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2007年9月 6日 (木)

再び私のような被爆者を作らないため(ヒロシマナガサキ)

Intro01

岩波ホールのエキプ・ド・シネマの会員になった。
映画が変わるたびに案内が来るのでこれでここの見たい映画を見逃すことはなくなる。

早速のその割引を使って台風で帰れなくリスクを取って「ヒロシマナガサキ」を観た。
昨日見た「シッコ」に続いて私的年間最優秀作品が迷うことになった。

昨日も今日もアメリカ人が作った映画に心を揺すぶられた。

この映画は私と同じ歳の日系アメリカ人スティーブン・オカザキが作った。
彼は25年の歳月をかけ500人以上の被爆者と会い100人の取材をし30人のインタビューを撮影し最終的に14人の証言を使っている。

この映画には効果音やインタビュー中の音楽が一切ない。
それが静かに訴える力を持つ。
ドキュメンタリーとは本来そうでなければならないのだろう。
彼は「ドキュメンタリー映画とはシンプルなものです」と言っている。

会場で買ったパンフに映画評論家の佐藤忠男氏はこう書いている。

「日本人が作る広島長崎についての映画は、作者にとくにその気はなくても、とかく左派的イデオロギーによるプロパガンダ映画としてみられる。そうした中にあって、アメリカ映画としてこの映画が作られたことの意義は非常に大きい。」

アメリカHBOドキュメンタリーフィルムの援助により製作されたこの映画は今年の8月6日に全米でテレビ放映されたそうだ。
この映画は日本人に観て欲しい。

更に佐藤氏は二つの国の視点について興味深い指摘をしている。

「全く違う奴らだと思っていたから平気で原爆を落とせたんじゃないか、という受け止め方と、じっさい世界的な視点からは無茶苦茶としか見えない行動をしていながら自分ではそうとも思っていなかった日本人側のおかしさと、その両方の見方が同時に可能である点で、この古いニュース映画の断片のモンタージュは秀逸である。」

そしてアメリカ人にこう望んでいる。

「この被爆者の方々の美しい表情が、原爆についての反省なんかするものかと力んでいるアメリカ人たちの一部のかたくなな心を柔らかく押し開く力になることを私は切に望む。」

私はこうも望む。

「この被爆者の方々の美しい表情が、原爆についてはしょうがないと言う政治家や韓国や中国や北朝鮮が脅威だから核を含む軍事力が必要と力んでいる一部のかたくなな心を柔らかく押し開く力になることを私は切に望む。」

スティーブン・オカザキはこう語っている。

英訳の「はだしのゲン」を読んで以来、広島、長崎の原爆投下について関心を深めてきた彼に、なぜ、これほどまでにこのテーマに興味を持っているのか聞いてみた。
「正直に言うと自分でも分からないんです。何か惹かれるものがあるというよりも、どんどん引き込まれていくという感じです。その“広島”という課題を自分の人生から押し出そうとしたこともあります。広島しか扱わない映像作家だと思われるのもいやでしたから、ほかの作品もたくさん撮りました。重く真面目なテーマの映画しか作らないと見られるのもいやでした。そうやって何度も広島を避けようとしたのですが、なぜか戻ってきてしまう。こうなってしまえば、もう広島と長崎に関わるというのが一種の運命にも感じられてきますね。今なお広島は私の人生の中で非常に肝心なものになっています」。
今こそ平和について考えたい『ヒロシマナガサキ』スティーヴン・オカザキ監督が語る

印象的だった被爆者の言葉を紹介して終わります。

居森清子
当時11歳、在校生620人の学校で唯一生き残った。
「これを伝えていくためにおまえは生かされているんだよって・・・、思いました」

下平作江
当時10歳、最後の家族が死んだ瞬間、自殺を考えた。
「私たち人間にはギリギリの時に、死ぬ勇気と生きる勇気と二つ並べられるんじゃないかなと。妹は残念ながら死ぬ勇気を選んだんですけど、私は生きる勇気を選びました」
「体の傷と、心の傷、両方の傷を背負いながら生きている苦しみは、私たちでもう十分です」

谷口稜曄
「傷をさらけ出しながら、話さなければならないというのは、再び私のような被爆者を作らないため」

映画の帰りは台風の強風の中で傘を一本駄目にした。


今日はこんなところです。
お読み頂きましてありがとうございます。
この映画を見たくなれば幸いです。
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