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2010年8月18日 (水)

MOS(マネジメント・オブ・サステナビリティ)

今日は企業の経営者の為に書きます。

8月16日の日経朝刊5頁「インタビュー領空侵犯」は、国内最大の化学会社三菱ケミカルHD社長の小林喜光さんでした。

小林さんは

▪ 1971年:東京大学理学系大学院相関理化学修士課程修了
▪ 1972年:ヘブライ大学物理科学科(国費留学)
▪ 1973年:ピサ大学化学科(国費留学)
▪ 1974年:三菱化成工業入社

という特異な経験の持ち主です。
理科系社長の代表のような人です。

小林さんは
MOS(マネジメント・オブ・サステナビリティ)という考え方を提案しています。
曰く
「利益さえ上げればよしとする経営では、遠からず天然資源は枯渇し、地球環境は破壊されてしまいます。サステナブルつまり永続性を考える経営でなければ、地球はもちませんし、企業だって成り立たなくなります。」
経営学者に「企業がMOSをどう実践しているか統一的で精緻な方法を早く確立して欲しい」と要望しています。
kaiteki度指数という考え方も提唱されてます。

我が親愛なる企業経営者の皆さん 
是非お読み下さい。


以下
http://nikkei-article.seesaa.net/archives/20100816-1.html
日本経済新聞、本日の蛍光ペンでマークする記事・ことば
からの引用です。
●オピニオン面(P5) 《インタビュー 領空侵犯》 今こそ役に立つ経営学に

   (三菱ケミカルホールディングス社長 小林 喜光氏)

   --「マネジメント・オブ・サステナビリティ」(MOS)という新しい経営学の
      理念を説いているそうですね。

   「利益さえ上げればよしとする経営では、遠からず天然資源は枯渇し、
    地球環境は破壊されてしまいます。
    サステナビリティつまり永続性を考える経営でなければ、地球は持ち
    ませんし、企業だって成り立たなくなります」

   「経営学には、財務を重視するMBA(経営学修士)的な考え方と、MOT(技術経営)
    という二つの基軸があります。
    これにMOSを加えてさらに時間軸も考慮した4次元経営を提唱しています」 

  --時間軸も肝心だと。

   「将来、世界の人口、水、空気はどうなるのか。それらを見越して企業は今、
    何をすべきか決めなければなりません。技術を実用化するまで長い時間が
    かかるからです」

   「ところがマネーの世界にはスイッチ一つで、もうかった、もうからないという
    ビジネスがある。楽ですよ。私は自然科学で育った人間ですから、実体を
    変えない仕事は意味がないと思います。仮想的なものは体質的にウソっぽく
    見えてしまうんです」


   --MOSは実際の経営にどう生かせるのでしょうか。

   「ただ口先で地球に優しくとか二酸化炭素を減らしましょうと言うだけでは、
    あいまいです。私が今考えているのはKAITEKI度指数は、1つの試みになると
    思います。このため昨年4月に、地球快適化インスティチュートという研究所を
    つくりました」

   「例えば、永続性、健康、快適の3つの要素に分けて評価基準を設けて、事業を
    100点満点で採点するんです」

   「当社は4事業会社で構成しています。その1社の田辺三菱製薬ならば、健康の
    要素に8割、永続性に2割という具合に配点して点をつけます。
    各事業を評価するのに、損益以外に、2割程度をこの指数でやりたいですね」


   --やはり利益の方が大事なのですね。

   「利益追求をしなかったら、今ごろ大赤字で、私は解任されていますよ。
    経営の二面性はやむ得ない。高い理想を掲げながら、現実の問題に対処して
    いるわけです」

   「だから企業がMOSをどう実践しているか数値で比べられる統一的で精緻な
    方法を、専門の経済学者に早く確立してほしい。
    今の経営学は企業のやっていることを、あとから整理するだけでしょう。
    何が面白いですか」

   「後講釈の経営学は要りません。新しい理論を創造する学問の領域があるはず
    です。
    いまだに欧米の学説を翻訳しているような学者が多いのではないですか。
    MOSの理念に基づく日本発の経営学をぜひ発信してもらいたいですね」

   〈聞き手から〉
   企業経営の新しい理論や概念は米国発が多い。
   革新的な企業がたくさんあり研究材料に不自由しないからだろう。
   後解釈でだけでは困るが、実例がなければ理論化の糸口はつかめない。
   小林社長がMOSを提唱し、指数化を試みる点は重要だ。
   経営学と企業経営はやはり相互に刺激しあって発展する関係である。

以下
生涯学徒fusajiiのブログ
http://ameblo.jp/fusa-ken/entry-10620929066.htmlの私見です。

「理論の多くは後講釈」。これには同感です。しかし、これはなにも経営学に限ったことではない。たとえば、音楽にしてもそうです。初めて聴くビートルズの音楽は当時の音楽理論の常識外でした。後に分析した結果、新しく理論付けられました。

小林社長の略歴をみると、完璧理系です。現三菱化学に入社し、研究開発畑を経て光ディスク事業を推進したとある。おそらくロジカル思考が身に染み付いていて、なんでも数値化したくなる。また数値化できると考えるタイプの社長ではないでしょうか。

なお、小林社長は投資家の視点でみた場合、頭がいいのは勿論のこと、経営のバランス感覚および視点も鋭いので、任せて安心な社長と言えそうです。

ーー
永続性考える経営者であれよかし あなたに企業も地球も懸かる 公彦

参考
火をつける指示書―三菱ケミカルHD社長 小林喜光
「100点文書vs赤点文書」トップ自ら添削!
プレジデント 2009年6.1号

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評論:http://twitter.com/kimihikoootsuru
文学:http://twitter.com/ootsuru

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