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石川啄木の小説「我等の一団と彼」を読んだ

筑摩書房の啄木全集第三巻の小説「我等の一団と彼」を読んだ。
三郷で行っている短歌俳句勉強会での報告の為に啄木の作品を時系列で読んでいる。
来月の明治四十三年の報告をするために読んだ。

小田切秀雄の巻末の解説によればこの小説は明治四十三年の五月末から六月初旬に書かれ、啄木死後の大正元年に読売新聞に二十八回にわたって連載されている。

この小説ははっきりとした筋立てのある小説ではなく、新聞記者仲間の登場人部の会話(特に高橋という「彼」の発言)に魅力のあるエッセイに近い感じがした。
これは完結した中編小説であるが、終わり方は唐突であり、更に続けることも出来たであろう。その場合は啄木唯一の長編小説になったかもしれない。
この時期は大逆事件が起こった時期と重なっており、八月下旬には歴史的な評論「時代閉塞の現状」が書かれている。啄木が思想的発展を遂げた時期でこれ以後小説は書かれていない。
明治三九年の「雲は天才である」からわずか四年間しか啄木は小説を書いていない。
小説に集中することを世の流れが許さなかったということでしょう。
小説を含む全作品を読むことが必要でしょう。

小田切秀雄は啄木の小説の世の評価と「我等の一団と彼」についてこう書いている。

 啄木の小説についての評価が遅れたのは、啄木自身のがわにも責任がないわけではない。かれの小説は全部で十五篇だが、このうち「漂白」・「菊池君」・「刑余の叔父」・「札幌」・「足跡」は未完であり、「病院の窓」のように明らかな失敗作もあって、日本近代文学をその最も高い芸術的水準ににおいて代表する作品群のなかに数えねばならぬのは啄木の場合「我等の一団と彼」だけである。
又時代背景と浪漫主義・自然主義・社会主義についてはこう書いている。
明治三九年から四三年という期間は自然主義主導のもとに反自然主義の諸潮流を激発しながら日本近代文学が飛躍的に発展し、成熟し、たちまち行きづまり、分化していったまことに特別充実し時期であっ啄木は自然主義の近代的な人間解放のたたかいの側面を浪漫派としてまったく独自な方向にうけとめ展開して小説第一作「雲は天才である」を書いたときから、最後の小説「我等の一団と彼」でまさに自然主義を内がわから乗りこえようとする新しい人間造型に到達するまで、時代の文芸思潮の高揚のその突端部と相渉りつつ批判的に摂取し、密着し、打開するという、他に例のない道をきりひらいたのであった。啄木がそのきわめて短い生涯のなかに、浪漫主義・自然主義・社会主義という日本近代の思想・文芸思潮を身をもって強烈に生きぬくことを通して、それらの思想と文学のいわば核心的なものとその内容的・歴史的な関係とを明きあらかにしている、ということはかれの小説においても見ることができるのである。
啄木の小説の読み方につてはこう書いている。
 もちろんかれの場合、小説だけでそれが全面的に表現されているのではない。(中略)短歌や詩や評論や手紙や日記などをふくめた啄木作品の全体によっていわば総合的にそれが強烈豊富に示されているのであるが、このことはかれの小説が歌や詩や評論やと深い内面的な関係と相互におぎなう性格をもっている、ということを意味する。そして、かれの短歌を立入って理解するためにはかれの小説を読むことが必要であり、またかれの評論を深くとらえるためにはかれの小説作品のなかでの素材と文学的思考の実際とをつき合わせてみねばならぬ、ということがある。これを逆にいえば、啄木の小説以外のかれの仕事、特に評論などとあわせて読むことが必要だ、ということである。(後略)
時系列で啄木の作品を読むということは今年度から始めたことですが、碓田のぼるさんの助言を受けての事です。啄木をその変遷の中で動的に読むということでしょう。 毎回啄木全集八巻を全部開かねばならず苦労はあるのですがこの小田切秀雄氏の啄木の小説の読み方がまさにそれを言っていると思います。 碓田のぼるさん、小田切秀雄さんの教えに従い、今後も啄木の全作品を時系列で読んで行きたいと思います。 2018年9月20日 大津留

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