に「父内海信之の回想」が収められている。そこに、
 「明星」に属しながら、そこにひたりきれず、一方で児玉花外らの「新声」に社会派的な詩を送り、与謝野鉄幹から「詩歌」が政治社会時事問題に直接関連した素材をとつたり、関心をあらはすのはよくない。土井晩翠や児玉花外は外道である。決して学んではならぬ」と非難され
という一節がある。これは、内海繁氏に直接お聞きしたところでは、書簡ではなく、関西の文学大会で親しく注意されたことという。

こんな記事もありました。南竜夫という名前もあったようです。
「内海繁評論集―紹介」[一叩人か。「サムライ」という鶴彬の詩を送られた南竜夫が、この内海繁だと]

たつの市の童謡の小径にある内海繁の短歌です。

 わがむねの おくがに銀河さえざえと                ながれてあれよ いのち果つとも


以下著者紹介と本の書評です。

■著者紹介 

車谷 長吉 (クルマタニ チョウキツ)       
昭和20年、兵庫県飾磨市(現・姫路市)生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、広告代理店、料理屋などで働きながら小説家を目指す。平成5年に『鹽壷の匙』で三島由紀夫賞と藝術選奨文部大臣新人賞、平成9年に『漂流物』で平林たい子文学賞、平成10年に『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞を受賞。平成13年には「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞した
中日新聞の書評
[評者]菊田 均(文芸評論家) http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2007052701.html
■本音の生き方濃密に描く
 「灘の男」の「灘」は、神戸市灘区のことではなく、西へ三十キロほど行った兵庫県姫路市近郊の地域だった。となると灘は、作者の生まれ故郷飾磨市(現姫路市)のごく近く、ということになる。
 灘のあたりには「独特の気風」が渦巻いている。喧嘩(けんか)っ早く、極道になる者も多い。そんな中で、功なり名をとげた一人の人物(運送会社会長)が、自身の来歴を語る、という形式でこの小説は書かれている。他の二編(「深川裏大工町の話」「大庄屋のお姫(ひい)さま」)も、場所は違うものの作品の形式は同じだが、やはり、作者の生まれ育った場所に近い地域にかかわる「灘の男」の存在感が大きい。
 その男は大正三年生まれ。農業だけでの生活は難しく、塩の運搬にも従事した。塩と言えば、灘の西二十キロの地点にある赤穂も有名だ。当初は牛、続いて馬、戦後になって自動車と運搬手段は変わり、運搬物も多様になって、平成十六年現在、正社員百二十七名、車両百台に及ぶ中堅企業に成長した。
 「人間は真面目(まじめ)やなかったら、あかんねン。正直やなかったら、あかんねン」と男は常々言う。言葉は平凡だが、この作品に描き出されたこの男の歴史を考えると、重みがある。この男の語りが、つまりは作者によるこの男についての表現の濃密な充実度が彼の存在感を支えている。英雄でも豪傑でもないが、単に平凡なわけでもないこうしたタイプの男たちが日本を支えてきた。「本音で生きた人間」と作者は言う。
 作品の末尾で、にわかに作者が顔を出して、現在の日本を貫いているのは「偽善」だと告発する。司馬遷が『史記』各編の末尾で「自分はこう考える…」と短く語るのと似ているが、「灘の男」濱田長蔵には偽善のかけらもなかった、と作者が言い切る時、物事を吟味することなく、通念にそのまま流されてしまう我々の「弱さ」に直面させられる。我々がいつの間にか失った「何か」を懐かしく思い出させる作品だ。


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コメント

ひとみさん
コメント有難うございました。
これから暑くなり体力を消耗します。体大事で行きましょう。

TBいつもありがとうございます。先日は、久しぶりに福岡市まで出かけ、懐かしい人たちと再会しました(ちょっとオーバーかな?)。帰りは、博多駅でエレベーターを使わずに階段を。昨日今日、膝が痛く、つくづくと、反省をしています。体重も減らさなければ、と反省の日々です。

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