[シリコンバレーは私をどう変えたか]を読んだ
梅田望夫さん
の[シリコンバレーは私をどう変えたか]を読んだ。
今やit本のバイブルのようになった「ウェブ進化論」より5年前に出た本だ。
今もシリコンバレーに住む著者がシリコンバレーに行くようになった経緯から書いている。
私はシリコンバレーに行った事がないが初めて行ったような気にさせてくれた。
梅田さんはこう彼我の感覚の違いをプロローグで書いている。
東京の感覚では、「クオリティ・オブ・ライフ」と「マネー」は対概念ではなく、「マネー」は「クオリティ・オブ・ライフ」を買う為にあると考えがちだ。 しかしこちらでいう「クオリティ・オブ・ライフ」は、時間と心の余裕さえあればただで自然に得られるという気分なのである。 生活環境の充実のなせる業である。
7年前のことなので違いがあるかもしれないがこの「生活環境の充実」が知りたいところです。
200年の2月に書いた「ネット革命の現状への違和感を超えて」という文章でシリコンバレーの現状への5つの違和感を述べている。
1.シリコンバレー的世界(直接金融に支えられた企業家主導型経済システム)があっと言う間に肥大化の一途をたどっている危険。 2.カテゴリーごとに高収益の商社が生まれるという前提が壊れ過当競争になっている。 3.ネット革命と企業家主導経済システムの組み合わせは旧システムや旧価値観を壊して行きつくところまで行くのではないかという感覚。 4.持てるものと持てざる者の格差が拡大している。 5.制度的にも実力的にも企業家主導型経済システムへの準備が十分でない日本にネット革命の波が押し寄せて危険な状態にある。
7年後の今その「違和感」はアメリカでも日本でも現実の「危機」になっている。
この違和感を払拭して行くには
「ネット革命に当事者として関わり、ニューエコノミーにかけていく中でしかその知恵は生まれない」
とスタンスを述べ
「世界を席巻するネット革命と、21世紀を生きる私たちの叡智との戦いがまさに今始まった」
と宣言している。
梅田さんはネット革命の人間に与える影響についてこう書いている。
企業も個人も「人間の限界を超えつつあるスピードで競争し続けて生きる」ことを強いられる世界になってしまった。
このストレスに果たして人間の社会は本当に耐えられるのだろうか、そんなことばかりを最近考えている。
いまこのストレスはどこまできているのだろうか?
この中には何人かへのインタビューが出てくる。
無償OSリナックスを作ったフィンランド出身のリーナス・トーバルズの話がアメリカとヨーロッパの文化の違いを感じさせて面白い。
「『なぜLinuxで金儲けをしないの?』 アメリカ人は皆、僕にそればかり聞く。僕がやっていることは、アメリカ人にとって『とても変なこと』に見えるみたいだ。 『金儲けをしなくっちゃ』って考えるのがアメリカン・カルチャ-なんだね。フィンランドからアメリカにきて、それがよくわかったよ。 (中略) 僕が学んだヘルシンキ大学はそこそこいい大学だと思うけど、その年間の学費はたったの五十ドルだった。基本的生活必需品に金がかからない社会という考えかたは、それ自体悪いことだとは思っていない。OSだって現代の基本的必需品だよね。」
梅田さんは開発だけやっていれば楽しいという彼の幼さを指摘しつつもこう書いている。
「ひょっとすると彼の心の奥底にある「社会主義の良質な部分を信じる自然な気持ち」と「プログラマーとしての類い稀な才能」とが相乗効果を起こし、それが原因で彼は「ネット上のアイドル」になったのかもしれない。
今Linuxを始めとするする「無償」の文化・オープンソースが当時よりも大きく広がっている。
DEC社のコンピュータを設計したゴードン・ベルという人がコンサルタントである梅田さんの相談役として出てくる。
そうなったきっかけは梅田さんがアメリカ滞在の為のグリ-ンカードを取得した時「これで会社を辞めて一人でやっていく権利ができたよ」と話したらこう言ったという。
「そうなんだ。何でもかんでも、すべては個人の中から生まれるんだ。会社からじゃないんだ。価値を生み出すのは会社ではなくて個人なんだ。日本人でそういうモノの考え方をする奴に初めて会ったよ。」
日本とアメリカの文化の違いは依然としてあるがこの「価値を生み出すのは個人」という考え方はこれから個人としても組織としても大事な観点だろう。
最後に梅田さんの1997年の親しい人にあてた年賀状を紹介して終わりにしよう。
「ここシリコンバレーで色々な人たちに出会い、色々な人たちの考え方に触れ、色いろな人たちの生きざまを見つめ、最近私の中に芽生えてきたのは、彼らの『個人としてリスクテイクする生き方』への憧憬とも言うべき感覚です。またその文脈で『変化していく自分』を楽しもうとする気分も生まれつつあります。 今年は自分の身の上にどんな事が起こるのだろう、来年の今頃は何をしているのだろう。そんあことまでひっくるめて全てを『前向きに、明るく、真剣に、楽しんでしまおう』という気分は、新しい感覚の萌芽と言えます。」
書籍紹介 世界中から頭脳を集め、膨大な富を生み出してきた米ハイテクベンチャーのメッカ、シリコンバレー。余りに多く語られながら、この地の本当の底力を知る者は少ない。なぜ、これだけ多くの才能が花開いたのか。いま、ビル・ゲイツが心の奥底で考えていることは何か。LINUXの登場の真の意味とは…。日本の産業界のトップたちから「シリコンバレーについて最も深く知る人物」として尊敬を集める著者が、自らの独立・起業の体験を通じて実にクールに、そして熱く綴る。
この本の目次です
目次
1 シリコンバレーの基本を体感する(天才たちが富を創り出す「天気のいい田舎町」
失敗しても返さなくていいお金 ほか)
2 ネット革命とバブル崩壊―同時代体感的ネットバブル考察(不動産事情はまるでバブル期の東京
米国ならではのインターネット革命 ほか)
3 マイクロソフトとリナックス(Linux)(最も変わったのはベンチャーより大企業
「勝つこと」に執着するマイクロソフト ほか)
4 シリコンバレーは私をどう変えていったか(価値を生み出すのは会社ではなくて個人
作者の著書は以下の通りです。
私が既に読んだのは*です。
*シリコンバレーは私をどう変えたか (2001年、新潮社) *ウェブ進化論 ISBN 4480062858 (2006年、ちくま新書 筑摩書房) シリコンバレー精神 ISBN 4480422536 (「シリコンバレーは私をどう変えたか」を改題増補、2006年、ちくま文庫 筑摩書房) *ウェブ人間論 ISBN 4106101939 (2006年、新潮社、平野啓一郎との共著) *フューチャリスト宣言 ISBN 4480063617 (2007年、ちくま新書 筑摩書房、茂木健一郎との共著) ウェブ時代をゆく―いかに働き、いかに学ぶか ISBN 4480063878 (2007年、ちくま新書 筑摩書房) ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く! ISBN 4163700005 (2008年、文藝春秋) 私塾のすすめ ISBN 4480064257 (2008年、ちくま新書 筑摩書房、齋藤孝との共著)
御父さんの梅田晴夫さんはフランス文学者です。
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