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2012年3月21日 (水)

「100分de名著 武士道」(山本博文著) を読んだ。

NHKテキスト「100分de名著 武士道」(山本博文著)
を読んだ。
国際連盟の事務次長でクリスチャンの新渡戸稲造の名著だ。
番組は四回の内一回しか見れなかったがいい本を読んだ。
ある人の協力な紹介があったからだが有難い紹介だった。


アメリカのルーズベルト大統領はこの本のお陰で大の日本好きとなり、このことが数年後に日露戦争後の日露の仲介役をアメリカが引き受けた理由の一つになったとも言われる。
そういう意味ではこの本は負けるべき戦争を勝った戦争にしてしまったとも言える。


新渡戸はクラーク博士の影響の残る札幌農学校卒業後あらためて東大に入学するがその時の何をやりたいかという質問に「太平洋の橋になりたいと思います」と答えている。

新渡戸が武士道を書く動機となったのはベルギーの経済学者ド・ラブレーを尋ねた時のこういうやりとりがあったからだと言う。

「日本の学校では宗教教育がない、ということですか」と、尊敬する老教授は尋ねた。私がそうですと答えると教授は驚いて足を止め、容易には忘れ難い口調で、「宗教がない!道徳教育はどうやって授けられるのですか」とくり返した。(序)

宗教の問題は海外に出た時によく議論になる。

私もイラクにいた時に自宅で一日宗教問題を話していた事がある。
「お前の宗教は何か」と聞かれたので「wifism」だと言うとお前の話は面白いと話が盛り上がる。
そして暫くすると「で、お前の宗教は何か」と来る。「wifism」だと答えると又カミさんの話で盛りあがる。そして暫らくすると「で、お前の宗教は何か」と来る。
これを何度も繰り返し夕方になったので「ある種の仏教徒だ」というとやっと納得して「そうだろう人間は宗教なくして生きて行けないのだから。イスラム教でなくてもいいのだ」とやっと家に帰って行った。

息子は留学先のイギリスのパブリックスクールで神様はいないと友達に言うとお母さんのいう事と違うと友達が泣き出してしまったという。

私も息子も「武士道」を読んでいればもう少し違った対応をしたかもしれません。

「武士道」の第一章にはこうあるという。

「武士道」は、語句の意味で言えば、戦う騎士の道ーすなわち戦士がその職業や日常生活において守るべき道を意味する。ひと言で言えば、「戦士の掟」、つまり戦士階級におけるノブリス・オブリージュnoblesse oblige「高貴な身分に伴う義務」のことである。

武士道では次の七つのキーワードがある。
義 礼 忠 仁 信 智 勇
義 :サムライの掟の中でもっともきびしい、武士道の中心となる教え
礼 :他人の気持を思いやる心のあらわれ
忠 :目の上の者に対する服従及び忠実。但し追随ではない
仁:愛情、寛容、他者への情愛、同情、憐憫
信 :「武士の一言」嘘やごまかしは卑怯
智 :知識ではなく叡智
勇:正しいことを認識してそれを行うこと


「武士の一分」という映画があったがこの「一分」という倫理感概念も武士の問題を考える上で大事な概念だ。

<「義」すなわち「義理」は武士として踏み行うべき道、つまり武士の道徳として倫理的に要請される規範ですが、これに対して、「一分」とは何よりも、「この自分の気持がすまない」という個人の心の動き、やむにやまれぬ感情、面目といった、道徳的というよりもっと個人の心に即した内面的規範です>

著者の山本さんは「ほほ笑みの文化」と言われる物に対してこう書いています。

<私は、東日本大震災のとき、想像を絶する悲しみや苦しみを抑制し、淡々と「ほほ笑み」すら浮かべて話す被災地の人々の姿を見て、新渡戸が鋭く指摘した日本人の特性が、今なお生き続けていることを確信したした。外国には、悲しみや苦しみに直面したとき、大声で泣き叫ぶことが美徳だとされる文化もあります。しかし、多くの日本人にとっても、逆境に直面して「ほほ笑み」を浮かべる人々の姿に、それによって隠されている深い悲しみや苦しみを読み取ることは容易いでしょう。日本人の「ほほ笑み」の文化が、感情をあらわにする文化に寸毫も劣るものでないことは、われわれにとっては自明のことなのです>

確かに外人の自己主張の強さには辟易する事がある。
慎み深い日本人の民族性は世界に誇るべきものでしょう。
行政に言うべき事は言うという自立性も当然育てて行く事は前提であるが。

最後に山本さんの何故「武士道」を読むべきなのかを現代的視点で説明した文章を紹介して終わりです。

>日本には日本の価値観があり、道徳があり、伝統があり、文化があります。もちろんそれは、グローバル・スタンダードではないけれども、しかしグローバル・スタンダードでなければならない必然性はどこにもありません。
そのことを最初に欧米に対してはっきりと表明したのが新渡戸の「武士道」でした。そういう意図をもって書かれたのだから当然です。「武士道」とは、そういう特異な位置を占める名著なのです。
いた、多くの人が、日々押し付けられる欧米流の論理に疑問を持ちはじめていると、私には思われます。それがなぜなのかを理解し、日本人の思考様式というものを自覚するために、この本は読み継がれていく必要がある、あるいは読み継がれていく価値があるのではないでしょうか。

「武士道」のオリジナルも読みたいと思います。

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