「日本の企業が海外に逃げる」論のうそ等
「派遣切りした企業の商品を買わないようにしよう!」
https://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-b1cd.html
には76ものコメントが付いている。
その多くはすまりさんやDさんからの批判的なコメントだ。
昨日のコメントで
「日本に比べて企業の負担が多い欧州で日本の企業はちゃんと利益を上げている」と書いたら
すまりさんから
これ、よく言われることですが、私には欺瞞に聞こえます。
なぜなら、企業の負担が多いというだけでは
(1)利益に対する絶対割合が多い
(2)社会保障費全体に対する割合が多い
(3)税収に対する割合が多い
など、いろいろな意味がありますから。
と反論があった。
又
たとえば、「社会保障費全体に対する企業の負担割合が多い」と一言でいっても、実は税金全体では企業負担が低いこともありえるし、
利益に対する課税割合が大きいとしても、国民も負担が大きい場合もありますから。
または、社会保障費の負担割合が大きいのは、単に労働者の賃金として支払う分を社会保障費として国に支払っているだけということもあります。
数字で議論しなければならないと思い日本の欧州の企業負担の割合について調べてみたので記事にして紹介し反論とします。
ヨーロッパと日本の企業の負担の比較で検索したらこのブログが見つかった。
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良くこんなに調べたと思うが政府の発表データを中心にまとめている。
その中から紹介しよう。
企業の公的負担の国際比較
法人所得税負担 社会保険料事業主負担 合計
日本 3.1% 4.5% 7.6%
ドイツ 1.8% 7.3% 9.1%
イタリア 2.8% 8.9% 11.7%
フランス 2.6% 11.4% 14.0%
法人所得税だけなら、日本より軽くなっていますが、ヨーロッパでは企業の社会保険料負担が大きいため、全体としては、
日本企業以上に公的負担をしている訳です。
日本企業だって、フランスやドイツにいけば、これだけの税・保険料を負担しているのです。
だからって、日本企業が「負担が重いから」といって、フランスやドイツから撤退したことがあるでしょうか?
海外で負担しているのだから、日本でも負担できない理由はありません。企業にヨーロッパ並みの負担を求めることは、
何も無理難題をふっかけている訳ではないということです。
ホントは軽い日本の企業負担
http://ratio.sakura.ne.jp/archives/2005/09/05011106/
より
実は日本の企業負担率はドイツ・フランスの7-8割なのです。
大企業の場合には、研究開発減税などの優遇税制があるために、実質的な税率は、もっと低くなっているでしょう。
すまりさん
これは否定できない数字でしょう。
さらにこんな数字もありました。
「総売り上げから社会保障負担以外の費用を引いた額」に占める法人所得課税および社会保障負担の割合
日本 ドイツ フランス
自動車製造業 30.4% 36.9% 41.6%
エレクトロニクス製造業 33.3% 38.1% 49.2%
情報サービス業 44.2% 55.7% 70.1%
金融(銀行)業 26.3% 23.8% 31.3%
これを、ドイツ、フランスの数値をもとにして逆算した比率
ドイツを基準にすると フランスを基準にすると
自動車製造業 82% 73%
エレクトロニクス製造業 87% 68%
情報サービス業 79% 63%
金融(銀行)業 111% 84%
ついでに言うならアメリカは公的な医療保険制度がないので企業負担が低いが、自動車製造業などを中心に、
従業員が加入している民間医療保険の保険料を企業が負担している場合が多く、
この保険料負担を含めれば、日本よりアメリカの方の負担が高くなる可能性もあります。
ビッグスリーが日本の自動車メーカーに比べて苦しいのはこの点が大きいです。
ーーーーーーーーーーー
ついでに消費税についての数字です。
各国の税収(国税+地方税)に占めるそれぞれの税収の割合
税負担の内訳(国際比較)
個人所得課税 法人所得課税 消費課税 資産課税等
日本 29.1% 20.6% 33.2% 17.0%
イギリス 36.4% 11.4% 38.3% 13.9%
ドイツ 45.0% 2.8% 48.4% 3.8%
フランス 27.9% 12.0% 39.9% 20.2%
スウェーデン 45.4% 8.1% 36.1% 10.3%
イギリスの消費税の標準税率は17.5%。それに比べると、日本の5%は軽いと、一般には受け止められていると思います。
しかし、消費課税が税収全体に占める割合でいえば、日本33.2%にたいし、イギリスは38.3%で、あまり変わりがありません。
なぜそうなるのか? その仕掛けは、イギリスの場合は広範な軽減税率が導入されているから。たとえば、食料品はほとんどゼロ税率だし、
「子どもの成長には税金をかけない」と、15歳までは衣服・文具・遊具など非課税なのです。軽減税率制度がなく、
非課税となるものもほとんどない日本の消費税は、標準税率だけでは比べられない“酷税”なのです。
ホントは重い日本の消費税
http://ratio.sakura.ne.jp/archives/2005/09/05012645/
より
これはちょっと意外でした。
欧州の消費税は非常に高いと思っていたので・・・
軽減税率が広範囲に適応されているからですね。
消費税はイギリス始め欧州では今度経済対策で減税になります。
日本は2011年に増税するという。
この消費税の占める割合はイギリスと逆転するのではないでしょうか?
消費税は当面減税か無税にするのが筋でしょう。
ついでに公務員の数についてです。
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公務員数と人件費の国際比較(総務省調べ)
職員数(人口1000人当たり) 人件費(GDP比)
日本 35.1人 6.6%
イギリス 73.0人 7.6%
フランス 96.3人 13.7%
アメリカ 80.6人 10.1%
ドイツ 58.4人 7.9%
職員数には、国・地方、政府企業、軍人・国防職員が含まれます。日本の公務員数は、アメリカ、イギリスの半分以下、フランスの約3分の1です。
人件費も、アメリカの3分の2、フランスの半分。公務員の数を減らせば「小さな政府」ができるというのであれば、日本はすでに十分「小さな政府」
だといえます。
このように日本の公務員が少ないのは、日本が本格的な軍隊をもっていないからであることは明らかでしょう。
自衛官25.2万人、防衛庁2.4万人、合わせて27.6万人というのは、日本の国家公務員61.5万人のうちで一番多いものですが、
それでも本格的な軍隊には比べようもありません。憲法9条は、「小さな国」づくりにも役だっているのです。
ホントは少ない日本の公務員
http://ratio.sakura.ne.jp/archives/2005/09/06132854/
より
ウーン
職員数はイギリスの半分ですか?
議員の数を減らすことが「身を切る」ことと言う議論もありますがそれは違いますね。
議員は国民の意見表明の機関であり国民の権利放棄につながります。
「身を切る」なら憲法違反の政党助成金をまず辞退すべきでしょう。
今日はこんな所です。
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