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2009年10月26日 (月)

男の矜持(沈まぬ太陽)

NPJ掲載御礼!

Ogurakantarou


映画「沈まぬ太陽」を見た。

「男の矜持」を描いた作品だ。

若松節郎監督は会場で買ったパンフレットにこう書いていた。

「仲間を守るとか責任を果たす。そういうことが今を生きる我々には欠けているように思われます。
ここで恩地が貫く男の矜持が、映画全体の骨子を成していると思います。
ですから社会派というより人間ドラマだという想いが強い。」

少し時代は遅れるが私も同じような時代を過ごした当事者なので心情的に良くわかる映画だった。

特に主人公の恩地がパキスタン・イラン・ケニアと海外勤務をする時代は私の3年間のイラク勤務の直前であり当時を思い出しながら見ていた。

人事異動の連絡はテレックスで来るがこれも懐かしく30年前は電子メールが無かった事に隔世の感がある。

恩地のモデルになった小倉さんとはお話しした事はないが存命中から存じあげている。
日本航空で組合活動を理由に差別され、ケニアに長くお住まいでケニアの写真集を出された。

この大作をよく角川は映画にしたと思う。
原作者の山崎豊子さんにも日本航空から警告が何回も来たという。
日本航空にはまだ当時の関係者がいるはずでありこの映画を受け入れられないということは組合弾圧や違法行為や乱脈経営などの過去を反省してないということだろう。

新政権の誕生で時代は変わった。
日本航空は今正念場にある。
日本航空は過去を反省する証しとしてこの映画を受け入れる宣言をすべきでしょう。

来月元の会社の海外勤務者のOB会が行われる。
この映画の話もしながらテレックスの時代を懐かしがりつつ今日と明日を語りたい。

仲間を裏切らない。
地位や立場、表面的なもので、人を判断しない、
その人そのものの生き方から学ぶことが大事ですね。
そんな人に私はなりたい。


以下資料編です。

吉川 勇一さんのホームページから山崎 豊子さんの2002年10月21日の小倉寛太郎さんのとの「お別れの会」での「お別れの言葉」が紹介されていましたので紹介します。

 あなたは、私にとってまさに一期一会の人です。一九九一年、初めてケニアの空港で出会ったとき、常ならぬもの、異形のものを感じ、天の啓示、天命のように思いました。アフリカのみならず、小倉さんの任地であるパキスタン、イランへも行をともにしてくださり、自分のかつて歩まれた道、歩まれた心を語ってくださいました。寡黙なあなたは、多くを語られませんでしたが、ひとこと、ひとことから何十行もの文章が生まれました。それは過酷な生活と孤独にくじけず、信念を貫いた人たちだけがもつもので、慟哭(どうこく)しながら書いたところもありました。  小倉さんにこうお尋ねしたことがありました。この不毛の地、この孤独な勤務で、なぜかくまで強じんな意思と信念を貫くことができたんですか。こうお聞きしますと、あなたはにこやかな笑いをうかべて私には仲間がいる、仲間がいたからです、と答えられました。あなたは仲間のために、いつも人のために生きる人でした。ですが、いま少しご自身と奥さま、お子さまのために生きていただきたかったと思います。  さる五月にあなたは突然、お電話をくださいました。久しぶりに関西へいくことがあるからお目にかかりたい、と。私は実は病床にふせっていることを正直に申し上げました。あなたは、マルクスも貧苦と病苦には耐え難いといいました。おつらいでしょうが、小説を書くあのすさまじい闘志をもって、一日も早く回復して『沈まぬ太陽』完結の乾杯をケニアのサバンナであげようではありませんか。お互い行き違って、まだ『沈まぬ太陽』完結の乾杯をあげていませんよ、といわれました。いまになって思えばすでにそのとき、私は存じ上げませんでしたけれど、小倉さんは肺がんに冒されておられたとうけたまわり、小倉さんらしく、さりげなく私に別れを告げられたのではないでしょうか。そう思うと無念です。惜別の情やみがたしです。  『沈まぬ太陽』の読者の方からは、いまもって恩地さんに会いたいという多くの声が寄せられています。これほど読者に愛された主人公は他にございません。きょうも地方からここに、小倉さんに会うためこられている読者の方が大勢いるとうけたまわりました。恩地元というのは、大地の恩を知り、物事の根源にたって考えるという意味を込めた名前です。あなたは本当に、その通りの人です。小倉さん、あなたは亡くなられても多くの人々の心の中に、『沈まぬ太陽』の恩地さんとして永く永く存在し続けられるでしょう。  作家として、このような作品を生み出させていただいて、ありがとう!!  本当にありがとうございました!!
            山崎 豊子

小説「沈まぬ太陽」のモデルとなった、日航労組元委員長 小倉寛太郎氏の海外辺地たらい回し人事の経緯を、吉原公一郎著「墜落」(大和書房)より抜粋させていただき、ご紹介します。
冒頭の写真もこちらからです。
http://www.jalcrew.jp/jca/public/taiyou/ogura_history.htm

2000年2月18日号には小倉氏のコメントの一部
こう書いている。

「この小説で白日の下にさらけ出された、組合分裂工作、不当配転、昇格差別、いじめなどは、私および私の仲間たちが実際に体験させられた事実です。日本航空の経営側にいた人たちは、(中略)数々の不当労働行為やその他の不祥事を思い出されたらいかがでしょう。人間である限り、そんな事実はなかった、などとはいえないはずです。」

「沈まぬ太陽」の実在人物(モデル)比較
Sweet Home より
http://besweeton.fc2web.com/book/shizumanu.html

恩地元 → 小倉寛太郎(元日航労働組合委員長) 行天四郎 → 不明 国見正之 → 伊藤淳二(日航会長・元鐘紡会長) 堂本信介 → 高木養根(日航社長) 桧山 → 松尾静麿(日航社長・航空庁初代長官) 小暮 → 朝田静夫(日航社長・元運輸次官) 海野昇 → 山地進(日航社長・元総務庁次官・運輸官僚) 三成通男 → 利光松男(後に日航社長・小田急電鉄創業者である利光鶴松の長男) 八馬忠次 → 吉高諄(後に日航常務・空港グランドサービス社長) 岩合 → 石川芳夫(日本航空開発社長) 権田宏一 → 渡辺武憲(後に日航名古屋支店長・ジャルエクスプレス社長) 轟鉄也 → 大島利徳(ジャパン・ツアー・システム副社長) 秋月純 → 萩原雄二郎(日本航空開発会長) 永尾 → 長岡聰夫(日航常務・元大蔵省印刷局長・国際金融局次長) 田丸 → 安藤光郎(日航常務) 和光 → 服部功(日航監査役) 川野 → 平野聡(後に日航常務・同顧問) 岡部 → 岡崎彬(日航部長・全日空第2代社長である岡崎嘉平太の子息) 利根川 → 中曽根康弘 竹丸 → 金丸信 十時 → 後藤田正晴 道塚 → 三塚博 永田 → 福田赳夫 龍崎一清 → 瀬島龍三 青山竹太郎 → 糸山英太郎 石黒 → 黒野匡彦(後に運輸次官・成田国際空港社長) 井之山 → 井上一成 安西富貴 → 佐藤昭子 不二 → 不破哲三(共産党委員長) 鷹名 → 高尾健博(日本経済新聞編集委員) 小野寺 → 小佐野賢治(国際興業会長) 三島 → 五島昇(東京商工会議所会頭・東京急行電鉄会長) 永井藤夫 → 澤田秀雄(エイチ・アイ・エス会長)
^^^ こちらも実際の人物との関係を想像を入れて書いています。 →

http://www.geocities.jp/showahistory/history07/60c.html

本年最高の映画だと思います。
是非ご覧下さい。

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コメント

岩下俊三 さん

コメントありがとうございました。
貴ブログにあった

>遺族からある陰謀にによって民間機がミサイル攻撃をうけたという説も直接きいた。

というのは初めて聞く話ですね。
詳しく知りたいです。

貴方のブログにも書きました。

[沈まぬ太陽」に登場するモデルとなった人物には殆ど実物とお会いしたが、昭和後期の時代がよみがえって感慨ひとしおであった。どの人物も好演していて、リアルだったが、とりわけ瀬島龍三の不気味さは個人を忍ばせた。自らのブログでも書いたが、日航機事故の遺族の怨念はまだ消えていない。鶴丸にはずいぶん世話になったが、義理は義理、ここは義理人情(昭和への郷愁)を捨てて断固日航を潰すべきだ。JALが国家であった時代は終わった。PANNAMのアメリカに習い「沈む太陽」もある。沈まないのは時代を生きた矜持だけである。腐敗の奥はもっと深い底なし沼であるがゆえ。

ふじこれきんさん

コメント有難うございました。

私もこの映画は日本映画史上に残る名作になると思います。時代が作った映画だとも思います。日本映画の大作が少なくなった今、角川には期待したいと思います。
毎日いろんな人に勧めています。
今後とも宜しくお願いします。

この映画家族・個人・企業との関係を問うた力作だ。
 主演の渡辺、競演の三浦、鈴木さんの熱演も合ってひきつける。企業で理不尽な思いをしても自分のやるべき仕事ヲ誠実にこなす。それが結果的に企業の抵抗になる。
 モデルの小倉氏の苦渋と忍耐。その中で自分のやるべき仕事に当たったことを想像すると作家の山崎氏がそれに共感して沈まぬ太陽を書いた。プロデューサーの角川兄氏が映画化に尽力した事を思うと、この映画がリストラにさらされるサラリーマンの共感を得ると判断したんでしょう。
 映画館に中高年夫婦が押しかけていた。この映画は中高年の共感を得る力作で、今年の日本映画界を代表する映画だ。
 日航再建の動きと国民航空の腐敗ぶりがオーバーラップする。

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