政治や経済も想像力を!(和合亮一氏/長谷川櫂氏)
何故か「天地を動かし、鬼神さえも感動させる」詩歌(長谷川櫂「震災歌集」へのアクセスが多いので調べていたらこう言う記事があった。
ニュース争論:東日本大震災を詠む 和合亮一氏/長谷川櫂氏
毎日新聞 2011年5月30日 東京朝刊に掲載された物のようだ。
(写真は毎日新聞に掲載された長谷川櫂さんです。)
記事を纏められた立会人・重里徹也論説委員も書かれているが、是非このお二人の震災に関する作品を教科書に掲載して欲しい。
「教科書に収録されれば、次世代に震災体験を引き継ぐよすがにもなるはずだ。」と私も思う。
俳人が短歌を、読み手を意識して書いて来た詩人が読み手を意識しない詩を、「泣きながら」書いたという。
震災直後から私も長谷川櫂さんの提起を受けて歌を作って来た。
仲間と私たちの「震災歌集」を電子出版したいと思っている。
詩の時代が来た。
今こそ歌え想像力に満ちた詩歌を。。。
お二人の対談を全文紹介したい誘惑を押さえ少し紹介します。
是非全文をお読み下さい。
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長谷川
現代詩というのは、大岡信さん、谷川俊太郎さんの後、死んでしまったと思っていたのです。現代詩は(1)言葉の実験にのめり込むようになった(2)詩人が古典を勉強しなくなった(3)人々との連帯を断ってしまった--ことから急速に衰えた。ところが、詩は生きていたのですね。
和合 「詩の礫」には素朴なフレーズが多いです。「私は故郷を捨てません」とか、「福島の力を信じる」とか、「あなたの心の傷は深いですか」とか。これまで20年間、詩を書いてきて、こんな未熟な言葉を使うことはなかった。でも、詩を書き続けてきたのは、この時のためだったのだと思えて仕方がないのです。
和合 これまで必ず、読み手を意識して詩を書いてきました。今回は全く想定していません。言葉が昂然(こうぜん)とわき上がってきて、指が追いつかない感覚でした。それで泣きながら書いている。でも、自分が詩を書くきっかけになった中原中也の詩は、こうだったなあと思い返したりもするのです。
長谷川 今まで詩壇や現代詩業界を相手に書いてこられた。でも、震災後はその殻が割れて直接、人々に向かって詩をつくり始めたのではないですか。詩はもともと川のせせらぎであり、鳥の声であり、人々の泣き声や笑い声でした。
和合 ツイッターが1回140字だというのがよかった。大震災に持続的に立ち向かうのには「定型」が必要だったのです。そうでないと相手が強過ぎて、向かい合えない。
長谷川 数えきれない無念の死がありました。彼らを再生できるのは詩心だけです。死者の声に形を与えるのが詩の第一の仕事でしょう。彼らの声に耳を傾けるのが想像力。死者たちから目をそらして復興なんてありえない。
川 3月11日、有楽町の駅(東京)にいて、グラッときました。都内の息子の家まで歩いて行った。その夜から卒然と湧き上がってきたのです。僕も手がついていけなくて、書きとめるのが大変だった。12日間で100首を超えたので、出版社に渡しました。やむにやまれぬ思いを書きとめたら短歌になっていた。後で考えると、短歌は俳句より14音多いでしょう。それで、記録や描写ができるのです。でも、その後は俳句しか生まれません。
長谷川 確かに激しい感情を表現するのに短歌が向いているように思います。また、散文と比べると、俳句や短歌など短詩型は機動力がある。今回のように次々と新しい事態が起こるのに、向いているかもしれません。リズムがあるのも強みですね。詠む側と読む側が、日本人の心の深層にある57577のリズムでつながるのです。
和合 長谷川さんの歌が神話に触れ、古典と対話しているのも魅力です。そうすると客観的に見えてくるものがある。紀貫之の古今和歌集の「仮名序」を引用した作品にもひかれます。「天地(あめつち)も鬼神も歌はうごかすと貫之書きし『古今集』仮名序」
長谷川 「詩は無力だ」と嘆く人がいる。「一枚の毛布にかなわない」と。それは単に、その人が今まで詠んできた詩が無力なんであって、詩そのものが無力なのではない。紀貫之は天地も動かすと言った。その力を信じないと、脈々と詠めないでしょう。
長谷川 詩歌だけでなく政治、経済はじめ社会全般で想像力が貧しくなっている。そこに近代社会の行き詰まりを感じます。
和合 最近の詩はどこか、社会から目をそらしてきたのかもしれません。
以上です。
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