安倍内閣へ突きつけた強力パンチ
前の記事神戸地裁判決についての各紙社説と前の前の記事おめでとう!(中国「残留孤児」神戸訴訟勝訴)
に続く3度目の記事になりますが中国残留孤児の神戸地裁の判決は歴史的だと思います。
私が画期的だと思うのは次の部分です。
1 戦闘員でない一般の在満邦人を無防備な状態に置いた戦前の政府の政策は,自国民の生命・身体を著しく軽視する無慈悲な政策であったというほかなく,憲法の理念を国政のよりどころとしなければならない戦後の政府としては,可能な限り,その無慈悲な政策によって発生した残留孤児を救済すべき高度の政治的な責任を負うと考えなければならない。
この憲法の理念を国政のよりどころとしなければならない戦後の政府というのは教育基本法を変えて憲法を変えようとする安倍内閣へ突きつけた強力パンチではないだろうか?
ここで「憲法の理念」というのは憲法九条に他ならないと思うからです。
以下非常にわかりやすい神戸地裁の判決の解説を紹介します。
こういうわかりやすい解説が大事ですね。
引用開始
1 帰国したがっていた残留孤児に対し、政府はややこしい無茶な手続きを科したが、これは帰国妨害行為といえるので違法である
(そりゃそうだよな)
2 政府が、帰国した残留孤児にちゃんとした支援策を講じなかったのは違法である。政府に責任のない北朝鮮拉致被害者でさえ手厚く支援を受けているのに、それと比べてあまりに貧弱じゃないか
(なかなか鋭い指摘ですねえ)
3 本件は戦争損害の問題ではなく、その後何十年も経った後の帰国政策の問題だから、戦争責任受忍論の問題じゃない
(こういう視点だと高等裁判所もひっくり返しにくいですね)
4 ただし法律で定めた除斥期間(20年)があるので、帰国してから期間が過ぎた4人の請求は棄却する
(ここは法律の限界か・・・)
橋詰裁判長は、判決言い渡し後に、次のようにコメントしました。
被告、原告ともに、この判決の内容には不満があると承知しています。
この訴訟で原告がもとめていた所得保障や老後の生活保障についてはこの判決では判断していません。
判決内容には批判もあると思う、裁判所はそれに謙虚に耳を傾けたいと思います。
けれど、一言いわせていただきたい。
除斥期間、立法裁量。考えれば考えるほど、合議すればするほど、裁判による、裁判を通じての、問題の解決には、非常に大きな限界があると痛感しています。
それから、訴え提起から3年以内でこの判決の言い渡しができた。こういう裁判にしては、それほど原告のみなさんの時間を無駄にしていないのではないか。
それは原告被告双方の訴訟進行に対する理解、努力があったからこそだと思います。双方代理人に感謝を申し上げます。
これから、省庁を相手にした第2ラウンド突入です。
引用終了
弁護士さんたち 頑張って下さい!
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