啄木のプレカリアートの歌と反貧困ネットワークの声明
今回の選挙の政権党の大敗北を生み出したのは国民の暮らしの悪化を生み出したからである。
その象徴的存在であったのは特定大企業の派遣切りによって失職したプレカリアートであり首都のど真ん中に出現した派遣村であったろう。
100年前歌人石川啄木は今で言うプレカリアートの歌を次のように歌っている。
夏の町かしらあらはに過ぎ去れるあとなし人をふりかえる哉垢づける首うち低れて道ばたの石に腰掛けし男もあるかな
かヽること喜ぶべきかな泣くべきか貧しき人の上のみ思ふ
1910・7・17
歌稿ノート
より
以下の歌はさしずめプレカリアートの歌の代表だろう。
はたらけど
はたらけど猶わが生活(くらし)
楽にならざり
ぢっと手を見る
労働者の1/3を占め5歳~19歳の約7割が該当し1700万人とも言われる現代日本のプレカリアートの意見の代表とも言え、派遣村で活躍した反貧困ネットワークが選挙の結果について声明を出した。
なかなか興味深かったので皆さんに紹介します。
2009年8月30日
反貧困ネットワーク
代表 宇都宮健児、事務局長 湯浅誠
選挙結果ほこう分析されている。
今回の選挙結果は、抑圧され続けた人々からの与党・政府に対する「しっぺ返し」だった。
民主党への注文は
次期与党・政府には、こうした生活破壊の流れを転換し、人々の生活を再建し、守る役割が期待される。またそうでなければ、政権交代の内実はなかったことになり、肩透かしを食らった有権者は次なる審判を下すことになるだろう。
この声明は日本の貧困についてなかなか興味深い分析をしている。
OECDは、日本の貧困率を14.9%と発表している。実に7人に1人以上が貧困状態にある。多くの人々にそこまでの実感がないのは、日本で「貧困」といえば、依然としてアフリカ難民キャンプのような飢餓状態が想像されているからだ。そして、それと背中合わせの関係に立っていたのが「一億総中流」幻想だった。貧困ラインが飢餓状態に固着していたため、そこまでではない自分は「中流」だと、少なからぬ人々が自らを慰めた。この背景には、敗戦後の焼け野原から復興し、高度経済成長を遂げた「上昇気流」がある。「いずれよくなる」。現時点では厳しくても、多くの人たちがそう思えた。 しかし、時代は変わり、欧米に対して「追いつけ追い越せ」だった日本は、今や新興国に追われる立場にあり、少子高齢化の中、人口減少社会に入った。かつてのような高度経済成長が再び訪れることはないし、「一億総中流」幻想はすでに過去のものだ。年収300万円未満世帯は、この10年で370万世帯増加している。低成長時代にも人々の暮らしを確保する、智恵のある政治が求められている。中間層だけを想定した政策は、もはや機能しない。
そしてこの声明は新与党への注文としてこう結ばれている
OECD貧困率の政府としての公認、最低生活基準(憲法25条)による貧困率の測定、それに基づく貧困率削減目標の定立と、教育・住宅・労働・医療・年金・介護等々にまたがる総合的な対策。それが、厳しい経済情勢の中でも人々の暮らしを支えようとする政府のあるべき姿勢を示し、自分たちも「すべり台」社会を転落してしまうのではないかという人々の将来不安を取り除く。「国民生活第一」を掲げて政権交代を果たした与党の拠って立つ基盤は、ここにこそある。貧困問題は、来たる政権の存立根拠と基盤を補強する課題に他ならない。私たちは、次期政権の動向を注視している。私たちが次期政権の応援団となれるような、批判勢力とならずにすむような、ビジョンの提出と諸政策の実施を期待する。
お元気ですか皆さ~ん
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大賞(3万円、初代川柳銀メダル)ほか4賞。入選50点前後予定。審査 尾藤一泉(「川柳さくらぎ」主宰)と選考委員会
応募方法。ネット、モバイル。ハガキの場合1枚に3句まで。作品、雅号(PN),住所、氏名、性別、年齢、職業、電話番号を明記して事務局まで。
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