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2013年7月 9日 (火)

「新日本歌人」2013年7月号を読んで

「新日本歌人」2013年7月号を読んで

十四回目の「新日本歌人」誌の感想文です。
今回は次の8つについて書きます。

1.10首選
2.ピックアップ歌人
3.読者歌壇から
4.短歌時評「白秋、茂吉の第一歌集からまなぶ」(竹中トキ子)から
5.石川啄木と杉村楚人冠(四)(碓田のぼる)
6.協会とともに六十余年<歌と時代と協会と>(七)(田中収)
7.啄木祭の報告から
8.近県集会の報告から

1.10首選
1.春嵐が列島にしまくTPP参加表明決めし翌日
千葉 本田幸世 p10
2.わが命なおしばらくは続くべし「九条おじさん」などと呼ばれて
東京 蓑輪喜作 p11
3.さくさくと凍れる雪は音をたつ満点の星の煌めきに映え
兵庫 安武ひろ子 p26
4.土地改良によりて絶えたるものあまたあざみ野いちご野ばら卯の花
柳井喜一郎 p26
5.遣唐使その名もゆかし三井楽に満を持しつつ風待ちしと伝う
東京 あまみちゑ p30
6.戦争の惨禍を越えて我が義母は曽孫八人に命分け逝く
熊本 上田精一 p33
7.これで何とかやっていけると当事者の声あがっての収束だろう
大阪 長野洋子 p36
8.惰性へと流れる日々のアクセント歌誌に必ず締め切りあること
北海道 檜葉奈穂 p36
9.謎めいた短歌を一首そっと置き静かに退くのもいいかも知れぬ
福岡 田村 柚
10.大津波が襲ったままの
悪路に立って
身体が震える
戦後焼け野原の記憶
福岡 高原伸夫 p41

2.ピックアップ歌人
君のことばかり想ってしまいますパフェより甘いメール一行
千葉 石毛悦子 p31(特選)
若い!
大いに期待したい。
こっちの歌とどちらを選ぶか迷いました。
トーストの焦げ目の上をじんわりと溶けてくバターのように逢いたい
結局バターより非日常的なパフェを選びました。

3.読者歌壇から
富士の青忍野八海の池の青絵の具のあればとどめしものを
埼玉 伊藤久美子
二つの青い景色が印象的
まさに絵画的であり絵画に残したい景色だろうと思わせる。
この読者歌壇は充実感がある。
この中から多くの人が会員になって八首を投稿して欲しいものだと思います。

4.短歌時評「白秋、茂吉の第一歌集からまなぶ」(竹中トキ子)から
角川「短歌」5月号の北原白秋「桐の花」x斎藤茂吉「赤光」の紹介
坂井修一が「短歌史における金字塔、「桐の花」「赤光」の魅力」を書き
佐伯裕子が「1913年という奇跡の時代」を書き
三枝昴之の司会で内山晶太、斎藤芳生、永井裕が「近代二大歌人の第一歌集を読み直す」という座談会を行っている。
「鑑賞「桐の花」の一首、「赤光」の一首」というタイトルで大河原惇行、佐藤通雅、戸田佳子、桑原正紀、松原盟子、川本千栄が書いている。
白秋、茂吉を読んで見たくなったので有難い指摘だった。

5.石川啄木と杉村楚人冠(四)-閉塞の時代とその親愛-(碓田のぼる)
幸徳秋水が湯河原で逮捕された時に警察が差し押さえた物件目録の中に伊藤博文を暗殺した安重根の写真があったという。
それはサンフランシスコ平民社の岡茂樹の作った絵葉書で漢詩とその英訳とがありこう書かれているという。
「安重根 ハルピンで伊藤公爵を暗殺した殉教者である。卓越した日本の無政府主義者・幸徳伝次郎が書いた詩の複写で、殉教者の勇敢な行動を賞賛している。」
楚人冠も漱石(門)も秋水も啄木(一握の砂)も安重根の行動に敏感に反応している事を知り驚いた。
今日本では安重根はスナイパーであるが韓国では英雄だ。
この違いは将来ともに埋められないものなのだろうか?
この論文の中に面白い推論が一つある。
それは楚人冠の「伯林の春衣」というエッセイがなぜ4月9日付けで書かれているかということである。
明治44年に1月25日に処刑された菅野須賀子の回想がなぜ4月9日付けなのか?
それを碓田さんはこう解く
「年月の191149を全部合わせると25となり菅野須賀子の命日となる。従ってこれは4月9日付けでなければならなかった。」
これは小倉百人一首の秘密を知った時のように興奮した。
しかし他の部分にそれを示すものは無く今のところ碓田さん独自の推論の域を出るものではないと思う。

6.わが短歌人生<歌と時代と協会と>(七)
協会とともに六十余年ー歌集から見た自分史ー(田中収)
項目は、
「万葉集、芭蕉、キリシタン、口語短歌、家族、社会、自然、地域の人々、自分史、信仰」
口語短歌の項の歌を紹介します。

啄木が切り開いた行分けを
「短歌評論」が継ぎ
おれたちが、いま継いでいる

長い、長い道を
一途に歩いてきた。
短歌革新の志、口語歌にたくして

種子をまこう。
堅い大地を掘りおこしてー
短歌を滅亡させない
口語歌の種子

7.啄木祭の報告から(講演のみ触れます)
4.14 東京
清水勝則さんの「新アララギ」の吉村睦人の記念講演「私の中の啄木」の報告あり
清水さんはこう書いています。
(吉村さんはアララギに入会後に土屋文明がしばしば「啄木から入ったものは伸びる」と言っていたことに触れ、それは、たとえ啄木の模倣から歌を始めたとしても、そこから歌が伸びるのは、啄木の歌には一貫して真実を追求する生き方があり、真実こそ芸術作品の中核にあるからだと強調されました。)
(この啄木祭の様子は全編youtubeで見れます。)
5・26静岡
菊池東太郎さんの「かりんの会」の選歌委員の田村広志さんの講演「啄木・憲法・改憲憲法案」の報告あり。
菊池さんはこう書いています。
(特に印象に残ったのは、啄木がこの「大逆事件」について、大島常男へ宛てた書簡の中で「理想的民主政治の国でなければ、決して裁判が独立しうるものではないと信じています」と書き送っている事が紹介されたことです。田村さんは、啄木が、今の憲法のもとでの民主主義の時代の思想に到達していたこと、それを展望していたことを意味することだと述べました。)

8.近県集会の報告から(講演のみ触れます)
長野晃さんの4・27関西近県集会の報告がありました。
講演は京阪短歌会の竹内平(ひろむ)さんの「わが歌にわれ思うー私の心がけ」
大事な事としてこういう項目を挙げられた由
「誰にもわかる歌、自分が存在する歌、わが胸に沿う歌、リズムと調べを大切に、巧みな歌より、胸に響く歌、みずみずしい感性と豊かな叙情、歌会が重要」

大畑靖夫さんの4・20-21九州・山口近県集会の報告がありました。
講演は熊本県歌人協会会長の松下絃一郎さんの「現代短歌の明と暗」
こう書いています。
「現代短歌の起点を終戦と捉え、安保闘争、そして3・11を体験した現代に至るまで、その時々に生まれた歌人とその作品を例に、短歌の変遷を、歴史的背景から紐解いて、独自の新鮮な視点で解説された松下絃一郎さんのお話は、大変わかりやすいものでした。
(ついでに書きますとこの紹介が現代短歌新聞に掲載されていました。大変有難い事ですが新日本歌人が新日本文学となっていましたのでメールとfacebookのダイレクトメッセージで指摘しましたところ誤りである旨の丁寧な謝罪のお手紙を頂きました。)

以上です。
簡単に書くつもりが今回も長くなりました。
お読み頂きまして有難うございました。

この記事へのご意見と「新日本歌人」見本誌請求などはこのページのメールフォームからお願いします。

8月に変更予定ですが現在の新日本歌人のホームページはこちらです。→
http://www.geocities.jp/sinnihonkajin/

以上
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