『ダライ・ラマ法王に池上彰さんと「生きる意味」について聞いてみよう』を読んだ。
『ダライ・ラマ法王に池上彰さんと「生きる意味」について聞いてみよう』(講談社)
という2010年12月1日に出た本を読んだ。(妻が図書館から借りて来た本だ)
チベット仏教の法王なので宗教的な話かと思ったが実に分りやすい話だった。
話の奥の深さはすごいがプレゼンテーションの技術としても非常に高いものがあると思う。
話をする人は参考にしたらいいと思う。
池上さんもあとがきで書いているように法王は現実の日本の問題について具体的な処方箋を述べているわけではない。
しかし全て本質的な答えだと思った。
50個の質問にたいして法王は分りやすく例を交えて語っている。
Q17にこういうものがあった。
Q、親から虐待を受け、愛情を与えられずに育った人に愛情とは何かを教えることはできますか? (ピース)(30歳/女性/福祉関係)A、 まずは、親から愛されずに育ったから本当の愛情とは何かを知らないとは言えないと思います。親のような愛情を身近な人から受けている場合もあるでしょう。
ご両親がいない人、虐待などを受けて育った人など、本当にだれからも愛されずに育った人のことを考えたとき、過ぎ去ってしまったこと、すでに起きてしまったことやその結果を、今すぐ何らかの手段でもとに戻すということはだれにもできません。
その人が、怒りや悲しみ、絶望などに包まれているのであれば、そのすべてを一度に取り除くことはできなかもしれません。
しかし、すぐに大きな変化をもたらすことは難しくても、愛情というものに、その人の心を少しずつならし、なじませていくことはできるはずです。
命あるものすべてに、本当の愛情を持って接することができれば、その結果、少しづつ変化をもたらすということは、大いに可能なことだと思います。
私はこれを読みながら思わずブログに紹介しようと付箋を貼った。
このくだりを是非読んで欲しい人がいる。
というサイトでラジオでこの本を紹介している。
音声と同じ内容がテキストにもあったので質問とダライ・ラマ法王の答えを紹介します。
(要約)
Q1、人間はすべて平等なのでしょうか?
A、私たちはみなひとりの人間です。
Q2、正直であることってどういうことですか?
A、利己的にならないということ。自分=他者であると考えられること。忘れると許しは違う
Q3、許すとはどういうことですか?許すための第一歩とはどんなことですか?
A、「忘れる」と「許す」は似ているようで違います。心を開いて受け入れてください。相手を無罪放免にすることではなく、負の感情だけを手放し自分を自由にする手段、それが「許し」です。
Q4、日本という国や日本人の欠点はどんなところだと思いますか?
A、あまりにもフォーマル(形式的)過ぎるときがあること。
(本文)
本の中から、イベント参加者の質問とダライ・ラマ法王の応答の一部を紹介します。
Q1、人間はすべて平等なのでしょうか? ダライ・ラマ法王の答え —— A、私たちはみなひとりの人間です。誰しも苦しみの人生ではなく幸せな人生を望んでいます。時に執着や怒りを感じますが、それを抑え、愛や慈悲の心を高める努力もしています。こう見てみると違いなんてありません。つまり単純に考えれば、どんな人もみんな同じ人間なのです。Q2、正直であることってどういうことですか?
≫ダライ・ラマ法王の答え
—— A、利己的にならないということ。自分=他者であると考えられること。 自分の幸せを願うように、他の人も幸せ望んでいると思えれば<自分と他者は同じ>であることが分かります。自分=他者ならば、他者を騙したり危害を加える ことはしたくないはず。そう理解できると、他者の幸せについて考え、思いやりや尊敬の気持ちを持って心を開くことができ、自然に正直になれるはずのではな いでしょうか。Q3、許すとはどういうことですか?許すための第一歩とはどんなことですか? ≫
ダライ・ラマ法王の答え
—— A、「忘れる」と「許す」は似ているようで違います。相手の間違いや不快な行為で嫌な気持ちになることがありますが、それを忘れようとしたり相手を否定し たりせず、心を開いて受け入れてください。相手を無罪放免にすることではなく、負の感情だけを手放し自分を自由にする手段、それが「許し」です。 このように、人間にとって大切なこと、忘れがちな思いやりの気持ちに気づかせてくれるあたたかい言葉があふれています。 それだけではなく、「日本人の欠点」について問われたことにも答えています。ダライ・ラマ法王14世が思う“日本人の欠点”
Q4、日本という国や日本人の欠点はどんなところだと思いますか? ≫
ダライ・ラマ法王の答え—— A、あまりにもフォーマル(形式的)過ぎるときがあること。 ある異教徒間会合に出席した時、日本のある僧侶が、厳粛で威厳のある姿で立っていました。しかし突然、数珠の糸が切れてしまったのです。しかし、周りが心 配するなかその僧侶は何事もなかったかのように振る舞っていました。そんなときは形式など気にせず、落ちた玉を拾えばよいと思います。 もう一つは、お寺などで昼食に招待される時、精進料理のそれぞれ量の少なさに「あああ、今日はお腹が空くな」と思ってしまうことです(笑)
以上2010/12/14新刊ラジオ第1298回
より
以上が50のやり取りの内の4つです。
他には例えばこんな質問に答えています。
・ダライ・ラマ法王は死ぬのが怖くありませんか?(50歳/女性/主婦) ・嫌いな人に対して、本当の愛情を育てるにはどうすればいいですか?(40歳/女性/保育士)・日本には勝ち組、負け組という言葉があります。嫌な言葉だけれど、世の中きっとそういうふうにできているんだろうな、と思います。切ないです。法王はどう思いますか?(26歳/女性/主婦) ・毎回ダライ・ラマ法王として生まれてくるのは大変ではないですか?(35歳/男性/会社員)^^ 池上彰さんはあとがきでこう書いている。
「この世界で、自分はどう生きればいいのだろうか」 私にできることは、 「現実はこうなっているんですよ」 とわかりやすく解説することです。どう生きるべきかということは私には言えません。 そこから先はみなさんが考え、実行していかなければならないのです。そのときこそ、ダライ・ラマ法王のお言葉は、ひとつの道しるべになるのではないかと思います。
そして最後はこう書いて結んでいる。
(ダライ・ラマ法王は)日本の若者たちだけなく、世界中の若者の力を信じていらっしゃいます。若者たちとの対話を重視していらっしゃることをうれしく思います。 若者は、いつの時代も未来の宝なのです。 私たち日本の大人たちも、若者にもっと期待していいのではないでしょうか。若者はいつの時代にも、もちろん未熟ではあります。けれども、さまざまな可能性を持っているのです。 どこの国においても、若者がこれからの世界をつくっていくのですから。(中略) 生きるとはどういうことなのか。この本が、ひとりひとりにとっての答えを探すきっかけとなり、未来をつくる力となれば幸いです。
日本の若者と昔の若者にこの本をお薦めします。
以上です。
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