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2006年10月 8日 (日)

「派遣業界リアル残酷物語」

プレイボーイの10・16号の[憲法九条を世界遺産に」のコンビの太田光と中沢新一の対談の記事は前に書いたがその号の中の「派遣業界リアル残酷物語」という記事について紹介します。

派遣社員がこの3年間で3倍増の120万人になり年収は150万円以下。

ここに「下流社会」の元凶があるという記事だ。

なかなか若者に向けたプレイボーイらしいメッセージになっている。

この3倍増の原因は言うまでもなく平成16年の「労働者派遣法」の改正(悪)。

派遣期間や派遣対象が大幅に広がった。

特に製造業が自由化になったことが大きい。

派遣社員の8割が年収300万以下です。

「しのびよるネオ階級社会」(平凡社)の著者、林信吾氏も指摘する。

「・・・派遣雇用者の多くは年収200万円以下。平均的な正社員は約430万円。じゃ、残りはどこに行っているのですか?企業と派遣会社で100万円づつ取ってるんじゃないですか」「日本経済を立て直すためには仕方なかった」という大義名分で、そんなことを続けているんです。」

大変に分かりやすい説明だ。

ここに企業の空前に利益の構造があり、派遣会社が毎日会社に売り込みにくる構造がある。

派遣会社から去年独立して派遣会社を興した人の話しもある。

「派遣会社は増え続けているよ。だって、ノウハウさえ身に付ければ起業は簡単な上、メチャメチャ儲かるんですよ。ものの本には「報酬は、雇用者に8割、派遣会社に2割」と書いてありますが、守っているところは少ない。とにかく働く人間がいて、欲しがる企業との付き合いがあれば永遠に儲かり続けるんです。こんあ美味い話、みんなやりたがるでしょ。」

雇用者に対しての彼の見方はこうだ。

「正直言って、“金の成る木”ですね。だって、文句も言わずに働いて売上げをもたらしてくれるわけですよ。だから、辞めない人間が一番。文句ばかりの向上心がない人、他に働き口がないオジサン、同じ場所で夢を語ってる若い子、そういう負け組みですね。え、能力?いいんですよ、低くて。手足がちゃんとついてさえいればOKですから」

あいた口が塞がらない。

企業コンサルタントで『「クビ!」論』(朝日新聞社)の著者、梅森浩一氏は語る。

「派遣業界はこれからも大きくなり続けますよ。今、派遣会社は何をしているかというと・・新卒に手を出しているんです。「テンプツゥーパーム」といって「派遣で雇って、能力があると判断したら正社員に切り替える」というシステムがあるんです。派遣会社は新卒にこれを勧めている。そんな状態ですから派遣が減ることはないですね」

だれがこの仕組みを考えている?。

政府の諮問機関に出ている大企業の派遣者か?

プレイボーイらしい若者への現実的メッセージもある。

「だから派遣雇用者も努力しなくちゃいけない。遅くても30代のうちに資格を取っておかないと、40代になったらますます底辺に追いやられてしまいます。負け組みにも負けるだけの理由があるんですから」(前出:林氏)

プレイボーイ誌の結論はこうだ。

「確かに“本当の自分らしく”そんな言葉に誘われ、「自由な時間」や「手っ取り早い金」を選んだのは彼等だ。しかし、泥沼のような無間地獄に陥ってしまった責任をずべて彼等に押し付けるのはあまりに刻だろう、安倍首相よ、残酷物語から抜け出す道を早くつくれ!!」 賛同です。

10・16号のプレイボーイに大きな拍手を送ります。

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非正規雇用」カテゴリの記事

コメント

junsky様
コメント有難うございました。
仰せの通りです。
訂正しました。

 なるほど、プレイボーイらしい取り上げかたですね。若者が惹きこまれて読み、こんな社会で良いのか?誰がこんな世の中に(「政策」という意識にはならないかも知れませんが・・・)したんだ?と考え、去年小泉・自民党に投票したことが大きな間違いであったことに気付いてくれればよいのですが・・・
 去年の選挙では、ニート・フリーター・不安定雇用の人達がこぞって小泉に期待して自民党に投票したと言いますからね。

ところで、上の引用の中で
>・派遣雇用者の多くは年収200万円以下。平均的な正社員は約430万円。じゃ、残りはどこに行っているのですか?企業と派遣社員で100万円づつ取ってるんじゃないですか・<
のところの後半は、「企業と派遣会社で100万円づつ」のことですよね。

産業界が政府に圧力をがんがんかけているので日本がどんどんおかしくなっていると思いますね

http://www.kokuminrengo.net/2006/200602-tax-tnym.htm

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