見過ごされた被爆

今日は広島被爆63周年の日だった。
夜印象的なテレビ番組を3本見た。

一つはNHKスペシャル「見過ごされた被爆」

原爆の被爆認定対象者はこれから10倍になる。
それは「入市被爆者」を対象にすることをやっと政府が認めたからだ。
ではなぜその認定までに63年もかかったのか？
それはあとで調査に入る米兵の為に残留放射能が残らないように爆発させたというアメリカが残留放射能は直後でもほとんど残っていてないはずとしていたから。

そしてABCCの被爆者10万人のデータを中心にアメリカが調査結果をまとめたものを1986年に発表したDS86を時の厚生省の役人が「他の物差しがなかった」からと鵜呑みにしてしまったから・・
（この発表の目的は原発の安全基準を定めるためだったとか）

ビキニ環礁で第五福竜丸の事件が起こり原水禁運動が盛り上がり1957年に最初の原爆医療法ができ、当時の厚生省の担当者曰く「疑わしい人は全部救おう」という考えのもと「入市被爆者」も法律上は救済の対象となっていたにもかかわらず・・・。

それは
放射能の量が
初期　　　　62グレイ
一時間後　0.02グレイ
3ヶ月後　0グレイ
としたもの。

この結果に基づけば当然「入市被爆者」というのは存在しなくなる。
それで1986年以降も「入市被爆者」には被爆者手帳は発行されなかった。

しかし

番組に登場した大江賀美子さんは広島から遠い三次市から広島の被爆後他の学生たち23人と助けに広島市内に入った。
そして建物の中で1週間を過ごした。
そして37歳で乳がん、52歳で胃ガン、69歳で卵巣がんとなった。
（これは重複がんといい被爆患者特有の現象の由）
そして10万人に3人しかいない白血病が23人の中に3に出て亡くなったという。

鎌田医師は残留放射能はないので入市被爆はないと聞いていたので当初その研究は意味がないと思い他を研究した方がいいと思ったのでしなかった由。
しかし実証的な研究を続ける中で入市被爆しか考えられないと思う実例に多く会うようになった。

DS86の結論についての博士の見解はこうだ。

「鉄筋やコンクリや鍋や窯の残留放射能を見ず土だけのことしか考えなかったからだ。」
確かにむき出しの鉄筋などと1週間も暮していれば残留放射能はかなりのものだろう。

今回政府が定めた「2週間以内に入り1週間以上（広島市内に）滞在した人」という条件に大江さんは当たらない。

鎌田医師は最後にこう言っていた。

「被爆者の訴えを素直に聞くことが大事」

確かに被爆者の条件は各人違う。
机上の理論や役人根性では現実の困難は解決できない。

事件は机の上で起きてるんじゃない！
事件は現場で起きているんだ！

大江さんは今年80歳になるが被爆者手帳は死ぬまでもらえないかもしれないという。

残りの二つの番組は明日にします。

7日は20時から原爆を製造したオッペンハイマーを描く舞台「ドクターアトミック」があります。

この時期テレビを見ることが大事だと思っています。

見過ごされた被爆

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