「生きたかったよ」「死にたくなかったよ」
「九条の会」メールマガジン記事の詳細 (第30号)から紹介します。
映画人九条の会メールからの転載の転載です。
君のためにこそ死にいく
『パッチギ!LOVE&PEACE』
『TOKKO・特攻』(原題『Wings of Defeat(敗北の翼)』
の紹介があります。
映画人九条の会 お薦め映画紹介
7月29日を投票日として、いま行われている参議院選挙に、安倍自民党は「マニフェスト」の公約の第一に、改憲を明記している。映画分野では、この5月、6月、政治的テーマ・特攻を描いた二つの映画が、公開上映された。一つは、石原慎太郎製作・総指揮・脚本の映画『俺は、君のためにこそ死にいく』、もう一つは、井筒和幸監督の『パッチギ!LOVE&PEACE』。前者は、死んでいった(殺されていった)特攻隊員に対して、「素晴らしか、美しか」と賞賛し、戦前・戦中への回帰を狙った作品。後者は、映画の中で、『太平洋のサムライ』という映画制作のストーリーを取り入れ、在日韓国人の若い女性が、特攻で死んでいく恋人に、「お国のために死んでください」というセリフは言えないと拒絶、かつ「戦中、徴兵から南の島に逃れ、生きのびた父を誇りに思う。その父が生きのびて、私が生まれ、生命がつながっています」という。石原映画とは対極にあるものだった。
さらに、この7月、同じ「特攻」をテーマに、日系二世の森本リサさんが『TOKKO・特攻』(原題『Wings of Defeat(敗北の翼)』/ドキュメンタリー)を制作。この作品が7月21日(土)から、渋谷シネ・ラ・セットその他順次公開で、上映されている。
●生存している特攻隊員は語る──「生きたかったよ」「死にたくなかったよ」森本リサさんのこの映画制作の動機は、特攻について、前述の『君のためにこそ』のように、哀悼の意を捧げる考え方や、他方、“KAMIKAZE”といって狂信的な象徴のようにも言われるが、リサさんの神戸に住んでいた元特攻の叔父は、そういう風に見えなかった、として──。そこから、元特攻隊員の生存者や叔父を知る親族などへの取材の旅を、彼女は始める。
●生存者が突撃直前に想っていたことは、一体何だったか「ラジオを持っていましたから、アメリカが発表する特攻による死者の数と、日本軍が明らかにする死者の数の違いもわかっていました」「エンジンが故障し、(生きたかったから)相棒と話し合って『引き返そう、帰ろう』と引き返し、辛くも生還、戦後を生き抜いてきました」「一言で言えば、『生きたかったよ』『死にたくなかったよ』ということです」「本当に死にたくなかった。生きたかったんだよ」。
エンジンが故障し、日本本土から75キロ南の黒島沖に不時着し、島民から芋をもらって生き延びた江名武彦氏は、今日、黒島の戦忌慰霊式に出席し、次のように語っている。「特攻について謙虚に語らなくてはならない」「国の対立の手段として戦争はしてはならない。人類の英智で解決しないと、この地球はもたない」。
●天皇と特攻について、踏み込んでいる天皇と特攻作戦とは、どういう関係にあったのか。興味深いところ。この作品は、そこに踏み込んでいる。1944年、レイテ海戦での大西瀧治郎中将が創始の特攻作戦を実行。ここの所をこの映画は、大西中将が「ここまでやれば、天皇が戦争をやめるのではないか」と考えていたことを紹介する。その中将の想いとはあべこべに、天皇の「特攻はよくやった」という言葉を、指導指揮官が隊員に伝達することをも紹介。これは、日本映画では、まったくといってよいほどに見られないし、聞かれないことだ。
そしてこの映画は、日米双方の貴重な記録フィルムとニュース映像を駆使して、アジア・太平洋戦争は、白人からのアジア人の解放でなく、「自存自衛」の侵略戦争であったこと。日本国内にあっては、明治以来の教育による好戦的洗脳、耐乏生活の強制などを描出。さらに、ジョン・ダワー(アメリカの代表的な日本近現代史研究者/『敗北を抱きしめて』の著者)や、日高恒太郎(元特攻隊員取材のジャーナリスト、『不時着』の著者)などのコメントで編集している。
ジョン・ダワーは、国体護持・本土決戦に向けて、「特攻を国民のお手本」とし、「国民のモラルとした」と指摘する。
安倍政権は、日米同盟の価値観の共通認識を強調してきたし、しているが、米下院外交委員会で採択された「慰安婦」問題決議に見られるように、アメリカとの重要な問題での価値観の不一致が明るみになっている昨今。日系二世の女性映画作家がアプローチする、アジア・太平洋戦争観と、特攻の本質と実相に迫るこのドキュメンタリーは、見逃せないのではなかろうか。
「映画人九条の会メールNO.22」より
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