藤田貴佐代さんへ
藤田貴佐代さんへ
あなたに頂いた第三歌集「風の飛翔」を読ませて頂きました。
前半が旅行詠が中心で後半が亡くなった夫君の看病とその最後を見送る歌が中心ですね。
前半で印象に残ったのはこの歌です。
排泄と飲む・泣く・眠るこの単調を繰り返すこと 児が育つとは
新しい命の誕生を見守る姿勢が凛々しいです。
夢も蹉跌もいまは血と肉 振り向いてはならぬふるさと遥か歳月
藤田さんの蹉跌までも知的な処理のできる逞しさが出た歌だと思います。
旅行詠も夫君との旅行詠が多いですね。
例えば
四万十川の風が知らせし夫の癌 定年の旅に不意を突かれて
曼珠沙華窓に赤しわが故郷癌病む夫との旅は急がず
毎月一度夫君との旅をしていたと聞きましたが、急がない旅だったのが優しいですね。
この歌集の中心は夫君の看病の歌ですね。
病室に幾度流れて飽きるなしイナバウアーの氷上の華
砂に書く「癌」の文字消し寄せる波 命生きよと夫へ
差し迫る癌への恐怖打ち払い苛まれ病むはわれかも知れず
そしてついに残念ながら亡くなってしまった夫君の最後を見送る歌が感動的ですね。
来るはずの明日が巡らず病院にいつものように別れし前夜
仕事こそが生き甲斐だった病む翼静かにたたむ六十四歳
夫君が亡くなった後に貴女も癌手術で入院されたが無事治癒されたね。
これからも我々歌の友とともに逞しく詠い闘い続けて欲しいと思います。
この歌集の最後の歌に決意を感じます。
癌に支配されず生きたし詠いたし人生途上まだ夢なかば
是非夫君の分も生きてほしいと思います。
頑張れ!うたびと 藤田貴佐代さんへ
2008年10月17日 大津留公彦
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