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東京新聞の「シリーズ日米同盟と原発」(毒をもって毒を制す)

東京新聞が 「シリーズ日米同盟と原発」の連載をやっている。
二ページを全て使った大特集で今日(1月23日)が第五回目だ。
なかなか意欲的な特集でありこれはいずれ本になり話題を呼ぶだろう。

今日の題は「毒をもって毒を制す」
米国の平和利用キャンペーンに如何に日本の関係者がコミットしたかがテーマである。よく知られた名前が出て来る。読売新聞にはとても書けない内容だ。
項目毎に少しづつ紹介しよう。

1.マスコミを取り込め

1954年のビキニ事件から半年後の新橋の寿司屋での会話がなまなましい。

米国務省の人間というワトソンはビキニ事件後の日本の反核世論にこう懸念を漏らす。
「何か妙案はないか、考えてくれ」
後で日本テレビ専務になる柴田秀利の言葉
「日本には「毒をもって毒を制す」ということわざがある。原爆反対をつぶすには原子力の平和利用を大々的にうたい上げるしかない」
ワトソンはこの助言に感激し、
「よろしい、それでいこう」と話し、柴田をぎゅっと抱きしめたという。
柴田は英語が得意で読売新聞社主の正力松太郎の懐刀だった。
CIA極秘文書にはこうある。
「大手日刊紙とつながりを持つため正力と柴田を取り込むべきだ」

翌1955年正月読売新聞は米原子力平和使節団を招聘する、と報じた。
交渉を纏めたのは柴田だ。
民間交流だったがCIAや米原子力委員会など米政府も関与していたことが判明した。
その年の総選挙で正力は富山二区から「原子力の平和利用」を公約に当選し政界入りを果たす。

2.平和利用で「ばら色」

1955年5月日比谷公会堂で米原子力平和使節団が講演会を行い読売が作ったばかりの日本テレビが中継した。
その後全国10箇所で米原子力平和博覧会が行われ参加者は260万人だった。
米国務省には「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)は日本で成功しつつある。」と報告が送られている。
それに協力した日本新聞協会の新聞週間の標語は「新聞は世界平和の原子力」だった。

3.念願の原子力閣僚

保守合同後の1955年11月の第三次鳩山内閣で正力は原子力担当大臣になる。
初当選で大臣になったのには警視庁時代に担当した政界工作で三木武吉や大野伴陸などの人脈があったから。
正力は親しかった橋本清之助や物理学者の嵯峨野遼吉を重用した。
橋本は中曽根に日本で最初の原子力予算を計上するように進言し、嵯峨野は国産でなく海外の原発を導入するように進言した。

4.「PODAMは協力的」

後に科学技術庁事務次官になった伊原義徳は正力からこう聞いたという。
「おれはプロ野球をビジネスとして確立し、テレビ事業も軌道に乗せた。次は原子力の平和利用に道筋をつけることだ。もたもたしていられない」
柴田の奥さんは正力は総理になりたがっていたと柴田が語っていたと証言している。
CIAの極秘文書で正力はPODAMと呼ばれており当選半年後の1955年8月には「PODAMは協力的だ。親密になることで、彼が持つ新聞やテレビを利用できる」と書かれている。
ちなみに元朝日新聞主筆で自民党副総裁を務めた緒方竹虎はPOCAPONだった。

5.木っ端役人は黙っとれ

正力は1956年に5年以内に原子力発電を実現すると発言し世間を驚かせた。
その発言の前日の原子力委員会の結論は「時期尚早」だったからだ。
委員の一人の湯川秀樹は「そんな話は聞いていない。自主開発の精神を冒涜する」と反発し1957年3月病気を理由に原子力委員会を去る。
5年後発言の1週間後鳩山一郎内閣は研究用原子炉を米国から買うことを閣議決定する。
しかしこれは出力はわずかなので大出力の産業用原子炉の提出を米国は渋ったので英国からコールダーホール原発の導入を決定した。
伊原はコストが高く採算が合わないと忠告したが正力に「木っ端役人は黙っとれ」と言われたという。
五年後宣言のわずか1年後に日本初の原発の建設が決まった。
英国から技術導入した東海原発は1966年に稼働した。
正力は1969年に86歳で亡くなった。
晩年はすっかり原子力熱は冷めていたという。
政界は石橋湛山、岸信介と総理が変わり核兵器配備の議論が起こる。

勿論岸は今の安倍総理の祖父だがどうも血は争えないらしい。
核兵器を持つために原発はやめられないというのが自民党の本音だ。

この日米同盟と原発の歴史を学ぶ意味が今非常に高くなっている。


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