20mSv/年以下ではなく10mSv/年以下にすべきではないか?
今日こういうニュースが配信された。
通常活動なら年10ミリシーベルト=福島の13校調査―「活動の制限不要」・文科省
時事通信 5月12日(木)19時1分配信
文部科学省は12日、福島県内で学校活動を行った場合に被ばく量が年20ミリシーベルト以上に達する恐れがある13の小中学校などについて、児童らの生活パターンや最近の空間線量などを基に試算した結果、推定線量は平均年6.6ミリシーベルトで、最大でも同10.1ミリシーベルトにとどまると発表した。具体的な推定値が出たのは初めて。 文科省は試算結果から「学校活動の制限は不要」と説明したが、県からの要請で学校名は公表しない。同省は来週以降、有識者からなる検討会を設置し、児童らの学校活動のあり方を議論する。 文科省は4月中旬~5月上旬に計測された校庭や街中の放射線量や、福島第1原発から新たな放射性物質漏えいがないことを試算の前提にした。児童らが平日、校庭で過ごす時間も1日2時間に設定し現実に近づけた。その結果、推定被ばく量は年5.3~10.1ミリシーベルトとなった。
これにより20mSv/年という基準を下回りさえすれば、あたかも全面的に屋外活動を実施することができると言う「動きになることが怖い。
現在の実データーが10mSv/年であればそれこれからは下がっていかなければならないので基準も20mSv/年以下ではなく10mSv/年にすべきではないか?
石川正純北海道大学大学院教授が示したデータは
100mSv以上では各種のデータがあるが、20mSvでは確たることはいいにくいとの前提で、様々な見解をまとめると、甲状腺ガンの発がんリスクは年間10万人当たり0.3-2.6例であるという。
子どもはもともとガン発症がきわめて少ない。ガン全体でも、10万人当たり10例未満だ。甲状腺ガンに限ると1例にもならない。それが年間20mSv浴びると、最大で3例くらい増加することになる。甲状腺ガンでは発がんは3倍程度、ガン全体でも3割程度押し上げるということになる。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110502-00000001-gendaibiz-pol
参考
原発被曝労災を認定された作業員(実名)の被爆線量と、4/10 報道された屋外活動する子供の放射線量の基準:20mSv/年(厚生労働省方針)
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、もともと一般の日本人の年間の被爆上限は元々1ミリシーベルトまでと定められているにもかかわらず、ぞれを現状に合わせるかのように20ミリシーベルトまで場当たり的に引き上げ、しかも子供にまでそれを適用するというのは到底許せないと述べる。
小出氏によると、子どもの放射線への感受性は大人よりも5倍高いため、年間20ミリシーベルトの放射線というのは、これをを浴びた子どもの25人に1人が癌にかかる可能性がある、あり得ないような数値だと小出氏は言う。
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/651.html
福島県弁護士会は以下の声明を発行した。
「児童生徒等の被ばくを極力回避・抑制すべく、幼稚園、保育園及び小中学校の屋外活動実施について慎重な判断を求める緊急要望書」
福島県内の小中学校の中には、本通知以後、土壌の除去、除染、客土等の対応の検討を全く行わないままに、本通知の20mSv/年という基準を下回っていることをもって全面的に屋外活動を実施しようとしているものがある。
20mSv/年という基準を下回りさえすれば、あたかも全面的に屋外活動を実施することができるかの如き動きは、極めて問題が大きい。
4月29日、放射線安全学を専門とする小佐古敏荘内閣官房参与が20mSv/年という基準に抗議して辞任したうえ、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と主張しているところであるし、班目春樹原子力安全委員会委員長が、基準を下回りさえすれば校庭を使わせるというのは非常に安易であるとして批判したとの報道もなされている。
国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication111(原子力事故又は放射線緊急事態後における長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用)によっても、非常事態が終息した後の放射線防護の基準について、「Publication103で勧告された1~20mSvの範囲の下方部分から選定すべきであることを勧告する。」「過去の経験により、長期の事故後状況における最適化プロセスを制約するために用いられる代表的な値は1mSv/年であることが示されている。」とされている
参考になりますので全文を掲げます。
以下全文です。
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児童生徒等の被ばくを極力回避・抑制すべく、幼稚園、保育園及び小中学校の屋外活動実施について慎重な判断を求める緊急要望書
1
文部科学省は、平成23年4月19日に「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利
用判断における暫定的考え方について(通知)」(以下、「本通知」という。)を
発し、当会はこれを受け、平成23年4月25日付で、国及び福島県に対し、「福
島県民、とりわけ子ども達の安全・安心な未来を確保するよう求める会長声明」を
発した。
この声明において、当会は、�!9q5Z$SJ!Eg8)$O!"J!Eg8)Fb3FCO$NJ|
保育園及び小中学校の園庭、校庭について、子ども達が被ばくすることを極力抑制
するため優先的に対応を検討し、この検討及び作業が終了するまでは、少なくとも
園庭、校庭等における屋外活動を禁止すること、�#$=$N$&$($G!"0z$-B3$-J!Eg8)Fb
すべての幼稚園、保育園及び小中学校について、空間線量率や、大気中の放射性物
質濃度、土壌の放射性物質に関し、複数の専門機関による詳細なモニタリングを行
い、依然として高い放射線量が計測される幼稚園、保育園及び小中学校については、
代替施設による屋外活動あるいは学園、学校活動が可能となるよう必要な措置を講
じることを、それぞれ求めた。
2
その後、4月27日から、郡山市が放射線量の高い校庭の表土除去工事を実施し、
伊達市も校庭の表土除去工事を実施したほか、二本松市、本宮市及び大玉市の三市
は、全ての幼稚園、保育園及び小中学校の園庭、校庭の表土除去工事を実施するこ
とを決定している。また、福島市内の国立幼稚園において、上下置換工法による表
土入れ替えが試験的に実施されるなど、積極的に幼稚園、保育園及び小中学校の園
庭、校庭の汚染除去を実施する動きが出ている。
しかし、他方で、福島県内の小中学校の中には、本通知以後、土壌の除去、除染、
客土等の対応の検討を全く行わないままに、本通知の20mSv/年という基準を
下回っていることをもって全面的に屋外活動を実施しようとしているものがある。
例えば、西郷村内の小学校は、例年5月に開催している運動会の日程を変更しない
ことを校長会にて決定したし、また、いわき市中心部の学校では、何らの制限なく
従前通りの学校活動を行うとの方針が示されている。さらに、福島市教育委員会も、
屋外活動が制限されていた全ての小中学校の制限が解除されたことを受けて、「徐々
に(屋外での)活動範囲を広げていきたい。」との考えを示すに至っている。
このような、20mSv/年という基準を下回りさえすれば、あたかも全面的に
屋外活動を実施することができるかの如き動きは、極めて問題が大きい。
3
そもそも、本通知において公衆の被ばく限度基準値の安易な緩和がなされている
点は、当会として直ちにこれを是認しうるものではないが、本通知も、20mSv/
年までは児童生徒等が被ばくすることを容認するというものではなく、暫定的な目
安を定めつつも、「今後できる限り、児童生徒等の受ける線量を減らしていくこと
が適切」とし、学校等において極力児童等の被ばくを回避・抑制する措置を取るこ
とを求めているものである。
この点については、4月29日、放射線安全学を専門とする小佐古敏荘内閣官房
参与が20mSv/年という基準に抗議して辞任したうえ、「年間20ミリシーベ
ルト近い被ばくをする人は原子力発電所の放射線業務従事者でも極めて少ない。こ
の数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒュー
マニズムからしても受け入れがたい」と主張しているところであるし、班目春樹原
子力安全委員会委員長が、基準を下回りさえすれば校庭を使わせるというのは非常
に安易であるとして批判したとの報道もなされている。
しかも、上記1~20mSv/年という数値は、夏季休業終了(おおむね8月下
旬)までの期間を対象とした暫定的なものであるとされている。
夏季休業終了後については、非常事態が終息した後の長期的な放射線防護の観点
から、上記よりも大幅に厳しい基準が適用されるべきであるし、現に、政府が本年
8月に上記1~20mSv/年という基準の厳格化を目指すとの報道もなされてい
る。
国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication111(原子力事故又は放射線緊急事
態後における長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用)によっ
ても、非常事態が終息した後の放射線防護の基準について、「Publication103で勧
告された1~20mSvの範囲の下方部分から選定すべきであることを勧告する。」
「過去の経験により、長期の事故後状況における最適化プロセスを制約するために
用いられる代表的な値は1mSv/年であることが示されている。」とされている
(ICRP Publ. 111 日本語版・JRIA暫定翻訳版による)。
4
放射線の被ばくによる健康被害については、どのような低線量の被ばくであって
も確率的には健康被害につながることが否定できない。
福島県内の児童生徒等は、福島第1原子力発電所事故により、福島県内の広範囲
に大量の放射性物質が拡散したことから、事故前と比較して大量の放射線に被ばく
しており、その被ばく量は日々蓄積している。
また、同じ園庭や校庭内であっても、雨樋の排出口や排水溝など、放射性物質が
集積して流入しているような場所は、他の場所よりも格段に放射線量が高いことが
あり、児童生徒等が過大に被ばくするおそれがある。
そのような状況において、20mSv/年という基準を下回ったというだけで漫
然と屋外活動を行うことは、児童生徒等の健康被害のリスクを更に増加させるもの
であり、許されるものではない。
福島県教育委員会及び県内の学校等の管理者は、当該学校等の放射線量が20m
Sv/年という基準を下回ったとしても、少なくとも1~20mSv/年の範囲の
下方部分に該当するといえない限り屋外活動を禁止し、引き続き空間線量率や、大
気中の放射性物質濃度、土壌の放射性物質に関し、複数の専門機関による詳細なモ
ニタリングを行いながら放射線量を注視すべきであり、必要な屋外活動については
代替施設による実施等を検討すべきである。
もし仮に、20mSv/年という基準を下回ったというだけで漫然と屋外活動を
実施し、児童生徒等が過大に被ばくした結果、晩発性の健康被害が生じた場合には、
児童生徒等に対する安全配慮義務を怠ったものと評価されかねないことにも十分留
意すべきである。
また、仮に屋外活動を実施する場合には、事前に活動場所にかかる空間、土壌等
における放射性物質濃度をきめ細かく測定し、特に、放射性物質が集積して流入し
ている等により格段に放射線量が高い場所がないかを十分に調査し、必要に応じて
除染を行うなど適切な措置を講じるべきである。
更に、運動会のように長時間屋外にて活動する場合、外部被ばく量が大きくなる
ものであり、また、同様に砂ぼこりの吸入や転倒による負傷、屋外での飲食などに
より校庭の表面に蓄積したり浮遊したりしている放射性物質を体内に取り込むこと
による内部被ばくの危険も増大することに留意し、その判断をより慎重に行うべき
である。
5
以上の理由により、当会は、今後児童生徒等の被ばくを極力回避・抑制すべく、
国、福島県、福島県教育委員会及び福島県内の小中学校の各学校長に対し、速やか
に以下の措置を取るよう要望するものである。
(1) 幼稚園、保育園及び小中学校の放射線量が20mSv/年という基準を
下回ったとしても、少なくとも1~20mSv/年の範囲の下方部分に該当すると
いえない限り屋外活動を禁止し、引き続き空間線量率や、大気中の放射性物質濃度、
土壌の放射性物質に関し、複数の専門機関による詳細なモニタリングを行いながら
放射線量を注視すること。必要な屋外活動については代替施設による実施等を検討
すること。
(2) 仮に屋外活動を実施する場合、事前に活動場所にかかる空間、土壌等に
おける放射性物質濃度をきめ細かく測定し、特に放射性物質が集積して流入してい
る等により格段に放射線量が高い場所がないかを十分に調査し、必要に応じて除染
を行うなど適切な措置を講じること。
(3) 特に、運動会など児童生徒等が屋外において長時間活動することを前提
とする学校活動等の実施については、その判断をより慎重に行うこと。
2011年(平成23年)05月11日
福島県弁護士会
会長 菅野 昭弘
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以上
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