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玄間太郎さんの「青春の街」を読んだ。

あとがきによれば

『「青春の街」は1960年代の話である。多くのすばらしい出会いがあった。彼らに重ねて綴ったが、創作である。』

となっているが玄間太郎さんの等身大の人生だろう。

この物語はこう始まる。

1960年3月__ 淡い光が窓に射していた。少年は眠っていなかった。午前六時、ふとんをはねた。隣の部屋の様子をうかがい、ジャンパーのポケットに財布を確かめると足をしのばせて階下に下りた。玄関の戸をそっと引いた。街はまだ眠っているようだ。ここは東京千代田区麹町「橋田染物店」の看板がある。 「君の部屋だ」といわれた二階の殺風景な三畳の部屋を見上げた。一晩泊まっただけだった。きのう新潟をたって店に着いたのは、午後5時ごろのことだ。住み込みで働くはずだった。 (八丁堀編 ああ上野駅 1960年)

15歳で上京して来た慎平少年は「三丁目の夕日」で集団就職してきた若者とダブル。

慎平少年は安保闘争で亡くなった樺美智子よりも浅沼稲次郎を刺し殺した山口二矢に心を寄せる。

一方に何万何千人のデモ隊がおり、一方にはひとりぼっちの少年がいる。たった一人の捨て身で政治家を殺った勇気と覚悟に感動していた。もやもやと屈曲した、満たされない、いいようもない思いを同じ年ごろの少年が爆発させてくれたのだという気がした。お嬢さん育ちの樺美智子と、孤独で貧しい少年のどちらが自分に近いか。それはあきらかだった。山口二矢という名前を知った。ひそかに心を寄せた山口が11月、少年鑑別所で自殺をしたと報じられたとき慎平は呆然とした。(八丁堀編 ああ上野駅 1960年)

そして兄たちと議論する。

兄たちを前に口をついたのは 「共産党?右翼の山口二矢の方がよっぽど信念があるよ」 「馬鹿だな、お前は。大事なのは、どういう信念かだろうが」 兄が言う。奈津子が引き取って、 「人殺して何が解決するの。暴力で言論が封殺されたとき民主主義はほうむられるのよ」 そうかも、しかし...。慎平は見かけによらず負け嫌いだった。簡単に「わかった」とはいいたくない。八丁堀への帰り、東京駅地下街によった。社会主義批判の本を探して買った。夜、あくびをこらえて読んだ。が、よくわからなかった。 懲りずにまた石神井に出かけた。  社会主義には自由がない、全体主義だと痛いところをついたつもりで論争をしかけた。だがまた、やんわりと論破された。気がつくと窓を夕日が染めていた。 (八丁堀編 今夜は眠れない)
そしてこう決意する。
鉄砲州稲荷神社に向かう一本手前の通りを右に入ったところにその事務所はあった。明かりは点いている。「赤旗」中央区分室、と看板に書かれていた。慎平は逡巡し、一度通り越した。また次の機会にしようか。でも、あそこには自分にとって失ってはならない大事なきっかけがあるような気がした。大またで引き返すと、意を決してドアを開けた。ほおのこけた男がじろっとこちらを見た。 「あの、俺、民青てとこはいりたいんですけど....」 (八丁堀編 今夜は眠れない)

この物語にはこの1月に「赤旗」を定年退職された氏の赤旗記者時代の話はない。
赤旗日曜版の文芸欄のうならせる記事のライターだった氏のこれからの「記者の街」に期待しよう。

amazonより

内容(「BOOK」データベースより)
あの時、君たちがいたから今の俺がある―。中卒で故郷の新潟を出た牧岡慎平。大都会・東京は彼の運命をのみ込んでいった。ひたむきに生きた1960年代の八丁堀と蒲田の青春群像。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
玄間 太郎
1944年、新潟県出雲崎町(旧西越村)生まれ。60年に西越中学校卒業後、東京都中央区の製紙原料篠原商店に就職。65年、東京都立紅葉川高校(定時制)卒業。新華社電を受信する亜細亜通信社(ANS)に入社。66年、不当解雇にあい、34人の組合員とともにたたかう。67年、「赤旗」編集局に入局。42年間、多くの連載、ルポ、インタビュー記事を手がける。2010年1月、定年退職

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