再び私のような被爆者を作らないため(ヒロシマナガサキ)
岩波ホールのエキプ・ド・シネマの会員になった。
映画が変わるたびに案内が来るのでこれでここの見たい映画を見逃すことはなくなる。
早速のその割引を使って台風で帰れなくリスクを取って「ヒロシマナガサキ」を観た。
昨日見た「シッコ」に続いて私的年間最優秀作品が迷うことになった。
昨日も今日もアメリカ人が作った映画に心を揺すぶられた。
この映画は私と同じ歳の日系アメリカ人スティーブン・オカザキが作った。
彼は25年の歳月をかけ500人以上の被爆者と会い100人の取材をし30人のインタビューを撮影し最終的に14人の証言を使っている。
この映画には効果音やインタビュー中の音楽が一切ない。
それが静かに訴える力を持つ。
ドキュメンタリーとは本来そうでなければならないのだろう。
彼は「ドキュメンタリー映画とはシンプルなものです」と言っている。
会場で買ったパンフに映画評論家の佐藤忠男氏はこう書いている。
「日本人が作る広島長崎についての映画は、作者にとくにその気はなくても、とかく左派的イデオロギーによるプロパガンダ映画としてみられる。そうした中にあって、アメリカ映画としてこの映画が作られたことの意義は非常に大きい。」
アメリカHBOドキュメンタリーフィルムの援助により製作されたこの映画は今年の8月6日に全米でテレビ放映されたそうだ。
この映画は日本人に観て欲しい。
更に佐藤氏は二つの国の視点について興味深い指摘をしている。
「全く違う奴らだと思っていたから平気で原爆を落とせたんじゃないか、という受け止め方と、じっさい世界的な視点からは無茶苦茶としか見えない行動をしていながら自分ではそうとも思っていなかった日本人側のおかしさと、その両方の見方が同時に可能である点で、この古いニュース映画の断片のモンタージュは秀逸である。」
そしてアメリカ人にこう望んでいる。
「この被爆者の方々の美しい表情が、原爆についての反省なんかするものかと力んでいるアメリカ人たちの一部のかたくなな心を柔らかく押し開く力になることを私は切に望む。」
私はこうも望む。
「この被爆者の方々の美しい表情が、原爆についてはしょうがないと言う政治家や韓国や中国や北朝鮮が脅威だから核を含む軍事力が必要と力んでいる一部のかたくなな心を柔らかく押し開く力になることを私は切に望む。」
スティーブン・オカザキはこう語っている。
英訳の「はだしのゲン」を読んで以来、広島、長崎の原爆投下について関心を深めてきた彼に、なぜ、これほどまでにこのテーマに興味を持っているのか聞いてみた。
「正直に言うと自分でも分からないんです。何か惹かれるものがあるというよりも、どんどん引き込まれていくという感じです。その“広島”という課題を自分の人生から押し出そうとしたこともあります。広島しか扱わない映像作家だと思われるのもいやでしたから、ほかの作品もたくさん撮りました。重く真面目なテーマの映画しか作らないと見られるのもいやでした。そうやって何度も広島を避けようとしたのですが、なぜか戻ってきてしまう。こうなってしまえば、もう広島と長崎に関わるというのが一種の運命にも感じられてきますね。今なお広島は私の人生の中で非常に肝心なものになっています」。
今こそ平和について考えたい『ヒロシマナガサキ』スティーヴン・オカザキ監督が語る
印象的だった被爆者の言葉を紹介して終わります。
居森清子
当時11歳、在校生620人の学校で唯一生き残った。
「これを伝えていくためにおまえは生かされているんだよって・・・、思いました」
下平作江
当時10歳、最後の家族が死んだ瞬間、自殺を考えた。
「私たち人間にはギリギリの時に、死ぬ勇気と生きる勇気と二つ並べられるんじゃないかなと。妹は残念ながら死ぬ勇気を選んだんですけど、私は生きる勇気を選びました」
「体の傷と、心の傷、両方の傷を背負いながら生きている苦しみは、私たちでもう十分です」
谷口稜曄
「傷をさらけ出しながら、話さなければならないというのは、再び私のような被爆者を作らないため」
映画の帰りは台風の強風の中で傘を一本駄目にした。
今日はこんなところです。
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» ル・モンド発・長崎原爆生存者の言葉 の説明 [PAGES DECRITURE]
昨日紹介した、lemonde.frの記事の一部を日本語で説明します。
Nagasaki. Paroles de survivants
LEMONDE.FR | 06.08.07
?
まず、上記のリンクをクリックして、該当記事のページを開きます。
最初に出てくるフランス語の説明文です。
『19... [続きを読む]
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このロバート・ジョゼフという人は、バリバリのネオコン・タカ派として、ブッシュ政権に当初から深くかかわってきた。それが、今年の2月、米国の北朝鮮政策が対話路線にシフトしたのを不服と公言して、国務副長官を辞任した。
Sensing Shift in Bush Poli... [続きを読む]
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■映画のパンフレット〔「夕凪の街 桜の国」製作委員会〕に 〈「ものいえぬ人々」の苦しみと哀しみ〉とおう映画評がある。土屋好生さんというかた(読売新聞調査研究本部主任研究員)の文章だ。■この文章のなかに、はっとさせられる箇所があった。… ここにきて、父と...... [続きを読む]
» 突破者宮崎学の近著を読む [BLOG BLUES]
過日、電脳キツネ目組のアジトでもある
オヤジ系呑み屋「檸檬屋新宿」を訪ねた折、
宮崎組長の義兄弟とも言うべき
店主、住枝清高氏より寄贈された。
「僕のような者が頂いていいのですか」
「読んでくれそうな奴にやるんだよ」。
それが「近代ヤクザ肯定論〜山口組の90年」。
あちゃ。この展開では、読まないわけにはいかない。
がんばって読みました。全9章から成る大部労作です。
第1章から8章までは、東映仁侠映画の生みの親、
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僕も人後に落ちない... [続きを読む]
» 鈴木えみ 今年2度目の大失態! [鈴木えみ 今年2度目の大失態!]
約半年前、bubkaでも大々的に取り上げられた鈴木えみの流出フェラ画像。
かなり衝撃的な写真で、モロに咥えてるえみちゃんがバッチリ収められていた。
しかし今回はフェラどころではない!
しっかりとハメている画像が大流出だ! [続きを読む]
» 07年9月7日・金曜日 自民党編 [護憲+グループ・ごまめのブログ]
07年9月7日・金曜日 自民党編
台風の通過した地方の方々どうなさっているか案じています。
戦争は、人の知恵で避けられる術はあります。だけれど自然災害は権力者といえども勝てません。考えると自然災害だけが貧富の差がなく平等に襲ってきます。
01
さて毎日まいにち之だけ不正が発覚というか、今まで不正をしても咎めることのない一党独裁の腐敗の部分が、参議院選で破れたために腐敗がいっぺんに吹き出した感じで,メデイァも野党に目を向け出したからでしようか。
総理や幹事長は間違いがあれば訂正すれば... [続きを読む]
» 07年9月7日・金曜日 民主党編 [護憲+グループ・ごまめのブログ]
07年9月7日・金曜日 民主党編
今日の朝日の明日を考える。のコーナーに「逆転国会07年体制」が載っていた。
01(拡大はこちらをクリック)
02
そしてメールの中に☆ドクター桜井の日本診療☆ 〜506号〜が送られてきていた。桜井参議院議員は、私が現役中に医療のことを質問してから、☆ドクター桜井の日本診療☆の創刊号から送っていただいているが、今回の送っていただいたのを貼付けてみます。
引用開始
☆ドクター桜井の日本診療☆ 〜506号〜 07.09.06
?????????????... [続きを読む]
» 第5回中央委員会総会で全選挙区立候補方針転換 [ポラリス−ある日本共産党支部のブログ]
第5回中央委員会総会の
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交野支援、地酒「交野が原」、京橋駅でのできごと、そしてショッキングなニュース( [続きを読む]
» いい方向だと思うぜ、志位さんwww [世界平和を実現しよう]
font size=3 color=blue
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font size=4 color=red護憲派はスクラム組んで、腹割って。
麺を残すな、席を残せ!!
font size=3 color=blac..... [続きを読む]
» 日本共産党 全選挙区立候補方針を転換 [JUNSKYblog2007]
日本共産党が9月8日「第5回中央委員会総会」を開催し、敗北した参議院選挙を総括し、解散総選挙に備えて、衆議院選挙の活動方針を志位委員長が提案した。
参議院選挙総括は、いまいちパッとしない内容であったが、総選挙での候補者擁立方針で大転換が行なわれた。
ポラリスの要約を引用すると下記のようである。
以下、ポラリスより引用。
******************************
1)全ての小選挙区に候補者を擁立する方向を見直す。
? 参議院選挙で8%以上獲得したところで、
?... [続きを読む]
» 9月9日 9時9分9秒 に全国で何かしようという活動 [9条の会を応援する有志のブログ]
当ブログでは、
9月9日 9時9分9秒
に記事をUPすることで、この運動に参加します。
また、本日福岡地区労連など多くの団体が福岡の中心部・天神・三越前において
憲法宣伝を行ないますので、仲間がこれに参加します。
国民の草の根の運動で
憲法を
とりわけ憲法9条を護りましょう!
この運動を提唱されていた方から、下記メールが参りましたので、そのまま掲載します。
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前略 いよいよ9月8日です。全国一斉行動はそれぞれ創意工夫をこらして、連絡があ... [続きを読む]
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