« 2011年 啄木コンクールの案内 | トップページ | 『ダライ・ラマ法王に池上彰さんと「生きる意味」について聞いてみよう』を読んだ。 »

2011年1月27日 (木)

「続・続 歴史の中の短歌」第一回研究会が終わった

「続・続 歴史の中の短歌」第一回研究会が終わった。

私の報告で短歌論(「奴隷の韻律」考、写実の今日的意義、「アララギ派」のこと、新短歌の歴史的寸評、「アララギ」終刊をめぐって)を議論した。
最後はリアリズム短歌とはどうあるべきかの議論になりました。
なかなかいいテキストを選んだと思います。
今年一年この本で現代短歌を学びます。

どなたでもご参加できます。
お近くの方は奮ってご参加下さい。

2011年現代短歌研究会スケジュール

テキスト: 「続・続 歴史の中の短歌 水野 昌雄 (著) 」
場所:柏駅西口 喫茶店「コンパル」(千葉県柏市旭町1-4-19 04-7145-2378)

主催:新日本歌人協会我孫子支部湖畔短歌会
会費:無料


研究会の実施予定日時と報告者は以下の通りです。
(定例日は可能な限り最終木曜日にしたいと思います。2ヶ月前に確定日をこのブログに記載します。)

予定確定分

第一回 2011年1月27日(木) (済)
短歌論(「奴隷の韻律」考、写実の今日的意義、「アララギ派」のこと、新短歌の歴史的寸評、「アララギ」終刊をめぐって)
 報告者 大津留公彦

第二回 2011年2月24日(木) 
歌人論(渡辺順三、矢代東村)
 報告者 藤田貴佐代

第三回 2011年3月24日(木)(第四木曜日) 
歌人論(佐々木妙二、「渡辺順三・坪野哲久・矢代東村・浅野純一)、赤木健介、岩間正男)
 報告者 桜田和子

本日私の使ったレジュメです。

<「奴隷の韻律」論>

水野さんは第二芸術論についてこの本でこう書いている。

「わたしの場合、短歌入門はまずこうした否定論になるほどと思うところから出発しているが、それは周りの若ものたちに共通していた。ただ、否定論に納得しつつも、短歌の魅力が心の底にあって作歌していたのである。」

当時の短歌を愛する若ものの様子が彷彿とされる。

水野さんの初期の評論にはこう第二芸術論を克服できなかった理由を書いています。

敗北の記録を超えるために」(『短歌研究』 1959年4月)

戦後の第二芸術論を含む短歌否定論を克服できなかったのは、以下の理由からだと言います。

①戦争犯罪人の復帰、戦争責任を曖昧にするイデオロギーの蔓延  ②歌人自体の非近代的思想性と世界観欠如  ③民主主義短歌運動の統一の困難、力量不足

内野光子のブログ
2007年10月22日 (月)「水野昌雄と現代短歌を語る会」に参加して―水野昌雄の評論、<短歌と天皇制>の軌跡、を話してきました
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2007/10/post_b333.html
より

やや今風ではないが的を得ているだろう。

「第二芸術論」で検索していたらこんな研究会の報告が有りました。
柏出身の館山一子が出てきます。
純粋資料がなかなか参考になりました。

散 慮 逍 遥
http://www.geocities.jp/mugen_kangeki/Sanryo-syoyo/04/100211-1.html

【シンポジウム「今読み直す戦後短歌・II」レポート・1】

2010/2/11に青学会館アイビーホールで開かれたシンポジウム
前半が一人20分ずつのミニ講演(花山多佳子・秋山佐和子・今井恵子・西村美佐子・川野里子・佐伯裕子の各氏)、後半がディスカッション+質疑応答というプログラム。
200名近い参加者数だったとのこと。

第二芸術論と吉本興業の不思議な関係も知りました。

小野十三郎 by wikipedia

南天堂で知り合った萩原恭次郎、壺井繁治、岡本潤らの詩誌『赤と黒』を見て刺激を受けアナーキズム詩運動に入る。そして1926年には岡本潤・秋山清らと協力し、『弾道』を創刊した。
1933年に 大阪に戻り、1939年、大阪の重工業地帯に取材した詩集『大阪』を発表した。それ以後は小野十三郎独自の詩風を確立した。吉本興業の文芸部に所属し、秋田実らと共に漫才台本を執筆していたこともある。
1948年、『奴隷の韻律』論を発表し、短歌・俳句の抒情を徹底的に批判した。塚本邦雄らの前衛短歌は、これに呼応する形で反論的実践として推進されたといわれている。小野がこのような批判を展開した背景には、戦時中に斎藤茂吉ら多くの有名歌人が戦争協力的な活動をしていたことがあるとされる。

<写実の今日的意義>
写実の歴史について水野さんはこう概説している。

子規 絵画的写生
左千夫 叫び
赤彦 鍛錬道
茂吉 実相観入
文明 生活即短歌
憲吉・芳美 生を写す

表現はともかく写生/リアリズムが作歌の基本だろう。

啄木の小説「我等の一団と彼」の「時代の病気を共有しているということは、あらゆる意味に於いて我々の誇りとすべき事じゃないね」という言葉を援用して、「パソコン映像化時代」としてITを切って捨てているように取れる文章は少し気になった。
2002年のパソコンが今日のように使われてない時の文章ではあるが・・・

<アララギ派のこと>
「アララギ派」(1998年1月号)の巻頭の金剛胎蔵市の「落想像」30首を高く評価している。
この三重県の会員の「アララギの文学伝統を大切に今後も歌おうとしている覚悟はすがすがしく、かつ重たい」と評価している。
アララギ分裂の原因は選者輪番制への不満かとも書いているが全て合わせれば分裂前の人数を越えているというのも示唆的だ。

広義の意味でアララギ系に分類される結社には『新アララギ』『短歌21世紀』『未来』『塔』『歩道』などの全国結社のほか、『柊』『林泉』『群山』『関西アララギ』等をはじめ非常に多くの地方結社がある。

前田徹が不慮の交通事故で亡くなった時に遺言状に従って「詩歌」が廃刊となったこととあわせて雑誌の権利は誰にあるのかを考えさせる。

<新短歌の歴史的寸評>
2001年の『新短歌」と『未来山脈」が合併する経緯を評価して書いている。
これも雑誌の権利は誰にあるのかを考えさせる。
単なる短歌愛好家の雑誌ではなく新短歌運動そのものは決して中断してはならないという覚悟だろうと書いている。
新短歌運動の流れをくむ行分け欄も持つ「新日本歌人」も単なる結社ではなく運動体であるのでこの合併の経緯は大事な教訓として記憶しておくべき事であろう。
千人の会員購読者となった新日本歌人が当面合併ということはないと思うが。。。

<「アララギ派」終刊をめぐって>
アララギの創刊は明星が廃刊した年であり啄木が「卓上一枝」という評論を北海道で書いた明治41年であるとし、子規 左千夫 節 赤彦 茂吉 憲吉 の流れを述べ松倉米吉のような貧しい病弱なつつましい労働者の作品も展開された事がアララギの広がりの支えになっていたという。
(啄木の年表を縦軸に使う手法は啄木に興味を持つ者には参考になった)
プロレタリア短歌運動の「集団行進」が出たとき土屋文明が深い理解を「アララギ」誌上に残している由。
「時代との格闘をふまえたリアリズムのエネルギー」こそが現代短歌の課題として問われているとこの短歌論5つを結んでいる。

以上

よろしければ励みになりますのでこちらのクリックをお願いいたします。

人気ブログランキングへ

良ければこちらもお願い致します

FC2ブログランキング

更によければこれもお願いします。

ブログランキング・にほんブログ村へ
CoRichブログランキング
ーーーーーーーーーーーーーーー

« 2011年 啄木コンクールの案内 | トップページ | 『ダライ・ラマ法王に池上彰さんと「生きる意味」について聞いてみよう』を読んだ。 »

「現代短歌研究会」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/190315/50704576

この記事へのトラックバック一覧です: 「続・続 歴史の中の短歌」第一回研究会が終わった:

« 2011年 啄木コンクールの案内 | トップページ | 『ダライ・ラマ法王に池上彰さんと「生きる意味」について聞いてみよう』を読んだ。 »

無料ブログはココログ

カテゴリー

  • 1万歩日記
  • 2014都知事選
  • 2016都知事選
  • 3.11
  • 9.11
  • abend
  • CO2削減
  • facebook
  • google
  • iphone
  • iphone apri
  • IT
  • mac
  • M男の映画評論
  • NHK
  • sst不当解雇
  • TPP
  • twitter
  • ustream
  • youtube
  • おいしい店紹介
  • お食事処
  • ことわざ
  • たっちゃん
  • どきどきブログ句会
  • まんがで読破
  • みんなの党
  • わらび座
  • アジア
  • アベロ
  • イベント紹介
  • イラク
  • インターネット新聞『JanJan』
  • エコ
  • オバマ
  • オーマイニュース
  • キャンプ
  • サッカー
  • タビサ
  • チベット
  • テレビ
  • テロ特措法
  • ネズミ講
  • バラとガーデニングショー
  • ファスレーン365
  • ブログ紹介
  • メルマガ「おは!twitter俳句」
  • メーリングリスト
  • ラジオ
  • ワーキングプア
  • 三郷
  • 中国
  • 中国残留孤児
  • 九州大学
  • 九条世界会議
  • 五島
  • 井上ひさし
  • 今日の日経から
  • 今日は何の日
  • 介護保険
  • 企業経営論
  • 会の案内
  • 俳句
  • 俳論
  • 健康
  • 共謀法
  • 内野事件
  • 創価学会
  • 労働問題
  • 北朝鮮
  • 医療
  • 原子力発電
  • 句会
  • 周辺の花・景色
  • 啄木
  • 回文
  • 国民投票法案
  • 地方自治
  • 地震
  • 埼玉
  • 大分
  • 大津留の映画評論
  • 大津留公彦
  • 大津留選俳句
  • 太陽光発電
  • 子宮頸がんワクチン
  • 安倍晋三
  • 小林多喜二
  • 小田実
  • 山頭火二豊路の足跡と句碑めぐり
  • 川柳
  • 希望のまち東京をつくる会
  • 平和への結集
  • 年金
  • 広島.長崎
  • 庄内
  • 従軍慰安婦問題
  • 憲法九条
  • 我が家の庭
  • 戦争と平和
  • 教育
  • 教育基本法
  • 文団連
  • 新宿
  • 新宿の昼飯処
  • 新日本歌人
  • 新聞
  • 日本共産党
  • 日本橋
  • 映像関係
  • 映画
  • 東京
  • 東京電力
  • 東日本大地震
  • 歌論
  • 正岡子規
  • 民主党
  • 沖縄
  • 沢田研二
  • 活動家一丁あがり
  • 消費税
  • 温泉
  • 湯布院
  • 湯平
  • 現代短歌研究会
  • 環境問題
  • 田中宇の国際ニュース
  • 短歌
  • 石川啄木
  • 社会
  • 社民党
  • 福岡
  • 福田康夫
  • 秋田
  • 立ち枯れ日本
  • 米軍保護法案
  • 経済・政治・国際
  • 署名
  • 美術
  • 美術展
  • 自民党
  • 芝居
  • 芸能・アイドル
  • 菅直人
  • 藤原紀香
  • 行事案内
  • 詩論
  • 貧困
  • 資格
  • 趣味
  • 農業
  • 連歌
  • 選挙
  • 陸前高田
  • 電子出版
  • 電気代一時不払いプロジェクト
  • 青年
  • 非正規雇用
  • 音楽
2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

ウェブページ