「しがみつかない生き方」「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』を読み終わりました
壁紙を梅雨仕様から夏仕様に変えました。
暑さしのぎにイチゴのかき氷でも召し上がれ!
朝近所に住む姪が昨日勤務先の階段から落ちて足を痛めたので駅まで車で送って欲しいというので草加の勤務先まで送り届けた。
帰ってくると妻も娘もお出かけしておりました。
そこでクーラーのない我が家ではあまりに暑いので久しぶりに近所の三郷温泉に行って汗を流しました。
地下1300mから湧き出る塩水の温泉でなかなか暑い日中の露天風呂も爽快でした。
会員でも1000円に値上がりしていたのが残念でした。
風呂から上がってお休み所で寝っ転がって読みかけだった図書館から借りた香山リカの「しがみつかない生き方」「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』を読み終わりました。
診療所での20年以上の経験がこういう本を書かせたと言う。
香山さんが言う「しがみついてはいけない」物とは
「恋愛」
「つらい過去の記憶」
「夢」
「仕事」
「子ども」
「お金」
「わたしが生まれた意味」
だと言う。
あまりびっくりするような話ではない。
中身は味わい深いが全て当たり前と言えば当たり前だ。
しかし最後の第10章だけは当たり前でない
「<勝間和代>を目指さない」
がその章のタイトルだからだ。
そもそもこの本を知ったのは勝間和代さんのtwitter上の「私の事が書かれているようだ」という書き込みからだ。
この本の帯にはこのフレーズが遣われていた。
売り込みのネーミングセンスとしては秀逸だったといえる。
ところが何故か6刷の帯は、「『ふつうの幸せ』が最大の幸福」という、普通のフレーズに変更されているという。
自己規制したのだろうか?
香山さんの文章が平易なのは
〈たとえば私の場合、いまの社会を精神科医として見渡して思いついたことが出てくると、それを何とかして人に伝えたい、と思う。「せっかくだからこれをみんなに言ってみようかな」という素朴な気持ちが、本を書くときの動機の大半を占める〉(p.157)
という人に語りたいという動機があるからだ。
香山さんのこの本の執筆の動機はこうだ。
〈ところが、二〇〇〇年代に入って、診察室で「幸せではない」と訴える人たちの状況が少し変わってきた。/客観的には“ふつうに幸せ”なのに、それではもの足りないと思っている貪欲な自己愛タイプも少なくはないのだが、それとは違うタイプの人たちも増えてきたのだ。/たとえば、“ふつうの幸せ”はとりあえず手に入っていて、それ以上はとくに望んでいるわけではないにもかかわらず、「これがいつまで続くのか」「これで満足してよいのか」と自問しているうちに、何が幸せかわからなくなってしまう、という人たちがいる〉(p.16)そして
〈それからさらにここ二年ほどは、“ふつうの幸せ”ではもの足りない、とそれを侮蔑しているわけでも、続けられないかもしれない、と先回りして不安に陥っているわけでもないにもかかわらず、現実的にそれを手にできない人も増えている。つまり、「何かあっても何とかなるだろう」という仮定が、実際に成り立たなくなっている〉(p.21〜22)
この中でそうだと激しく共感出来たのは第五章の「すぐに水に流さない」の小泉・竹中批判だ。
今の我々国民の苦悩の源泉がここにある事を鋭く見抜いている。
ジニ係数 医療難民 雇用崩壊...
なんとその罪の大きい事か
第4章の「老・病・死で落ち込まない」の中に後期高齢者医療制度についての記述もある。
〈しかしこれも…「高齢者は不必要な厄介者だ」という価値観が先にあって、それに基づいて作られた制度ではないだろう。先にあったのは膨れ上がる医療費の問題であり、それを何とか抑制しようとしたところ、結果的に高齢者が「長生きでごめんなさい」と高齢であることをわびなければならない事態を招いてしまったのである〉(p.92)
鋭い指摘だ。
確かに後期高齢者慰労制度は高齢者の事を考えての法律ではなく経費節減を考えての法律だ。
〈だとすれば、そんな“浅知恵”の結果を深読みして、「ああ、年を取るのはそれだけで悪なのだ」「高齢者は社会の厄介者だと社会が声をあわせて言っているのではないか」などと考える必要もない〉(p.93)
これは精神科医として患者への心も持ちようを言っているのだと思う。
政治論ではないと思う。
勝間さんは、仕事は取捨選択し、ときには毅然と「断る」決断をしないといけないと言う。
香山さんは正しくもこう反論する。
〈いまの世の中、殺到する依頼の処理に困る人と、依頼がないことで不安になる人と、いったいどちらが多いのだろうか〉 香山さんも私もそうだが多くの読者も「依頼がないことで不安になる人」が多いだろう。更に、
〈人々が本当に必要としているのは、“誰からも依頼がない”といったときに自信を喪失したり自暴自棄になったりせずに、静かに孤独や絶望に「耐える力」のほうだと言えるのではないだろうか〉と激励する。 更に。
〈それにそもそも、本当にマスコミに登場している成功者のような人生を、すべての人が歩む必要があるのだろうか。さらには、成功者たちは、本当に雑誌やテレビが報じているようなすばらしい人生、悩みなき生活を送っているのだろうか。そのあたりも考えてみる必要があるだろう〉
と言う。
この第10章の最後はこう結ばれている。
「人生には最高もなければ、どうしようもない最悪もなく、ただ”そこそこでいろいろな人生が”があるだけなのではないか。だとしたら、目指すモデルや生き方がどれくらい多様か、というのが、その社会が生きやすいかどうか、健全であるかどうかの目安になると言えるはずである。」
更にあとがきの最後はこう結ばれている。
「ふつうにがんばって、しがみつかずに自分のペースで生きて行けば、誰でもそれなりに幸せを感じながら人生を送れる。それで十分、というよりそれ以外の何が必要であろうか?」
作者の言いたい事は十分伝わってくる。
こんな短歌が出来ましたので紹介して終わりです
なしたるは妻が一人に子三人 他に何ある望むべきもの 公彦
目次
序章 ほしいのは「ふつうの幸せ」
第1章 恋愛にすべてを捧げない
第2章 自慢・自己PRをしない
第3章 すぐに白黒つけない
第4章 老・病・死で落ち込まない
第5章 すぐに水に流さない
第6章 仕事に夢をもとめない
第7章 子どもにしがみつかない
第8章 お金にしがみつかない
第9章 生まれた意味を問わない
第10章 “勝間和代”を目指さない
参考
紙屋研究所
リカ『しがみつかない生き方』
「〈勝間和代〉を目指さない」にヤラれたクチです
香山リカ『しがみつかない生き方』
勝間和代も香山リカも、助けちゃくれない〜『しがみつかない生き方』
香山 リカ著(評:朝山 実)
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評論:http://twitter.com/kimihikoootsuru
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コメント
コメントありがとうございました。
山傘も終わりましたね。
福岡が懐かしいです。
市長選挙どうなりますかね
投稿: 大津留公彦 | 2010年7月19日 (月) 01時14分
いつも適切な記事をありがとうございます。
壁紙、涼しいですね。福岡は、11月に市長選挙。候補者が慌ただしく動いています。
投稿: 嶽村 | 2010年7月18日 (日) 23時12分