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2007年10月 8日 (月)

碓田のぼる 歌集 「花昏からず」を読みました

碓田のぼるの第14冊目の歌集 「花昏からず」(長谷川書房)を読みました。

2003・5-2006・9の間に新日本歌人に掲載された歌を中心に5つのテーマ別にまとめている。
円熟の境地の歌集といえるだろう。

あとがきにはこう書いている。

「一首一首の作品を作る時には、それなりの気構えや、難渋する言葉とのせめぎ合いがあるのは当然である。
・・歌にこめたリズムは、まぎれもなく私自身のものであり、そこから逃れようもない。その自分を直視することの責任の問題でもあると思い返しながら、重い石の下にいるような心持ちで私はこの歌集を編んできた。」

著者の口癖でもあるがすべて「自分に引き付けて」「自分の体の内部をくぐらせて」歌っている。
作者不在の誰が作っても同じような歌は一つもない。
全て碓田のぼるの歌である。

「誰が作っても同じ無機質な歌」と某評者言われる私の歌作りに反省を迫るものがある。
Amazonで買えないのが残念であるが興味のある方は書店で注文していただきたい。
各テーマ毎に計10首を紹介します。

季節の光

肩に力をこめるは止めよさりながら頭に力入れねば歌はできない

悪性ガンと明瞭に告げる医師のまえ妻との覚悟微妙にゆらぐ

古塔新唱

憲法9条をボロ切れの如く云う勢力にひとり深夜の敵意も燃やしおり

ドクダミの真白き十字弁些事ながら真実些事ながら人を想わす

近代詠唱

時代閉塞に慣れつつ思想ゆるむとき鋭くも胸を切る啄木の声

口伝の職場

まがまがしき日本に生き抜いて大切の人らは多く冬に死にたり

二月の空は奥までも澄み七十七歳の碓田のぼるは呆けたるも健

花昏からず

大量殺人の止まざる地球包みいて晩夏の星は位置をくずさず

歌を離さず生き来し愚直もよしとして遺書にも書けよとある日は思う

まさに「愚直」というのが碓田のぼるの人生を語るキーワードかもしれない。

ちなみに奥様のガンの歌があるが手術されその後大きな変化はないとあとがきにあります。
また「碓田のぼるは呆けたる」とありますが著者の人柄を良く表しては居ますが「新日本歌人協会六十年史」を中心になって、まとめられる等老いてなおかんばしの活動ををされていますので申し添えます。


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歌論」カテゴリの記事

コメント

ひみ子 さん
コメントありがとうございました。
お元気そうですね。
歌集評は是非トラックバックをお願いします。

トラックバックありがとうございました。
私は、他結社の歌人ばかり紹介していますので、内部を紹介されていると、やたらと嬉しいです。
病人でなければ、両方出来るのですが、とても無理なので、ぼちぼち他結社の歌人紹介に専念します。
内部のをよろしくお願いします。みんな、最近はいい歌集ですもの。

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