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2009年啄木祭参加記

2009年啄木祭の案内
でご案内しました啄木祭に参加しました。


啄木を記念する会は全国にありますが啄木を継承する事を標榜する短歌団体である新日本歌人協会が近年復活させてこのところ毎年開いている啄木を顕彰する集まりが啄木祭です。
戦後すぐからの啄木賞の伝統を継ぐ啄木コンクール賞の発表も数年来この場で行われています。

2009啄木祭参加記
向井毬夫 新日本歌人協会代表幹事挨拶

啄木祭の戦後からの歴史を述べました。

第一部

1.記念講演「表現の力」 大河原淳行
(「短歌21世紀」代表・埼玉県歌人協会会長・現代歌人協会会員・日本文芸家協会会員)

2009啄木祭参加記

アララギが3分裂して出来た「短歌21世紀」の代表です。
啄木の歌に即して土屋文明や斎藤茂吉、正岡子規等の似た歌や句との関係を語りました。

例えば

啄木の

大海にむかひて一人
七八日
泣きだすとすと家を出でにき

子規の

鶏頭の十四五本もありぬべし

に対応するものがあり

この場合
七八日

十四五本
も「動かない」
という

啄木の

何となく汽車に乗りたく思ひしのみ
汽車を下りしに
ゆくところなし

文明の

用のなき電車に乗りて終点の永代橋に下されにけり

に近いものがあり

啄木の

大といふ字を 百あまり
砂に書き
死ぬことをやめて 帰り来れり

茂吉の

たたかひは上海に起こり居りけり鳳仙花紅く散りゐたりけり

と響きあうものがあり

どちらも
一見関係ない上句と下句だが内的につながっているという
(但し 文明は茂吉の歌を批判している由)

宗次郎に
おかねが泣きてくどき居り
大根の花白きゆふぐれ

はおかねの演技を感じる

宗次郎に
泣きておかねがくどき居り
大根の花白きゆふぐれ

としなかったのはおかねに演技をさせたかったのだろうという。

眼(め)閉(と)づれど、
心にうかぶ何もなし。
 さびしくも、また、眼をあけるかな。

さびしくもは校正が進むと削除されたかもしれない
(確かに客観写生の立場からは歌会では「さびしくも」は使わない方がいいと言われるだろう。でもこの歌は今更変えるわけにはいかない)

ひとところ、畳を見つめてありし間の
 その思ひを
妻よ、語れといふか。

この講演で大河原さんが一番言いたかったのは
「啄木は貧乏や死を売り物にしていない」

ということだったという

「表現から本質に迫る仕事は残っている」
と講演を締めくくった。

(会場で大河原さんの歌集「流速」を買ったのでまた評を書きます)

2.2009年度「啄木コンクール」入賞者表彰


2009啄木祭参加記
選考経緯を発表する菊池東太郎さん

入選 該当者なし

佳作 オリオンの光 相澤寿美子

2009啄木祭参加記

佳作 狭間     高橋博

2009啄木祭参加記
(代理で娘さんが受領)

最終選考通過 9人 予選通過 26人(含む大津留公彦)

第二部

3.独唱: 中村洋子 ・ピアノ 金沢亜希子


中村洋子さん

歌われた歌は以下の歌です。

啄木
ふるさとの山に向いて言うことなしふるさとの山はありがたきかな
やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに

伊藤千代子をうたう三つの歌曲
土屋文明 短歌 高平つぐゆき 作曲

こころざしつつたふれし少女よ新しき光の中におきて思はむ
まをとめのただ素直に行きにしを囚へられ獄に死にき五年がほどに
高き世をただめざす少女等ここに見れば伊藤千代子がことぞかなしき

たまたま本日の会場の近くにあった市ヶ谷刑務所に投獄され小林多喜二と同じく官憲に殺された伊藤千代子がその恩師の土屋文明の短歌によって啄木祭で称えられることに全てをつなぐ啄木という存在の大きさを感じるとともに伊藤千代子がことに感動しました。


4.記念講演 「石川啄木と平出修」平出洸(ひろし)
(平出修研究会主宰・国際啄木学会評議員・与謝野晶子倶楽部運営委員・日本文芸家協会会員)


平出洸さんは平出修の長男の長男。
つまりお孫さんである。
日立系の会社の役員をやられ今は平出修研究会を主宰されておられる。

優秀な経営者らしく啄木と修(しゅう)の共通点と相違点をたんたんと詳しく述べられた。

共通点

小学校を首席で卒業
お子さんが同じ年

相違点

経済的状況
(修の弁護士事務所は栄えていた)
社会主義への距離
(啄木は社会主義者になったが修は距離を置いた)
短歌は啄木が4千首修が3百首

修は明星で啄木の登場を絶賛した。
「あこがれ」も人真似との批判が強い中、18歳の詩としては驚嘆に値すると評価
その後も啄木と修の関係は啄木が死ぬまで心のつき合いが続く。
「すばる」は発行所を平出法律事務所に置き初代編集長には啄木を任命

啄木日記に「平出君」が40回出てくるが修の歌には言及してない由。

啄木と修の関係を初めてまとめて聞いた。
しかも修の面影の残る洸さんから

(会場のタイトルの啄木の啄には点がいるのではという声があったようだがワープロの変換では点が付かないのですみませんと事務局から説明がありましたが、平出洸さんは啄木も点を付けずに書いていることもあるのであまりナーバスに考えなくてもいいというやさしい話がありました。)

今日は歴史的な日だったような気がします。

家に帰って啄木の大逆事件以前が卒論のテーマだったかみさんに報告しましたが?という感じでした。
平出修はかみさんには遠くなってしまったようです。
ちょっとさみしいです。

御参考
【次代への名言】1月18日・平出修

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コメント

嶽村さん

コメントありがとうございます。
短歌が私の本フィールドです。

いつも、多岐にわたってのコメントを楽しみにしています。

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