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「いのち」 佐々木妙二歌集を読んで

「いのち」
佐々木妙二歌集(昭和62年発行)を読んで
大津留公彦

佐々木妙二の半身麻痺の歌読みて
動ける妻思い
走れる我思う

ストレートな妻へ感謝の言葉はない
カーブやシュートの歌はあれども

堂々と自我押し通す気配あり
押し通せない気配もあるが

麻痺の手と麻痺の足を持て余し
ひなったぼっこする妙二が見える

半身麻痺の八十歳で
こういう歌が読めるだろうか
孤立恐れず

関わりのなきことには自ら関わらぬ
気になることはなきにあらねど

妙二に見る少数意見貫き通すことしょっつるという言葉を思う

佐々木妙二の「いのち」を読みて
いのち思う
四半世紀の残るいのちを

ーー
「いのち」
佐々木妙二歌集(昭和62年発行)より十首
大津留公彦選

八十年私を支えてきた背骨
老い枯れるとも曲がることなし

どこへでも麻痺の片腕が従いてきて
いつも何かを訴えている

当然のことを言うても通らない
通さなければいつまでも通らない

声あげて泣いてもどうにもならないから
まことにひとは 声あげて泣く

八十をいつまで生きるか生きていて
いつも明日のすることがある

陽だまりに麻痺の片足なげだして
てんとう虫とぬくもっている

あるがままの自分を正直に生きてゆく
それだけでよい それが出来ない

多数決に葬られるとも言い通す
孤立はつねに さわやかにある

人は人、私にかかわりないことだ
そうは思うが なかなか寝付けぬ

屈託なく車椅子押す妻の眸(め)に
耀うものか 欅若葉の

ーー
大津留の歌と佐々木妙二さんの歌の両方から一首づつ選んで頂けると嬉しいです。

以上です。

以上です。

俳句は新俳句人連盟

短歌は新日本歌人
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