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2014年7月28日 (月)

復刻版「松川歌集」を読んだ

今年の三月に新日本歌人の関西地区の有志によって復刻版が出された「松川歌集」を読んだ。

Photo

松川事件(まつかわじけん)とは、1949年(昭和24年)に福島県の日本国有鉄道(国鉄)東北本線で起きた列車往来妨害事件。下山事件、三鷹事件と並び、第二次世界大戦後の「国鉄三大ミステリー事件」の一つといわれており、容疑者が逮捕されたものの、その後の裁判で全員が無罪となり、未解決事件となった。

これに関する芸術関係の団体の動きと松川歌集刊行に付いて日本労働年鑑にはこうある。


第二審判決前に商業ジャーナリズムが一斉に松川事件をとりあげて注目をひいたが、判決後、この動きは次第に退潮を示した。この間にあって広津和郎氏が中央公論に五四年四月号から「真実を阻むもの」として連載し続けた文章は、松川事件の訴訟記録と本格的にとりくんだもので、同氏は二審判決の誤謬を明確にえぐりだし、説得力の高い文章で一号も欠かさずに書き続け、五五年にもちこした。この文章は多数の読者をつかみ、世評が高まるにつれて、後に最高裁側から裁判批判禁圧の声がきかれるようになった。

 雑誌世界もまた五四年三月号、同年五月号で松川事件に関連する特集記事をとりあげた。

 進歩的な映画人は松川事件記録映画製作委員会を作り、松川事件対策委員会の企画で映画製作にのりだし、五四年三月に記録映画「松川事件――真実は壁を透して――」(六巻)を完成し、四月からは北星配給として全国の配給網に流すと共に、各種の会合で上映して成果をあげた。

 五四年には単行本としては青木書店「真実は壁を透して」、宝文館「松川詩集」、新日本歌人協会「松川歌集」が出版された。

日本労働年鑑 第28集 1956年版
The Labour Year Book of Japan 1956
第二部 労働運動
第四編 その他の社会運動

歌集の中から付箋を付けた10首を紹介します。

ばからしくさえ思う日もあり潔白の身で生死の淵に立つを思えば
  鈴木信 松川事件被告団代表 鈴木信 (元国鉄労組福島分会委員長)

松川事件の死刑判決を告げし後ラジオ飄々と落語を流す
  上岡芳市

息ひそめきき居ればラジオ声低く伝えぬ悪魔のみが言うことば
  来嶋靖生

直きものの有罪判決を聞きいつつさびしくなりて手を握りあう
  篠弘

啄木を社会主義者にした幸徳事件、君、松川の真相を聴け
  田辺若男

すずきまこと すぐうらさぶろう ほんだのぼる さとうはじめをころしてはならず
  松川大作

いきなりいま捕えられて死刑と言わるるかも知れぬ政治のなかに生きる
  横井源次郎(水野昌雄)
「裁判長、わたしの眼が見えるか?」
判決を聴いた被告は
  口々に言う
  田中礼

獄の格子のつめたさわ
怒りの皮膚の熱が知ろうー。
いのち、うばう理由わ
”見解の相違”とゆうだけ
  福田穂

「見解の相違」とは裁判長何を言う。
見解の相違で
死刑にされてたまるか
  渡辺順三

ーー

この歌集にはこの他にも多くの著名な歌人の歌が並んでいます。
渡辺順三と信夫澄子が書いたと思われる松川歌集刊行会の編集後記には全歌壇から歌を集めきれなかったと書いているがこれだけの歌人が参加していることに驚く。

文学のもつ力は人の心を撃ち魂を揺さぶる底深いものがある。

松川事件はその後の裁判で全員が無罪となっている。
その一助にこの歌集がなったことは間違いない。

最後の渡辺順三の歌についてコメントします。
これは啄木風の三句構成表記だが7音が4つともとれる。

表記し直すとすなわちこうです。


「見解の相違」とは
裁判長何を言う。
見解の相違で
死刑にされてたまるか

このリズム感が印象強く記憶させるのだと思う。
そして「見解の相違」のリフレインがこの言葉を頂点とするこの裁判の理不尽さを表している。

別記事にある集団的自衛権についての作品がインターネットで500も寄せられた事は文学分野の可能性を表していると思う。


復刻版松川歌集(500円)の申し込みは新日本歌人の問合せフォームから出来ます。
以上です。
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短歌は新日本歌人

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