「ブログ論壇の誕生」を読んだ。
佐々木俊尚氏の最新刊「ブログ論壇の誕生」を読んだ。
章ごとに気にとまった文章を引用しながら記事を書いてみたい。
第1部は「ブログ論壇はマスコミを揺さぶる」として、
第1章は「毎日新聞低俗記事事件」
ブログ界では議論の的となった毎日デイリーニューズの女性蔑視記事のことである。
マスコミではほとんど取り上げられてあないのでブログを見ない人には何のことかわからないかも知れない。
毎日新聞が謝罪して毎日デイリーニューズの編集方針を変えた事件である。
第2章は「あらたにす」
今年の1月に朝日・読売・日経が作った合同ポータルサイトだが、ネットではすこぶる評判が悪い。
RSSに対応してないなど全てが「上から目線」で従来の新聞と編集方針が全く変わらないと・・・
地方紙等53紙を束ねた47newsも同様に評判が悪い。
第3章は「ウィキペディア」について
官公庁やNHKがウィキペディアの記事を改竄した事件。
「ウィキペディア」は知識の共有化として画期的なものだがウイキスキャナーというもので改竄した人のipアドレスは全て見えるようになっている。
ネット上では全て「見える化」されている。
これがネットの特徴だという事をマスコミの人は理解をしているか?
「正義の反対は悪ではなく、また別の正義」(P,54)というのも印象的な言葉だった。
第 2部は「ブログ論壇は政治を動かす」として
第4章「チベット問題で激突するウヨとサヨ」、
「ブログは、書いている人物(ブロガー)や、いわんやそのブロガーの属する党派、そのブロガーの持つイデオロギーを軸としてではなく、書かれている内容(エントリー)
だけを軸として、コメントやトラックバックによって議論を波及させていく。つまりは属人主義からの解放であり、「誰が書いたか」ではなく「何が書かれているか」
を重視するパラダイムへの移行である。インターネット空間に生まれたこの新たなパラダイムは、マイクロ化されたデモクラシー、断片化されたポリティクスの可能性を切り開くかもしれない。」
党派性に囚われて自民よりも民主として民主の悪い所に目を塞いではいけない。
第5章は「「小沢の走狗」となったニコニコ動画」、
文章は論理だが動画は情念だ。
日本の政治の世界は情念的意味合いが強いので「ニコニコ動画」は政治的な関心のない人にもとっつきやすい。
小沢への批判も強かったが運営会社のドワンゴがコメントの削除をやったので荒れまくった。
私の経験的に言うとネットの世界が荒れるのは大体「削除」をめぐってである。
第6章は「志位和夫の国会質問」、
今年の2月8日の共産党の志位委員長の国会質問がにこのこ動画で1万回以上見られたという「事件」
(現在共産党の中央委員会のホームページで流れている10月7日の予算委員会の志位氏の質問のにこにこ動画はすでに6万近く見られている)
(この質問には珍しく野次がないが書き込みも共産党に批判的なものが全くない。)
(トヨタ車体の期間制限偽装の派遣シフトの変更の所は議場がシーンとしていたがトヨタの名前が出るとおびえるというところではすごい書き込みになる)
(共産党は政治家 他は政治家、太郎期待外れ、甘利ずっと寝てた、等一言コメントが面白い)
見られた理由は
1.ワーキングプアに焦点を絞っていたこと。
2.追及スタイルが極めてブログ論壇的だった。
(情報源をきちんと提示し、ロジックを積み上げていく)
「世間と情念の動画空間は、簡単に接続されてしまう。そういう方向の先を見ていけば、たとえばネット上にある種の「政治化後援会」や「政治家ファンクラブ」のような
ものが生み出されていき、それが日本的「世間」的公共圏へと結びついていく可能性はあるだろう。」(p102)
第7章は「安倍の窮地に暗躍した広告ロボット」
(PASS)
第3部は「ブログ論壇は格差社会に苦悩する」として
第8章「辛抱を説く段階への猛反発」、
ロストジェネレーション世代の代表としての「丸山真男をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は戦争。」についてを書いた赤木智弘さんのことなど
これについては前に記事を書いた。
第9章「トリアージ」、
「インターネットの世界では誰も第三者にはなれない。ネットの空間で第三者になれるのは、書かない人達だけである。」(p143)
第10 章「承認という問題」、
秋葉原連続殺傷事件犯の「自分はもてない」「彼女がいない」にたいするロスジェネ(かもがわ出版)編集委員の増山麗奈氏の「性風俗充実国費支出発言」を巡る問題。
農村共同体も家族も恋人も終身雇用もないロストジェネレーション世代が「無条件の承認」をネットに求めている。
第11章「ケータイが生み出す新たなネット論壇世界」
若者のネットアクセス手段がPCからケータイに移っている。
モバゲータウンというケータイ向け動画配信サイトやquick.tv という携帯のテレビサービスを教えてもらった。
印象的な言葉は「この世で最大の不幸は戦争や貧困などではない。寧ろそれによって見放され、“自分は誰からも必要とされていない”と感じる事。」
第 4部は「ブログ論壇はどこへ向かうのか」
と題して、
第12章「『JJ』モデルブログ」、
宣伝手段としての企業のブログ利用
第13章「光市「1.5人」発言」、
光市母子殺人事件に関する女性職員の記事の青山学院大学長謝罪と匿名性問題
第14章「青少年ネット規制法」、
第15章「「ブログ限界論」を超えて」
1.自己表現のメディアがかわりつつある。
2.ブロゴスフィアの拡散と浸透が起きている。
3.ブロゴスフィアとリアル社会の接点化
第1章の「毎日新聞低俗記事事件」は「マスメディアとインターネットの非対称戦争」と言われている。
アメリカとタリバンの戦いのようなものである。
佐々木さんは元毎日新聞の記者である。社内の友人はこの事件発覚後こう述懐したそうである。
「昔は、外部から問い合わせがあっても答えない、というのが当たり前だった。しかし今はもうそういう時代ではない。一方でブログで情報発信している人がいて、その存在
がますます大きなものになってきている。きちんとネットで情報発信している人がいて、その存在がますます大きなものになってきている。きちんとネット論壇と向き合わないと、
マスメディアであってもあっと言う間にひっくり返される。そういう時代になったんだと思う」)(p233)
最近私も経験した「内野事件」などでそういう認識を新たにした。
巻末には『佐々木俊尚が選んだ著名ブロガーリスト』として、佐々木さんが「GoogleReader」に登録しているRSSからの、論壇系ブログのURL一覧が掲載されております。
(この「GoogleReader」は私も最近便利に使っています。)
この本に引用されブロガーリストには載ってないという[Z]ZAPAブロ~グ2.0zapanet.infoによれば「勉強好きな男性ビジネスマンが好きそうなブログ」の集まりのようですが、又、山崎行太郎氏によれば
かなりの社会的・政治的な影響力を持つと思われる「政治系ブログ」が、ほとんど無視されているそうですが、
ここにあるブログは注目に値するでしょう。
カナダde日本語やたけくまメモやきっこのブログもありました。
最後に目次を紹介します。
Ⅰ ブログ論壇はマスコミを揺さぶる
第1章 毎日新聞低俗記事事件
* 「非対象戦争」
* 日本人女性を貶めた『毎日デイリーニューズ』
* 世代間対立とマスメディア-インターネット対立
* 『毎日jp』から広告が消滅
* 誰に謝っていいのかわからない
第2章 あらたにす
* 朝日・読売・日経の三紙合同ポータルサイト
* ネット世界のさんざんな評価
* マスメディアのプレゼンス低下
* ルパート・マードックの嗅覚
* ブログは新聞を凌駕するか
第3章 ウィキペディア
* 「ウィキスキャナー」が暴露した"修正"
* 利用者のIPアドレスが自動記録
* 北海道庁からの書き足し
* 紙一重の「情報操作」と「公平な書き込み」
* 可視化された社会システム
Ⅱ ブログ論壇は政治を動かす
第4章 チベット問題で激突するウヨとサヨ
* 「人権団体」への攻撃
* 左右党派のドグマに呑み込まれる危惧
* 左派の反応
* 倫理は首尾一貫しているべきではないか
* インターネット空間に馴染まない"党派性"
第5章 「小沢の走狗」となったニコニコ動画
* 参院選公示直前に小沢代表が登場
* 動画は情念をベースとした新たな圏域
* 荒れまくったニコニコ動画
* 善意か悪意か
* 加藤紘一氏の牧歌的な思い込み
* すべてが見えてしまう空間
第6章 志井和夫の国会質問
* ユーチューブで三万回、ニコニコ動画で一万回の閲覧
* 雇用格差問題一点に絞った質問
* 「CGJ(志位グッジョブ)」
* ブログ論壇的追求スタイル
* 落ち着いた議論の場になりうるか
* 日本型「世間」的公共圏への可能性
第7章 安部の窮地に暗躍した広告ロボット
* 自民党の広報戦略か
* アフィリエイト広告モデルで配信
* 売れた分だけ広告費を支払う
* 中身の薄いブログが増えるのはなぜか
* 集合知を脅かす「機械戦術」
* 「言論」vs.「機械言論」
Ⅲ ブログ論壇は格差社会に苦悩する
第8章 辛抱を説く団塊への猛反発
* 官僚出身教授に対する猛反発
* 「われわれ若者を育ててほしい」
* 激烈な世代間対立
* 「希望は、戦争。」
第9章 トリアージ
* 「かわいそうだ」
* 「全体や組織から見た最適」
* 「普通にかわいそうなんですが」
* 「あっけらかんとトリアージを語ることは不可能」
第10章 承認という問題
* 秋葉原連続殺傷犯「自分はもてない」「彼女がいない」
* 「自分は承認されていない」
* 「血族・地域集団が承認を与える時代を終えた」
* 無条件の承認は得られないのだろうか
第11章 ケータイが生み出す新たなネット論壇世界
* 「みんながパソコンから逃げ出してる」
* 「ケータイ世代」
* 親密で暖かいプライベート空間
* パソコンからは見られない『モバゲータウン』
* ケータイは「つながり」のメディア
* 「地元にいれば仲間はいる」
* ホーボー化する若者たち
* 社会との細いつながり
* ケータイ小説は感情でつながる
Ⅳ ブログ論壇はどこへ向かうのか
第12章 『JJ』モデルブログ
* 「ブログに感想を書けば謝礼も支払われます」
* ライブドア事件報道に異を唱えた「専門家ブロガー」
* 民俗学者・柳田國男の指弾
* 信用されなくなったマス広告
* 「巨大な貯め池」「サラダボウル」
* なぜ彼女のブログは炎上したのか
第13章 光市「1.5人」発言-ブログの言論責任は誰にあるのか
* 青山学院大学学長が謝罪
* 訴えられたお茶ノ水女子大学
* 「いったい誰が言論の責任を負うべきなのか」
* 「おまえの属している共同体に連帯責任を取らせろ」
* 首をつって自殺した連合赤軍幹部の父
第14章 青少年ネット規制法
* 「ネットを規制すべきだ」の大合唱
* 霞ヶ関・永田町連合vs.総インターネット
* 「有害情報」「その他不適切情報」の線引きは可能か
* 「有害情報」は利用者の事情で変わる
* 無意味に新法が成立
第15章 「ブログ限界論」を超えて
* 「最近ブログがつまらなくないですか?」
* ブログからSNS、ケータイへ
* 集中砲火
* アーキテクチャが社会を変える
* 「やがてまた二〇〇五年のような局面が生じてくるはずだ」
* 情報を絞り込む毎日新聞への苛立ち
* 対等に渡り合う枠組み作り
「佐々木俊尚が選んだ著名ブロガーリスト」
参考ブログ記事
蔵前トラックⅡ
http://kuramae-japan.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-1333.html
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