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カテゴリー「新日本歌人」の記事

2019年2月 3日 (日)

新日本歌人2019年2月号大津留公彦10首選

新日本歌人2019年2月号大津留公彦10首選

 p18包丁を新しくしたそれだけで鼻歌が出る今朝のキッチン
神奈川 小林加津美 
★包丁というテーマで統一していろんな状況を歌っている手法に感心しました。
p32協会賞を拝受して永らえることの有意義がしみじみ身に沁む
沖縄 仲松庸全 
★ 賞という物はこうして人を奮い立たせる物なのだろう。「沖縄県唯一の新日本歌人協会員」と先月書いたが仲松さんお誘いで比嘉愛子さんというお二人目が誕生した。
p34押しつけられた憲法というかこれほどの米軍基地は押し付けでないのか 
東京 小泉修一
★ 新しく歌集を出された小泉さんの次の歌集の最初の方に掲載される歌だろう。
p35サーフィンのごと乗り越えたい一日に一度くるゆれ・心の波を
大阪 長野洋子
★この人の若い感性にいつも挽き付けられる。他の歌も素晴らしく月集は当然だろう。
p49 イージス・アショアの予定地を指す市議「欽ちゃん」顔に降る雨平手で拭う
山口 松野さと江
★松野さんには珍しい政治詠だがゆび指すのが「欽ちゃん」なのが松野さんらしい。
p57すっかりと葉を落とした
公孫樹
こんな
素敵に
なれるだろうか 我
長崎 岡本博
★公孫樹の素敵面白い。「なれるだろうか 我」のワンスペース明けがいいですね。
p64シャガールの絵のように言葉が飛んでいる井上陽水の歌に聞き入る
東京 横井妙子
★シャガールの絵のような言葉というのは洒落てますね。どの曲かな?
p65正確に旅の 道連れ言い当てるフェイスブックの顔認証は
愛媛 渡辺玲子
★フェイスブックの顔認証は確かに凄いですね。この歌でFB友達になりました。
特選p68ツワブキは霜月の花友が花闇なるわれに灯りし黄の花
千葉 伊藤青
★今月は千葉の渡辺千代子さんと桜田和子さんの挽歌がありましたがこれを代表とします。
p69これが最後かと思う啄木論に書き惑いまたむしり裂く原稿用紙
千葉 碓田のぼる
★碓田さん そう言わないで次々と啄木論書いて下さい。まだお若いです。 以上です。

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2019年1月16日 (水)

佐藤光良さんの「父のこけし」を読んだ

佐藤光良さんの「父のこけし」を読んだ
中には掌編小説が五つあります。
「父のこけし」「初挽き」「遺作」「肩車」「(さいかち)坂」
いずれも佐藤光良さんの父との関係を書いて居る自伝的な小説です。
一つながりの小説のようだが夫々別々の掌編小説として書かれています。
夫々がタイトルの示すように父の残したこけしの由来を辿るものであり、それを継いだ弟さんの始めてのこけし作りに関わるものであり、父にして貰ったと思われる肩車の記憶であり、坂にまつわるある一日の記憶です。

ゆえあって父のこけしを売りに出す
これは「遺作」のゆくえという作者の佐藤光良さんのあとがきのタイトルです。
こういう小見出しもあります。
取り戻すと力んでみてもすべはなく
いずれも五七五になっております。

「遺作」というタイトルは話の中身と「ひとつらなり」で父の遺作のこけしを売りに出すという自分の体験に基づく小説です。

タイトルは主題と付かず離れずがいいと私は嘗て民主文学の文学学校で習った事があります。
そういう意味ではこの五つのタイトルは主題を想像させるが主題そのままではないといういいタイトルだと思います。

「(さいかち)坂」のみは父及び家族がテーマでありませんが単独の掌編小説の作りになっています。お茶の水・神田・神保町辺りが舞台で私はその辺をよく知っているので興味を持って読みました。

実はこの本の感想文は亡くなった佐藤光良さんの奥様で新日本歌人我孫子支部・湖畔短歌会で一緒させて頂いている歌の友である佐藤ゆきこさんの本をひょんなことでお借りして読ませて頂いたことによります。

実は物語の舞台である福島県平市を歌の友皆で秋に訪問する計画もあります。

この本を読み、弥治郎系伝統こけしと佐藤光良さんの故郷に触れてみたい思いで一杯になっています。
2019年1月16日 大津留公彦

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大津留公彦の2018年新日本歌人特選歌

大津留公彦の2018年新日本歌人特選歌

2018年の12ヶ月行ってきた大津留公彦の新日本歌人10首選の特選をまとめて年間12首選を定めました。
更に其の中から一首を選んでみます。
さてどの歌にするかな

これにします。

素手で生まれて素手にて死に行く人間の一つなる世を思うしきりに
静岡 故・菊池東太郎

故・菊池東太郎さんの遺志を受け留めましょう。

こうやって選を振り返ってみると結局半分以上が挽歌となっていました。
2019年は挽歌が少ないことを願います。

以下2018年年間12首選です。

年間1月号p67 素手で生まれて素手にて死に行く人間の一つなる世を思うしきりに
静岡 故・菊池東太郎
★先月16日に亡くなった菊池さんの絶詠です。「兵戈無用」と題された八首の中の一首です。最後まで社会に発信されてました。合掌!
2月号 p20 コスモスはひとつひとつ揺れ万に揺れ遠賀川原に風まきちらす
福岡 故・大山志津子
★頂いた歌集「白萩坂」の感想文をお送りしたのが十一月で十二月に亡くなったとこのアンダーラインが付いている号で知りました。優れた歌人を失って誠に残念です。 合掌!
3月号 p8 これを機に生き方変えよと誰も言う歌への陥没やめよというか
故・菊池東太郎 静岡
★「歌への陥没」というのは菊池さんの言葉かどうか不明だがそういう状態ではあっただろう。
4月号 p53 お湯が出る、ストーブもある。/日本国憲法二十五条って/あったかいなあ。
青森 木村美映
★福祉は権利です。この歌を福祉事務所に張り出したい。
5月号 p32 追悼の鐘は尾を引き消え去りぬわが悲しみも滲み消えゆけ
兵庫 安武ひろ子
★阪神淡路大震災から23年経つが安武さんの中では記憶がどっしりと根を張っている。
6月号p36 オオカミも腹出す子らも山遊ぶ妻待つ秩父へ兜太は還る
埼玉 谷口澄江
★金子兜太さんの周辺に詳しい作者らしい挽歌です。「還る」がいいですね。
7月号p58 笑顔映ゆる栞の表紙薄萌黄檜葉奈穂さんの偲ぶ会 春雨
北海道 道 真理
★ ワンスペース空けて 春雨というのはいいですね。
檜葉奈穂さん お世話になりました。結局機会はあったのに入会して頂いた時の一度しかお目にかかれませんでした。不義理をお許し下さい。安らかにお眠り下さい。
8月号p30またしばらく仕舞いおかんか棚奥に君にもらいし『一握の砂』 山口 古川千恵子
★ 時々啄木の歌集を出して見る習いは歌集を呉れた人を思い出す事でもあるのでしょう。
9月号特選p52「ホタルになって帰って来る」/特攻は/開聞岳に別れを告げた 
長崎 岡本博
★ ホタルは帰ってきただろうか? わが父も兵隊で鹿児島に居たことだけは聞いたが。
10月号p4 喉の奥まで笑いしことも無きままに妻逝きて二年半われの光陰
千葉 碓田のぼる
★亡くなった奥様を想う絶唱です。「碓田のぼる」を喉の奥まで笑わせてみたい。
11月号p29 階下より二階の妻に大声で翁長さんが死んだ!!と叫んで泣いた
大阪 中山惟行
★歴史的な歌です。「選のあとに」で城間さんも大泣きに泣いて翌日目が赤くなったという。
12月号p58 「保育園の屋上のプールふっとんでん」もう入れんと子らは涙目
大阪 川岸和子
★ 震災の多かった年の代表歌。大阪の子どもの言葉の直採用がリアリティを出してます。

以上です。 以下各10首選の記事のリンク先です。
12月号http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-28.html
11月号http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/20181110-bfbb.html
10月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-29.html
9月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/post-18.html
8月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/post-33.html
7月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-29.html
6月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/06/2018610-bc51.html
5月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/04/post-18.html
4月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/2018410-4aca.html
3月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-3.html
2月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post.html
1月号 http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/1-c150.html

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新日本歌人2018年9月号10首選 

新日本歌人2018年9月号10首選 大津留公彦
p4 この歳になりて盛んなうたごころ無尽蔵なるわが句わが歌 
千葉 藤井元基
★ 藤井さんは今乗りに乗ってますね。俳句も短歌も全開です。見習います。
p9 タマシギは雌雄逆転の鳥らしい来世あるならタマシギの雌に 
鹿児島 八並美智子
★ タマシギの雌は雄ということですね。私はタマシギの雄になりたい。
p24 会議では真向かいの席の菊池さん卓の紫陽花に面影よぎる 
東京 阿部美保子
★ 新日本歌人常任幹事会で私は隣の席でした。今スペースが空いています。誰かが埋めてくれるでしょう。
p30 市議の子のハルクン一年生「父ちゃんの仕事は戦争に反対すること」
京都 奥田君子
★ きっとハルクンは自分の頭で考えるいい大人になるでしょう。
p36 憲法は「嘘つくな」「戦争するな」だけでよし住井すゑさん言いしこと 
茨城 土谷ひろ子 (月集)
★ 文学学校の企画で住井すゑさん宅でお話を伺ったことがある。殆ど憲法のお話だった。
p41 二十近きキャンセル妻に頼みつつ今さら思う人と生きたる 
長野 久保田武嗣
★ 他の歌では久保田さんは脳梗塞で半身不随だとの事ですが頑張って欲しいと思います。
p42 亀次郎を語る仲松庸全氏はまた歌人、立法院議員、県議となり亀次郎とありき 
長野 黒田晃生 
★ この度受賞された沖縄の仲松庸全氏の経歴はこの歌で分かる。映画「カメジロー」にも登場されているという。
p47 9条署名しないという人の言い分を耳をそば立てしっかりと聞く 
三重 荘司光子
★ こういう態度が大事ですね。こういう人が変わらない限り日本は変わらないのだから。
特選p52 「ホタルになって帰って来る」
特攻は
開聞岳に別れを告げた 
長崎 岡本博
★ ホタルは帰ってきただろうか? わが父も兵隊で鹿児島に居たことだけは聞いたが。
p75 最終の列車はようやく動き出しため息の数窓は曇りぬ 
熊本 竹山真知子
★ 下の句は上手いですね。この作者に注目します。「し」と「め」の間を空けたいですね以上です。

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2018年12月22日 (土)

大津留公彦の新日本歌人2018年12月号10首選

大津留公彦の新日本歌人2018年12月号10首選 

p4 余生にも敵はあろうと思いおり最強は妻最弱も妻 
広島 錦武志 
★一読して意味が不明だったが二度目にこれは思いの深い歌だと思って採った。 
p36 父よ母よこれがあなたの曾孫です仏間駆け抜け鬼ごっこする
山口 森田アヤ子
★思いが共有出来ます。曾孫が鬼ごっこする姿を見れる父や母は幸せです。
p41 協会賞 仲松庸全氏の報に沖縄の友は声うるませる
千葉 芦田和子
★電話での事でしょうか?沖縄県唯一の新日本歌人協会員の引続く健詠に期待しています。
p41 酒さかな整いくれし夫と二人新人賞にグラス合わせる
★祝ってくれる伴侶の存在は何者にも代えがたいですね。改めておめでとうございます。
特選p58 「保育園の屋上のプールふっとんでん」もう入れんと子らは涙目
大阪 川岸和子
★震災の多かった年の代表歌。大阪の子どもの言葉の直採用がリアリティを出してます。
p60 本番の全国学テの予備テストそのまた予備もあると中学生(こども)ら
長野 久保田武嗣
★そんな事になっているのですね。外で遊ぶ時間はないですね。この国の未来が心配です。
p60 「長崎に新型爆弾」聞いた午後 土間に竹槍三本あった
神奈川 久米武郎
★省略が効いてますね。いい短歌のパターンがここにあります。一字空けも効果的です。
p69 発狂は なべて兵卒、
   上官ではない。
   これの事実の 意味するものよ。
神奈川 上原章三
★このテレビの番組は私も見ました。戦場で人を殺した人の多くは世界中で発狂している。
p76「新日本歌人を頼むよ」とわが腕を堅く握りき酔いたる勢(きお)いに
埼玉 小山尚治
★この歌を読みながら思わずうるうるしました。タイトルは「報告・故菊池東太郎さんに」 
p84 「駅の子」の寒さに震え飢える日々「国はおにぎりひとつくれなかった」
茨城 土谷ひろ子
★この夏のテレビ番組で最も印象に残るものです。見た感動を短歌で残す事も短歌の役割。
P85 インスタの動物たちに癒されて職場でニヤニヤあぶない私
徳島 十川朋美
p76 新日本歌人にも新しい感覚の働く歌人が登場しています。大いに期待しています。
以上です。

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新日本歌人2018年7月号10首選

新日本歌人2018年7月号10首選 大津留公彦
p9 去年の今日夫が最後に行きしデモあの日と同じ場所に娘は立つ
鹿児島 児玉惠智子
★ 亡くなったおとうさんを偲び父と同じ場所のデモに娘は参加しそれを妻は応援する。こういう親子夫婦関係は素晴らしいと思います。
p30 句の中に動詞はせめてふたつまで愛した人はひとりだけです
福岡 田村柚
★ うまいですね。且つ若いですね。歌の中に動詞は二つまでですね。
この歌に歌論を教えて頂きました。
p31 お子さんがいらっしゃるから帰りなと言ってるわりには見て見ぬふりをする
徳島 十川朋美
★ 労働の歌が少なくなっている新日本歌人に労働の現場を歌う若い作者が登場した。ネット歌壇に投稿頂いて会員になってからの初投稿です。期待しています。
p38 描きかけの絵にも似たりし山桜 虚無のひとつがぽっかり浮かぶ
熊本 大畑靖夫
★ 一連の叙景歌の言葉の巧みさに感心した。山桜と虚無の間を空けるのは当然でしょう。
p52 啄木祭の三郷を訪いたり街路樹の白きハナミズキ溢れる町なり
東京 中山洋子
★ 三郷啄木祭が歌に登場した。確かに三郷啄木祭の頃はハナミズキが満開でした。会場の近くの早稲田公園には遅咲き八重桜も咲いていました。
p55 嫁ぎ行く相手の顔もしらぬまま母は父との縁紡ぎたり
東京 兵頭喜美代
★ 我が母も最初に父と会ったときは人が多くてどの人か分からなかったと言っていた。二度目に会ったのは結婚式の時だったそうです。今は昔ですが。
この方もネット歌壇からの入会者です。
58 笑顔映ゆる栞の表紙薄萌黄檜葉奈穂さんの偲ぶ会 春雨
北海道 道 真理
★ ワンスペース空けて 春雨というのはいいですね。
檜葉奈穂さん お世話になりました。結局機会はあったのに入会して頂いた時の一度しかお目にかかれませんでした。不義理をお許し下さい。安らかにお眠り下さい。
p68 政治に疎遠にされ/種子法が前のめりしてきた/過疎に消される家
京都 井口牧羊
★ TPPについての怒りを歌ってきた農家の井口さんが種子法復活を願って歌っている。
p78 震災の「語り部となる」と老いは言う家族みな失いし仮設の部屋に
東京 石川靖子
★広島・長崎に語り部がいるように関西・東北・中九州にも震災の語り部がいる。以上

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2018年11月 1日 (木)

新日本歌人2018年11月号10首選

恒例の10首選です。

新日本歌人2018年11月号10首選 大津留公彦

p3 北海道百五十年を祝うとうアイヌモシリのアイヌは怒る

北海道 小松博子

★ この歌にアイヌにとってこの百五十年は忍従の歴史だという事に気付かされた。

p6 三月の風強き田にすてられし生れて五日め吾をすてし母

高知 佐野暎子

•悲しい自分史をお持ちですがこれは残すべき日本史の一部でもあるでしょう。

p10 キャンプ岐阜海兵隊がいて沖縄に移駐せしこと今は知られぬ

岐阜 竹中トキ子 

★これも知らなかった事を教えてくれた。短歌の歴史証言性を感じます。

p26 被爆者を真っすぐ見つめ若き母は幼子抱き署名に応ず 

宮城 堤智子

★一人の被爆者の歴史がこの若い一人の母親に伝わった。幼子にも伝わるだろう。

p27 「生産性」なき児と浅瀬に興ずれば夏のびわ湖は彼方まで凪

滋賀 中川恵美子

★「子を産まないLGBTは生産性がない」という言葉の「生産性」は今年の流行語になるか。

特選 p29 階下より二階の妻に大声で翁長さんが死んだ!!と叫んで泣いた

大阪 中山惟行

★歴史的な歌です。「選のあとに」で城間さんも大泣きに泣いて翌日目が赤くなったという。

p30 狭苦しい陸地で何をごちゃごちゃと大きな海に笑われますぞ

大阪 乃木倫子


•身辺詠にも政治詠にも取れます。普遍性がある歌は残ります。表現に若さを感じます。

p38 「北鮮」も「北朝鮮」も使わない短歌を詠まん墨黒々と

神奈川 梅田悦子

★墨黒々が啄木を意識している。「北鮮」だけでなく「北朝鮮」も差別語という事か?

p59 経営学―

奇想とも思える子の主張も

 論争をねばり

IT時代の若さを悟る。

神奈川 上原章三

息子さんの経営学のレポートを手伝ったという。きっと新しい刺激を受けた事でしょう。

p66 花火なら見飽きてるぜと溶接工今日は娘を担いて見上げる

茨城 岡崎隆史

★確かにそうでしょうね。働く若者の日常が見事に切り取られてます。いい社会詠ですね。

以上です。


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2018年9月26日 (水)

新日本歌人2018年10月号10首選と読みどころ

新日本歌人2018年10月号10首選 大津留公彦

p4 アンデパンダン戦後の創始に加わりし杉本博わが師の名あり
埼玉 乾千枝子
★杉本博氏は晩年我が三郷市文化会館で指導されていた。そんな方だとは知らなかったが。
p4 喉の奥まで笑いしことも無きままに妻逝きて二年半われの光陰
千葉 碓田のぼる
★亡くなった奥様を想う絶唱です。「碓田のぼる」を喉の奥まで笑わせてみたい。
p10 多喜二忌に深紅の薔薇を食卓に一輪活けて彼の書を読む
岡山 鬼藤千春
★映画「小林多喜二」のエンディングは点々と獄舎の窓に薔薇が並ぶ。
p22 生きるため必死に覚えしひらがな字「ゆるしてください」五歳児の文
神奈川 久米武郎
★いろんな事件が起きては消えて行く。「結愛(ゆあ)」ちゃんという名を忘れない。
p27 お互いに「手をつなごう」と言えなくて黙って歩いた夜半の平和台
宮崎 白江純美
★純美さんと私は福岡で同じような青春を送ったようだ。
p40 エジプトの土産のラクダ無残にも地震の揺れに足みな折れぬ
大阪 林智恵
★大阪北部地震や西日本災害の歌が多くありましたが、事実のみのこの歌を頂きました。
特選p44 「しのび寄る」と皆が言うなら手を広げ迎えてやろう「老い」という奴
神奈川 加藤文裕(月集)
★月集に選ばれた七首の歌は皆いいですが、この歌のどっしりとした前向きさを頂ました。
p45 この戦必ず負けるとつぶやきし父よミタテと何故名づけしや
千葉 玉田ミタテ(月集)
★天皇の「御盾」でしょうがそういうお父さんなら当然の疑問ですね。一生に一度の歌。
特選 p46 花一片落つる間の一世とぞ夫の冷えゆく固き手に触る
奈良 宮森よし子(月集)
★亡くなった夫を想う絶唱です。この歌を今月の我が特選とさせて頂きます。 
p64 召集令状―/あと十分/あと五分/妻を描いた最後の一枚
長崎 岡本博
★信州の「無言館」の絵ですね。日本の政治家はみな行くべき所でしょう。
p74 六十代の我がフィナーレぞ啄木祭を百五十余名で開き得しこと
大阪 秋沼蕉子
★来年は是非七十代の最初の関西啄木祭を成功させて下さい。
以上です。

以下新日本歌人2018年10月号の読みどころです。

p12 “九条おじさん”のことなど まひる野 横山三樹
我が新日本歌人所属だった故・蓑輪喜作さんを「発見」したという話です。
小金井の九条の会の人から貰った本が「“九条おじさん”がゆく:署名は愛だ」でその帯に「集めた署名は3万5千!ひょうひょうと自然体の人気者」とあるという。
そしてこの本の跋文として市民連合の高田健さんが見事な蓑輪論を書いているという。
読んでみたいものです。

p48 ロンドンの反トランプ・デモ 渡辺幸一
今年7月のトランプ大統領訪英時の反トランプ・デモの様子のドキュメントです。
最後はこうである。
「一昨年亡くなったジャーナリストのむのたけじは生前「始めに終わりがある。抵抗するなら最初に抵抗せよ」と語った。蓋し名言である。トランプの場あたり的なやり方で世界の意思を示さねばならない。日本についても同じことが言える。安倍政権が憲法を改悪して、日本が世界のどこでも戦争が出来る国になる前に、私たちはあらゆる機会を捉まえて声をあげてゆく必要がある。反トランプのデモに参加して私はそのことを再確認した。
 ロンドンの若者たちと行進す「Dump Trump」の声あげながら」
なんとタイムリーな私たち日本に住む日本人への呼びかけであろうか。

p50 没後五十六年・秋田雨雀の短歌 木村美映
秋田雨雀の童謡は知っていたが、短歌は知らなかった。
木村さんの短歌の師である川崎むつおやその実質的師である鳴海要吉やプーシキン研究家の鳴海完造などが登場する。
初めて知ったのは宮本百合子の「道標」に出てくる秋山宇一と内海厚はそれぞれ雨雀と完造だという事です。
川崎むつおの真の歌の師匠は渋谷悠蔵という歌手淡谷のり子の伯父だそうです。
啄木の三行書きに影響を与えた土岐善麿の「nakiwarai」のローマ字歌集のあと鳴海要吉は「tuti ni naere」を発行し、雨雀は要吉「しとね」のエスペラント訳を出している。

p54 「九条」俳句不掲載問題から考える ー表現の自由、人権ー 新俳句人連盟 畠中耕
さいたま市の公民館でこの句が「公民館だより」に掲載されなかった問題についてです。
「梅雨空に「九条守れ」の女性デモ
弁護団は国家賠償を求める理由として次の5つの権利侵害を主張したそうです。
表現の自由、学習権、人格権、公の施設利用権、掲載請求権
第一審の判決は被告は5万円を払えというもので、第一審の判決は5千円を払えというものだが、「基本的人権の侵害まで裁判所が踏み込んだ判決で、勝訴である。」との事です。
更に上告審で争っています。
その他読みどころ満載です。

以上です。
2018年9月26日 大津留公彦

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2018年7月29日 (日)

新日本歌人2018年8月号10首選

新日本歌人2018年8月号10首選 大津留公彦

p2 学ぶこと身にしみている島民の民度の高さ示す憲法 群馬 白石亜矢子
★『「大島憲法」を訪ねる旅』と題された中の一首。日本国憲法よりも早く作られたという大島憲法を教えて頂きました。
p5 別れ惜しみ歌人協会の仲間らと納まる一枚に大きなピースす 長野 たなせつむぎ
★たなせつむぎさんは長野に引っ越しされました。信州に短歌のそよ風が起こると思います。
特選p27亡き妻に固く約ししかの夜ありしかと世直ししてぞ見(まみ)えん 北海道 早川典宏
★ こういう同じ方向性を持った真っ直ぐな夫婦関係は素晴らしいと思います。
p29八十なれば短歌やめる人多きとや我は八十にて短歌を始めき 福原すえ 山口
★ 短歌を作れるということは健康のバロメーターでもあるのでしょう。傘寿の新人に期待します。
p30またしばらく仕舞いおかんか棚奥に君にもらいし『一握の砂』 山口 古川千恵子
★ 時々啄木の歌集を出して見る習いは歌集を呉れた人を思い出す事でもあるのでしょう。
p37「可愛い少女(イレーヌ)」より「奇跡の少年(キャルソン)」だなあと孫私はモネの睡蓮が好き 東京 森川玉江
★ 「私はモネの睡蓮が好き」のきっぱり感が好きです。微笑ましい孫との交流を感じます。
p59ブルーベリーの小花にもぐる花虻の羽音のみなる私の真昼 三重 大杉香代子
★ 「苦海浄土」という題の中で敢えてこの歌を選んだのは研ぎ澄まされ精神性を感じたからです。
p67あさのむコーヒー
  つれあいも ぼくも
  それぞれにいみがあって 広島 階見善吉
★ 琉歌のリズムに近い。「いみ」も意味深長です、善吉さんは目覚めのコーヒーだと思いますが。
p75今年またうまい米作る願いこめ水門開けばおどりゆく水 鹿児島 小原俊幸
★ TPP11に抗い農業の復活を!
p78ぼくちゃんは転んでないと言うけれどお顔とひじに泥がついてるよ 神奈川 久米武郎
★ 政治風刺の歌が並ぶ中の歌です。
以上

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2018年6月 6日 (水)

新日本歌人2018年6月号10首選

新日本歌人2018年6月号10首選 大津留公彦

 p7 ディスプレイに施設の名前浮かびくる受話器持ち上ぐわが手は震えつ 
京都 芦田幸惠
★ナンバーディスプレイという現代的便利さがこういう歌を生みました。
 p9 まぶしみて空に大きく♪を書くハミングすれば鬱の消えゆく
埼玉 伊藤敬子
★♪という記号を使った歌に初めて出会った。音符と読むのでしょうか。
 p10 昭和恐慌の惨憺に生きし父よ母よ子は永らえて九十となる
千葉 碓田のぼる
★卒寿を迎えられて碓田先生は自分史短歌を作られているか。
 p26 「道しるべ兜太でありぬ山眠る」悼句記して記事をまた読む
愛知 小田明
★存じませんが俳句もやられる方でしょう。悼句を入れ込んだ挽歌ですね。
 p36 オオカミも腹出す子らも山遊ぶ妻待つ秩父へ兜太は還る
特選 埼玉 谷口澄江
★金子兜太さんの周辺に詳しい作者らしい挽歌です。「還る」がいいですね。
p45 廃業の町工場の窓ガラス割れ目に注ぐ春の陽光
神奈川 田之口久司
★上手いなと思いました。主観語が全くなく、春の陽光に喋らせてます。
 p54
雑草を引く
しっかり張った その根
生きているものの
 それぞれの型
京都 井口牧羊
★自由律短歌(行分けという形態の)ではこの客観写生も上手いと思いました。
 p64 千両の赤き実冴ゆる如月はわが九十五歳の誕生の月
三重 長尾蔦江
★私の選歌の記憶の中では最高齢に近い。高齢を嘆かずこういう歌を作りたい。
 p65 何か違うどこかちがうと思いつつ歌誌の歌人のうたを読みたり
大阪 中山惟行
★短歌雑誌の有名歌人の歌の社会性の無さを嘆いているか。
 p71 褪せず剥げず八百余日睨む兜太の「アベ政治を許さない」門に踏ん張り
福岡 松尾千代
★これは闘いの歌であり金子兜太さんへの挽歌でもあるでしょう。 以上です。

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