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2008年8月25日 (月)

山頭火とはどんなひと

6回にわたって山口高氏の山頭火の大分での足跡研究成果をご本人の了解を得て掲載します。

目  次


・山頭火とはどんな人                                                  
    
・山頭火の詠んだ「層雲」の俳句とは                        

・木賃宿とはどんな宿                                                     

・山頭火はなんど大分県に来たのか                         

・山頭火 大分県を詠む                                   

・山頭火の句碑は大分県内にいくつあるのだろうか 
     
  漂泊の俳人といわれる山頭火は本名・種田正一といい、父種田竹次郎・母フサの長男として、山口県佐波郡西佐波令村(現防府市)に生まれた。
 
  種田家は裕福な地主で近隣の人々には「大種田」と尊敬され、正一は大勢の使用人に「正様」と呼ばれ、なに不自由のない境遇の中で幼年期を過ごしてきた。
 
  父竹次郎は15才で家督を相続したが、このトシで種田の大屋台を支えるには荷が重すぎたようだった。役場に勤めていた関係から時の政友会とのつながりができ、すすんで政治にかかわり、熱くのめり込んでいった。

加えて女癖が悪く妾も2・3人いたということから、政治と女道楽に放蕩の限りをつくした結果、出費は嵩む一方で、さしもの大種田もその屋台がぐらついていった。
 
  この様なことから妻フサは将来の財政不安を感じているとき、義母のコウより「嫁のお前が悪いから」と責められ、フサの立つ瀬はない状態になっていった。

明治25年3月6日フサはその責に堪えかね、屋敷内の古井戸に投身自殺をとげてしまった。山頭火11才の思いもかけぬ出来事であった。この事件が終生山頭火の脳裏から離れることのできないトラウマとなってしまった。 
 
  山頭火はのちに「私たち一家の不幸は母の自殺に始まる。」と書いているのをみても、いかに強烈な不幸の刻印となったかがわかる。
 
  佐波令村立松崎尋常高等学校を卒業した山頭火は、三田尻私立周陽学舎に入学した。この頃学友と回覧雑誌を発行した。
 
 明治32年9月県立山口中学校に編入、明治34年7月私立東京専門学校予科に入学、明治35年9月に早稲田大学文学部に入学したが、明治37年2月神経衰弱を理由に退学し、帰郷した。
 
  明治42年8月、父のすすめに抗しきれず佐藤サキノと結婚したが、家庭をかえりみず回覧雑誌「澪標」に山頭火の号で参加したり、郷土文芸誌に翻訳その他を発表するほか、「弥生吟社」の句会に「田螺公」の号で出席し定型俳句をつくるなど、文芸活動に熱中していった。
 
 山頭火と萩原井泉水とのかかわりは、大正2年井泉水に師事し「層雲」に山頭火の俳号で投句を始め、大正3年10月山口県田布施町の句会に出席した井泉水と初対面し指導を受けた。
 
  これより先、父竹次郎は吉敷郡大道村の酒造場を買収し酒作りを始めたが、仕事には不熱心で相変わらず懷手の旦那稼業であったし、山頭火は文学三昧で酒造場経営には熱が入らず、さしもの大種田も傾き、ついに大正4年4月破産し、父竹次郎は行方不明
 古書屋は好評だった。扱う商品は古書から複製名画、ブロマイド、額縁へと拡大していった。

山頭火は店を妻に任せ、自分は額縁を風呂敷に包み行商に出歩いていたが、途中で友人に逢うと一緒に飲み屋に入り、いつも泥酔して帰る状態が続き商売にはならなかった。
 
 大正8年10月文学の夢を捨てきれず、先に上京していた重森唯士(第五高等学校から文部省へ転勤)を頼って上京し、東京市セメント試験場でアルバイトをしながら生活していた。

そこへ或る日、妻サキノさんの実家から一通の手紙が届いた。それはサキノさんの実兄からのもので、中には離婚届が同封されていた。

山頭火は妻サキノさんも同意のことと思い(実はサキノさんは知らなかった)用紙に捺印して返送し、離婚は大正9年11月に成立した。
 
 大正12年9月、熊本に帰ってきた山頭火は「雅楽多」を手伝っていたが、大正13年12月末酒に酔い、熊本市公会堂前を進行中していた路面電車の前に仁王立ちし、急停車させる事件を起こしてしまった。

電車の乗客や多くの野次馬等で大騒ぎになった。この時熊本日日新聞社の大庭記者が機転をきかせ山頭火を素早く市内にある報恩寺に連れて行った。


それから昭和15年6月3日迄、ある時期は一時的に定住してこともあったが、 其のほとんどを北は岩手県平泉から、南は鹿児島県枕崎まで全国5万キロメートルの漂泊を終え、親友大山澄太氏の世話で松山へ行き、御幸町の御幸寺境内の一草庵で、土地の俳人・高橋一洵氏、藤岡政一氏等の支援を受け、ほとんど行乞をせずとも暮らしは出来たようで、「柿の会」と名付けた句会を指導し、自らも一千句を詠むなど俳句三昧の生活であったらしいが、酒を捨てることはできなかったという。
 
 昭和15年10月10日、一草庵で「柿の会」の句会が催されたが、山頭火はこの日の午後脳溢血で倒れ、句会には参加できず寝ていたところ、11日午前4時心臓麻痺でかねて念願どおりのコロリ往生を遂げた。

山頭火59才の秋である。
 
 最後の句は“もりもりもり上がる雲へ歩む”であった。死を前にしてなお歩き続けたいと、強い意志を持っていた山頭火に感心するばかりである。
 
 なお、山頭火の墓は山口県防府市の護国寺境内にあり、墓碑には俳人種田山頭火と書いてあるが、戒名は親友久保田白船によって山頭火居士とつけられた。

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