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「新日本歌人」2013年2月号を読んで

十一回目の「新日本歌人」誌の感想文です。
今回は次の6つに分けて書きます。

1.10首選
2.啄木のこと(田中収)
3.特別記録<日本の歌>
4.歌集評 渡部良三「小さな抵抗」を読む(大杉香代子)
5.読者歌壇から
6.ピックアップ歌人


1.10首選(特選◎)
演壇の吾の背後を襲いきし中曽根康弘二十代なり
神奈川 若林義文
「温度の差」と友はいうなり本土の友と奄美の我らとのこの感度の差
鹿児島 赤崎耀子
ながくながく君を心に住まわせて書き来し誇り知られずもよし
千葉 碓田のぼる
冷たかる頬を撫づれば右の眼を薄く開けたり棺の中に
福岡 加来和江
日本での民衆革命の勃発をこの目で見てのち瞼閉じたし
北海道 故 近藤幸男
為政者よアスファルト踏む音をきけ轟き止まぬは民の靴音ぞ
東京 佐藤洋子
新婦人五十周年子に孫にバトン渡せぬ己が悔し
東京 青柳悠
◎足だけは自慢と言いし汝が脚の骨を拾いぬ長く真白し
千葉 長田裕子
ここが死に所と決めし冬蜂の紫陽花の中思い遂げたり
愛知 津田道明
著しきメディアの堕落にしびれ切らし五十年読み来し新聞を止める
大阪 中山惟行

2.啄木のこと(田中収)
「歌と時代と協会と」連載第二回目です。
私も名古屋時代にお世話になった田中先生の渾身の連載です。

各章毎に少しづつ紹介です。

1.病室啄木祭
妹がすまして歌う
ーふるさとの山にむかいて、
二人だけの病室啄木祭(「夜の泉」)
2.春日井啄木祭
渡辺順三が田中礼さんと区別が付かなかった話あり。
3.左千夫と啄木
左千夫は啄木をこう評価している。
「我輩はここで、アララギ諸同人に忠告を試みたい。我諸同人の歌は概して形式を重んじ過ぎた粉飾の過ぎた歌弊が多いやうであるから、石川君の歌などの、とんと形式に拘泥しない、粉飾の少しもないやうな歌風を見て、自己省察の料に供すべきである。」(伊藤左千夫)

左千夫は刹那の感じを残すだけでは駄目と啄木を批判もしているがそれに対して田中さんはこの啄木の「食らうべき詩」の一節を紹介している。

「詩人たる資格は三つある。詩人は先第一に「人」でなければならぬ、第二に「人」でなければならぬ」、第三に「人」でなければならぬ」
そして更にこう続く。
「真の詩人とは、自己を改善し自己の哲学を実行せんとするに政治家の如き勇気を有し、自己の生活を統一するに実業家の如き熱心を有し、そうして常に科学者の如き明晰なる判断と野蛮人の如き率直なる態度を以って、自己の心に起り来る時々刻々の変化を、飾らずいつわらず、極めて平気に正直に記載し報告するところの人でなければならぬ。」

マルクスのいう「燃え立つような情念と冷たく冴えた知性」という二つ必要な資質と繋がるものがあると思う。

4.啄木から学ぶものー伝統と創造ー
渡辺順三が苦しい時立ち帰ったのは「忙しい生活の間にも心に浮かんでは消えてゆく刹那々々の感じを愛惜する心が人間にある限り、歌というものは滅びない」(歌のいろいろ)(啄木)という言葉。

3.特別記録<日本の歌>
引き続き昨年の5-8月号から各30首計120首の東日本大震災関連の歌が選ばれている。
一首のみ紹介します。

陸前高田の瓦礫の跡に「幸福の黄色いハンカチ」風にはためく
東京 浅尾務

4.歌集評 渡部良三「小さな抵抗」を読む(大杉香代子)
渡部良三は1944年に学徒出陣で中国に派遣されたキリスト教徒。

戦地での歌を中心に924首の歌があるという。
二首紹介します。

縛らるる捕虜も殺せぬ意気地なし国賊なりとつばをあびさる
(キリスト者として人は殺せないと貫いた由。復員時にも二等兵だった由)

強いられし傷み残れど侵略をなしたる民族のひとりぞわれは
(安倍首相の父親や祖父とは育ち方が違うがこういう思いは安倍首相と共有したい)

5.読者歌壇から
限界の故郷は今老い五人野生動物の楽園なると
長崎 森谷守枝
(限界集落は野生動物には嬉しいだろうが人間には悲しい現実です。農業や林業の復興の人間技で限界集落は無くせると思います。)

6.ピックアップ歌人
果てしなき不安広がる原発の抗議の中にオキザリスは咲く
神奈川 坂本雄一
(詩情と思いの相互作用がある。)

以上です。

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