「なぜ、日本が太陽光発電で世界一になれたのか」と「なぜ、日本は太陽光発電で世界一でなくなったのか」
「なぜ、日本が太陽光発電で世界一になれたのか」(NEDOBOOKS)を読んだ。
独立行政法人 (経産省所管) の新エネルギー・産業技術総合開発機構というところが出した本です。
この本は非売品で一般には買えません。私は図書館で借りて読みました。
今まで概念的にしか分からなかった太陽光発電の全体像がよくわかった。
無味乾燥な技術言葉の羅列でなく太陽光発電に何する事が生き生きと分かりやすく描かれている。
特に第一章の「ソーラーエネルギー7つの物語」はこの事業に関わった人の人間ドラマとして書かれている。
第二章の「太陽光発電が世界一になるまでーそのはじまりと軌跡」では日本の30年に及ぶ太陽光発電開発の歴史を東工大黒川浩助教授が語ってくれた。
第三章の「太陽光発電は何をもたらしたかーその成果とこれから」ではその技術的及び制度的課題を述べるとともに未来予想図を示している。
日本が世界に先駆けて系統連系という太陽電池を商用電力系統に接続する為に規制を破る大変な個人の努力が必要だったと言うところが印象的だった。
少し本の感想から離れるがこの本が出た2007年からも少し状況が変わっているので最近の状況を書いてみたい。
Een Japanner die zonnecellen onderzoektに
2007.10.24
なぜ、ドイツが太陽光発電で世界一になろうとするのか
よれば日本の太陽光発電の今までの成功の原因は以下の3つだと言う。
1. 省エネルギーへの意識が世界でもいち早く目覚め、政府からの適切な補助があった
2. 低コスト化の核となる技術を世界に先駆けて開発
3. 大規模な住宅市場の存在と低緯度の良好な日照条件
しかし併せてなぜこういう本が出たかと言うとこの本にも少し書いているが日本は太陽光発電で世界一でなくなりつつあるからだと言う。
Een Japanner die zonnecellen onderzoekt
2007.10.1
鄭和の大船団と結晶シリコン太陽電池
によれば
その原因は政府の方針転換にあるという。
つまりそおれは結晶シリコン太陽電池の開発を公的機関で止めてしまったことだという。
その代りに「結晶はダメ、将来は全てアモルファス」とアモルファスシリコン太陽電池の開発にシフトした。
それでも80年代半ばまでの公的研究の成果と住宅屋根への設置補助金に勢いを得て市場が急拡大したおかげで、大規模生産に伴う生産技術の革新が起こり、
結晶シリコン太陽電池の生産コストはさらに低減した。
その低い発電能力から、日本の住宅屋根には不適だったのでアモルファスシリコン太陽電池は売れなかった。
それどころか、設置面積のコストへ及ぼす影響への見積もりが、かつての試算ではアモルファスに対して大幅に甘い仮定が入っていたことが明らかになってきた。
アメリカの原野のように、土地は広大だが需要地には比較的近いという、限定された条件でなければコスト的に見合うものではなかった。
個人の住宅への太陽光発電導入への補助金中止もあり急激に日本は太陽光発発電にブレーキがかかった。
政府のこの間の方針の誤りは以下のようにはっきりと結果が出てしまった。
片やドイツは今の通り。
2004年に始まった固定料金買取制度(別名フィード・イン・タリフ制度:太陽光や風力など、自然エネルギーで発電した電力を、
一般電力料金の2~3倍で電力会社が買い取る制度)をきっかけに、急激に設置量が増加した。
2004年末時点ですでにそれまでの累積設置量が発電容量ベースで日本と肩を並べるに至り、2006年には日本の約2.5倍の新規設置をすることで、
累積設置量でも日本を遥かに凌駕してしまった。
▲太陽光発電の累積設置量(発電容量ベース)の推移
(IEA-PVPSの資料による)
太陽電池と「低い国」と~民間企業研究者の海外転職記【第17話】
なぜ、ドイツが太陽光発電で世界一になろうとするのか
はこう語る。
国内の業界関係者がこのような主張を、身分を明らかにした上で行えば、NEDOとの関係がギクシャクしたものになるやも知れぬ。
それでもあえてこのような主張を公開したのは、日本はせっかく培った太陽光発電技術を積極的に育てられなくなっているという現状を、
一般世論にも知って欲しかったからだ。
苦労して系統連系技術を開発したのに、そのオイシイ部分を全部ドイツに持っていかれそうになってますよ、と、多くの人に知ってもらいたかったからである。
しかし個人の発電の電力会社の買い取りへの補助など公共事業の予算の中に紛れ込んだ遅まきながらの施策で今少し状況はかわりつつあるのだろうか?
以下自分のブログ記事の引用です。ー
スマートグリッドというシステムはオバマ大統領の77兆円にも及ぶ景気対策及びグリーンニューディール政策の目玉になっているシステムだ。
これの実現の為にGoogleのネット技術と電力会社の系統運用技術が融合しようとしている。日本の補正予算案にも不十分ではあるが個人からの電力会社の買い上げ価格を二倍に引き上げる原資や初期費用への補助枠の増額が盛り込まれており八年で元が取れるようになるという。
これから家を建てる人やマンションを買う人は検討に値するだろう。
大津留公彦のブログ2
2009年4月22日 (水)
スマートグリッド
https://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/cat21229784/index.html
鄭和の大船団と結晶シリコン太陽電池
はこう歴史物語を語る
明帝国の武将・鄭和が率いる百隻近くの大船団は、15世紀前半インド洋を席巻し、遠くマダガスカルやケニア沿岸にまで到達した。バスコ・ダ・ガマが喜望峰を発見する60年以上前のことである。明帝国の持つ造船・航海技術は、疑いなく当時の世界最高レベルのものであり、15世紀末のコロンブスと言えど、とても及びの付くものではなかった。
しかし、鄭和の死後どういうわけか明帝国の中枢は政策の大転換を行い、大船の建造の禁止などの鎖国化政策を推進し、これらの驚嘆すべき技術は封印されてしまった。
これまでの日本の結晶シリコン太陽電池研究の方針は、インド洋探検だけで満足し、せっかくマダガスカルまで行ったのに、喜望峰を見つけようとはせず、その向こうに新大陸があるかどうか想像もしなかった、明帝国中枢の決定に似ている。現在、少なくとも喜望峰は欧州に先に見つけられ、インド洋の制海権は奪われてしまった。アメリカ大陸も既に見つけてしまっている。
しかし、まだアメリカ大陸西海岸までは至っていない。オーストラリア大陸は未到達である。技術はあるのだから、やる気と資金さえあれば、まだ挽回は可能なのだ。
アメリカ大陸西部を取る努力をせずして、いきなり宇宙開発へ転じようなどと考えないほうがいい。鄭和に笑われる。
原子力発電に廃棄物の処理方が未だに目処が立たずそれに必要な世界の天然ウランは100年以内に掘り尽くしてしまう。
石油はもっと前になくなってしまう。
日本の炭鉱にはまだ石炭があるのには水を入れてしまった。
もう自然エネルギーしか残っていない。
太陽光発電は日本が世界をリードできる可能性のある自然エネルギー利用技術の一番手だと思う。
国の施策が間違わず企業と個人が取り組めば・・・
NEDOさん次の出版は「なぜ、日本は太陽光発電で世界一でなくなったのか」ですね。
太陽光眩しき日本の恵みかな 公彦
参考
大津留公彦のブログ2
2009年4月22日 (水)
スマートグリッド
https://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/cat21229784/index.html
Een Japanner die zonnecellen onderzoekt
同僚に話しても理解してもらえない話題たち
2007.10.24
なぜ、ドイツが太陽光発電で世界一になろうとするのか
http://pub.ne.jp/zonnecellen/?daily_id=20071024
2007.10.1
同
鄭和の大船団と結晶シリコン太陽電池
http://pub.ne.jp/zonnecellen/?entry_id=951991
太陽電池と「低い国」と~民間企業研究者の海外転職記【第17話】
http://www.rikuryo.or.jp/worldeye/nederland/episode17.html
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Hurray, I have cured my allergy by using this medicine.
Win the allergy
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投稿: Whaddemnata | 2009年5月14日 (木) 17時48分