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2011年11月26日 (土)

政治とマーケットは教育に関わるべきではない(内田樹)  

11月24日にアップされた内田樹さんの平松さんの支援集会で話したこと
という長い文章を読んだ。

久しぶりに内田さんの文章を読んだが歯切れのいい文章に感心した。

スティーブ・ジョブズが出て来たり嘉納治五郎が出て来たりして「教育の意味」の意味を柔軟かつ雄弁に語っている。

平松大阪市長候補の支援集会の話のようだが教育の本質が維新の会との関係で良く語られている。
明日の選挙はどちらが勝つか分らないがよくこの文章は次期市長に読んで貰いたい。
(平松支援集会での話ですから平松氏は当然胸に刻んだ事でしょうが)

全文コピペしたいところですがそれでは内田さんに失礼ですし、長いので私のnoteした部分だけコメントとともに紹介します。


  まず教育とは何かについて
政治とマーケットは教育に関わるべきではないというのがキーポイントです。

教育はビジネスと同日には論じられないというのは、そういうことです。

失敗が許されないんです。

だから、「長い経験によって、これはまあ大丈夫だということがわかっているやりかた」をベースにして、少しずつ微調整する以外に手立てがない。

それに対して、「社会の変化のスピードに対応してない」というような批判を向けるのは、ナンセンスなんです。

生身の人間が相手なんですから。
政治とマーケットは教育に関わるべきではないというのは、人類学的な常識に属することです。

これについて宇沢弘文さんは「社会的共通資本論」で三つのカテゴリーに政治とマーケットは関わるべきではないと言っているそうです。


別に僕が言い出した話じゃない。

元東大経済学部教授の宇沢弘文先生が、「社会的共通資本論」
第一のカテゴリーに含まれるのは、大気、土壌、海洋、河川、湖沼、森林などなどの自然環境。

それがなくては人間は生きていけない一番基本的なものがこれに当たります。

第二のカテゴリーは社会的インフラです。

上下水道、通信、交通、電力、ガスなどの社会生活に必要不可欠な設備、これが第二。

第三のカテゴリーが、宇沢先生が「制度資本」と呼ぶもので、それなしでは集団が存立し得ない社会システム。

司法、行政、医療、教育などがこれに入ります。

これらのシステムは共同体存立の根本にかかわることであるから、専門家が専門的な知見と技術的良心に基づいて運営管理しなければならない。

政治とマーケットが関わって失敗した例に福島の原発事故をあげています。

社会的インフラストラクチャーにマーケットが関与するとどうなるか。

そのことを、我々は福島の原発事故で骨の髄まで経験したのではないですか。

あの事故は、電力の供給という、本来専門家が専門的知見と技術的良心に基づいて関与運営すべき仕事に、「潜在的な核兵器開発能力を外交カードとして使いたい」という政治家と、「電力をできるだけ安いコストで作って収益を上げたい」というビジネスマンが関与したことによって起きたものです。

政治家やビジネスマンは自己都合で原発のリスクを過小評価し、地震や津波は「想定外」にして、防災コストを切り下げる。

もし、ほんとうに専門家が専門的な知見と常識に基づいて原発を管理運営していたら、こんな事故は起きていなかったはずです。

自然環境や社会的インフラや制度資本は政策的な論争点や金儲けの手段にしてはならないという。


あらゆる社会的な活動のうちに政治的に介入し、ビジネスチャンスを求めるのは、政治家やビジネスマンの本性ですから、これは「やめろ」というわけにはゆかない。

そういうものなんですから、しかたがない。

でも、「彼らが入ってはいけないエリア」は存在するんです。

自然環境や社会的インフラや制度資本は政策的な論争点や金儲けの手段にしてはならない。

裁判が正邪の「裁き」を下すように、医療が「癒し」の機能を担うように、教育は「学び」の機能を担うものです。

裁き、癒し、そして学び、これは人類が誕生したときから、その最初の人間集団から既に存在していたはずです。

裁きのシステムと医療のシステムと教育のシステムを持っていた集団は効果的にその成員たちを守ることができ、衣食住のような生活資源をフェアに分配できた。

そういう集団だけが生き残り、裁きや癒しや学びのシステムを持たなかった集団は滅びていった。

そして橋下氏にこう問うている。


あなたが提唱されるその教育方法を適用すると、子供たちが成熟した市民に育つ上で、どのような効果が期待されるのか、その見通しをまずお聞かせ願いたい。

そう問うべきだと僕は思います。

学力を構成する3条件(最後の条件は見当たらないが)

学力を構成する条件は三つあります。

第一に自分自身の無知、非力についての強い不全感、不満足感。

オレはものを知らない、もっと知りたい、世界の成り立ちについてもっと知りたい、何で世の中にはこんな仕組みになっているのか、どうして人間はこんなふるまいをするのか、それを理解したい。

第二番目は、誰が私のこの不全感を埋めてくれるのか、それを探しあてる力。

「メンター(導き手)」、自分を導いてくれる人、それを見当てる力です。

本当に強い不全感を持っている子供は必ず「この人について行けば大丈夫」、この人なら、本当に自分が何をしたいかを教えてくれるという直感が働きます。

ここでスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業式での有名なスピーチが出てきます。

先ごろ亡くなったスティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業式での有名なスピーチがあります。

僕が言いたかったことを彼は全然違う言葉で言っていて、僕は深い共感を覚えました。

彼がその中でこう言っていました。

半生を振り返って得た結論が、一番大事なことは、「あなたの心と直感に従う勇気を持つことだ」(the courage to follow your heart and intuition)と。

そしてジョブスと教育基本条例を起草した人とを比較している。

あの教育基本条例を起草した人は骨の髄まで市場原理と競争原理に毒されている。

教育は商品である。

子供や保護者はクライアントである。

最も少ない代価で最も上質な商品を提供する教育機関が淘汰に耐える。

生き延びた教育機関が良い教育機関で、ダメな教育機関はマーケットから退場しなければならない。

そういう考えです。

子供たちが学校の教育の主人公
そうであり、又、そうでないという。

子供たちが学校の教育の主人公であるのではありません。

よくそういう言い方がされますけれど、それは違います。

子供たちが自分のハートや直感を信じて、進むべき道を自己決定をしていくということについてはもちろん子供たちが教育の主人公です。

でも、彼らがそのハートや直感を信じて、自分の潜在可能性を開花しなければならないのは、そうすると彼らに個人的に「いいこと」があるからではありません。

子供たちが生きる知恵を高め、生きる力を強めてくれると、社会全体にとって「いいこと」があるからなんです。

子供たちが教育を受けるのはもともとは公的な要請です。

だから教育は義務なんです。

維新の会も文科省も時代遅れだと言う。
遅れているように見える物が実は最先端だったりする。

子供はロバじゃない。

子供は人間です。

でも、これはひとり維新の会だけの責任じゃありません。

中教審も文科省も、みんな同じことを言ってるんですから。

文科省のホームページを見る、とにかく国際的な経済競争に勝ち残ることが国家目標であると堂々とうたっている。

金儲けが国家目的だと、ほんとうに書いてある。

そんな「せこい」動機では人間は努力しません。

自分の限界を超えるようなことはしない。

それがなんでわからないのか。

日本は世界三位の経済大国ですよ。

これだけの経済大国でありながら、世界に対してなんら強い指南力を発揮できないでいる。

そして維新の会の教育観は時代遅だという。

申し訳ないけれど、維新の会の教育観というのはもう時代遅れなんです。それでは通用しない。これまでずっと維新の会の言うようなことばかりやってきたんです。その結果がこうなんです。それを改革すると称して、さらに競争を激化して、恫喝におびえるイエスマンや、自分さえよければそれでいいというようなエゴイストをこれ以上作り出して、いったい日本をどうしようというんですか?_今はもう競争の時代じゃありません。もう一回足を止めてゆっくりと、なぜ日本がこんなになってしまったのかを反省すべき時です。そして、その最大の理由が公共の福利に配慮を向ける成熟した市民を育ててくることに失敗した、という点に求めるべきなんです。われわれ自身が自らの市民的成熟の努力を怠ってきた。だからこそ、日本の子供たちは「こんなふう」になってしまった。これはたしかにわれわれの罪です。だからこそ、その反省を踏まえて、共同体をどうやって再興していくか、次代の担い手を忍耐強く育てていくことが求められている。

そして大阪の教育基本条例と橋下氏の考えはアナクロニズムだと言う。

申し訳ないけれど、この教育基本条例を特徴づけているのは、「時代錯誤」です。なんとも古めかしい、二〇年位前のスキームのまま教育を語っている。維新の会代表の橋下さんは自分が時代のトップランナーだと思っているでしょうから、こういうことは言われたくないでしょうけれど、教育基本条例については、彼の最大の問題点は「感覚が古過ぎた」ということです。_たぶん、平松さんもご自身の政策は「ちょっと古いかも」って自覚されてると思います。まあ年も年だし、性格的にも割りと保守的な方ですから。でも、橋下さんは自分を最先端を走っていると思っている。一番新しいことをやっているつもりでいる。でも、考えていることはずいぶん古い。「それはもう使えない」ということがわかった道具を最新流行だと思い込んでいる。それに気づいていない。

以上で紹介は終わります。

是非全文をお読み下さい。
内田樹の研究室平松さんの支援集会で話したこと

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民主主義の基本である情報公開を拒絶し、政治家の説明責任から何度も逃げ出した平松候補を支援する者の言葉に説得力は皆無。

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