私たちの知っているウェブの終わり
facebookが500万ユーザーを日本で越えたという。
mixiの三分の一になった。
世界には現在7.5億人のfacebookのメンバーがいる。
もしFacebookが国ならば、 中国とインドに次いで世界で三番目に人口の多い国になる。アメリカでさえたった3. 12億人の人口しかいない − Facebookの半分にも満たない。
先ごろ発表されたオープングラフは大きくfacebookを変えるという。
使い切っていない私には実感がまだない。
しかし今やfacebookが私の中のコミュニケーションの多くを占めているのは間違いない。
しかもそれはバーチャルではなくリアルライフの延長線上にある。
多くの人にも勧めている。
そんな中not Harukiという人の訳した原題:It’s the end of the web as we know it 著者:Adrian Short
という文章が参考になったので一部紹介します。
ちょっと怖いかも
もうあなたは抜けられない。
not Haruki
私たちの知っているウェブの終わり
Facebookのこと、どれだけ知っていますか。Faebookの個人情報の扱い方、 調べた事はありますか 。
きっと日本の方は総じてあまりよく知らないんじゃないかと思います。何を隠そう、僕もそうです。 けどそんな僕らだからこそ、この記事を読む義務があると思うんです。
だから翻訳しました。インターネットを住まいとする一人の市民として、 自分の身を守れるように。
原題:It’s the end of the web as we know it
著者:Adrian Short
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(中略)
以前はサイトのユーザーは三カ所からやってきた:現実世界(広告、名刺、口コミなど)、検索エンジン、 そして被リンクだ。あなたがどの分野のどのレベルにいたとしても、 公平な条件で似たようなサイトと競争していた訳だ。
だが、ソーシャルネットワークが全てを変えた。ユーザーに新しい情報共有と情報発見のツールを与える事で、 今ではFacebookとTwitterが巨大な力を振りかざしている。 独立したサイトをリンクと検索エンジンで緩く集めただけの「オープンウェブ」 上でこの力を再現することは不可能だ 。
ちょっと昔を振り返ってみると、ブレイク前のバンドはMySpaceを使わないといけなかった。 今ならおそらくFacebookを使わないといけない。どちらにせよ、 ソーシャルメディア上の存在のほうがあなた自身のサイトより重要な訳だ。
もしあなたが駆け出しのフリーランス写真家なら、何万人もの人に見つけてもらえる、 Flickrのようなフォトシェアリングのサイトを使うのは必須だろう。
テクノロジーを含む多くの分野の最も勝ちのある会話は今やTwitter上で起こっている。 もしあなたがそこに居ないのなら、それはあなたが存在しないのと同じ事だ。 あなたがまだ駆け出し中なら尚更そうだ。
あなたの分野で重要なソーシャルメディアから背を向け、 自分のサイトを自分のドメインで運営することはできる。だが、この「自由」は日に日に「無視される自由」 になってきている。「餓死する自由」になってきている。 私たちはユーザーに見つけてもらうためにソーシャルメディアを使わなければならない。 だがこれを受け入れれば私たちはデジタル世界の農奴と化してしまう。 ユーザーに振り向いてもらえる希望を胸に、 私たちがツイートするたびに、記事を投稿するたびに、巨大なウェブ会社たちはその力を増す。 自由で自営なオープンウェブがこれほどまでに非力に映ったことは未だかつて無い。
ソーシャルメディアの王者、 Facebookがその力を乱用しなければこの事態に頭をなやませる必要など無かったのかもしれない。今週 オープングラフ を発表する前からFacebookが私たちがのウェブ上の行動全てを把握し、 所有したいと考えていた事はそれなりに明白 だった。Facebookは現在7.5億人のメンバーがいる。もしFacebookが国ならば、 中国とインドに次いで世界で三番目に人口の多い国になる。アメリカでさえたった3. 12億人の人口しかいない − Facebookの半分にも満たない。
Facebookのオープングラフを使えばFacebookと全く関係ないサイトでも、 そこでユーザーが何をしているかをFacebookに伝える事ができる。Facebookの「いいね!」 ボタンをサイトのありとあらゆるアクションにつなげる事ができる。 あなたが音楽サイトで曲を聞けば、 このサイトはFacebookにあなたが何を聞いているか教える事ができる。 新聞記事を読めばFacebookがあなたが何を読んだか知る事になる。 あなたのウェブ上での行動は全てFacebookに記録される。そしてこのデータが消えることは絶対にない 。Facebookはこれは「無摩擦シェアリング」と読んでいる。こう言うとよく聞こえるが、 中身は絶対的な諜報活動に他ならない。一度登録すれば(現在、参加は任意)「シェア」 するために何かする必要はなくなる。”It’s Automatic.”
サイトオーナーや開発者は歓喜している。 ホスティング会社のHerokuはオープングラフが発表された次の日にこの驚愕のツイート を発信した。
ソーシャル開発者たちがすごい勢いだ。 この24時間で33800個の新しいFacebookアプリが登録された。
そう。たった一日で、たった一つのホスティング会社の客だけで、 3万4千個近くの新しいFacebookアプリが作られた。驚愕の数字だ。
オープングラフはまだマシだ。Facebookはこの技術については素直なのだから。 だがFacebookの「いいね!」ボタンを使ったユーザーのプライバシーの侵害 はあまり報道されていない。私たちは皆「いいね!」 ボタンのシステムがどういうものかを知った気になっている 。どこかのサイトで面白い記事があったので、「いいね!」ボタンを押すわけだ。 そのページへのリンクが私たちのFacebookページに張られ、私たちの友達はそれを見ることができる。 Facebookはもちろんこのデータを保管し、広告を売るために役立てる。ここまでは予想通りだ。
ほとんどの人が知らないのが、「いいね!」ボタンが私たちのウェブ上の履歴を記録し続けているということだ 。 私たちが「いいね!」 ボタンのあるサイトを訪れる度にFacebookはこのデータを私たちのアカウントに保存する。 私たちのページに何かがのる事は無いが、 Facebookは私たちがウェブ上でどこに行ったかを記録し続ける。 しかも、Facebookからログアウトしてもこの記録は続く 。「いいね!」ボタンはもはや一般的なサイトならどこでも組み込んである。サイトを訪れる度に「 無摩擦シェアリング」を知らずにしている訳だ。え?こんなのに合意した覚えは無いって?いやだなあ、 Facebookでアカウントを登録した時点で合意しているんですよ。え?外すことは出来るのかって? Facebookのアカウントを消去しない限りは無理ですよ。
私が線引きをするのはここだ。私は、私たちのネット上での行動の全て、 そして現実世界での行動の一部でさえもが記録されている事は百も承知だ。 携帯電話を持っている人ならば位置情報は電話会社に絶えず記録されている。 あなたが犯罪の容疑者になったり行方不明になったりしたらこの情報は警察に渡される。 多くの人はこの事を知った上で携帯電話を持ち歩いている。現金を使わない限り、 ものを買うときの取引は銀行やお店に記録される事を私たちは知っている。ネット上での行動がパソコン、 そしてプロバイダに記録されていることも私たちは知っている。しかし、これらは容易に予想が付くし、 サービスを受けるための必要悪でもあるとも言える。プライバシーの侵害は嫌かもしれないが、 代わりに受けるサービスの品質と身の安全は気に入っている。納得して譲歩しているわけだ。
Facebookがしていることは根本的に違う。 第三者のサイトでの私たちの行動をFacebookが記録するときにFacebookの存在は全く必要ない 。Facebookが自身のサービスを運営するためにこのデータは必要ない。 それにFacebookが私たちの様々なネット上での行動を把握し、記録するのは、 電話会社が私たちの電話情報を持つ事や銀行が私たちの金融情報を持つ事とは根本的に違う。最悪なのは、 Facebookが私たちのデータをどのようにして集め、使うかは想像に難しい上に不透明だ。 Facebookの技術や制度はめまぐるしく変化し続けるため、あなたが技術と法律のスペシャリストであり 、 なおかつ常にFacebookの行動を膨大な時間を費やして調べ続けない限りは彼らがあなたのデータをどの 様に使っているかを理解する事など出来ない。
私たちは個人としてはFacebookから手を引くことが出来る。 現代社会でソーシャルメディア無しで充実した生活をすることはまだまだ可能だ。 人によって難易度は異なるだろう。Facebook上でのみ知らされるイベントへの招待状、 Facebookにしか共有されない友達の写真、Twitter上の会話など、失うものは少なくない。 だが今ならまだ大多数の人には十分な代替案がある。タバコと同じように、 始めから吸わないほうがやめるよりも簡単だ。一旦登録したら「友達」が一人増えるたび、 写真を一つのせるたび、一言つぶやくたびに「やめるコスト」は高くなる。だから私は今のところGoogle +に登録していない。
だが組織や企業はこうはいかない。もうソーシャルメディアを無視できる時代は終わった。 ソーシャルメディアを使わない企業は使う競合に対して大きなハンデを背負ってしまう。 ソーシャルメディア上にはユーザーに注意、会話、そして流れがある。 公共や政治関係の機関でさえもソーシャルメディアの重要度が増してきている。 必要不可欠になるまではあとどれくらいだろうか。
オープンウェブの希望は日に日に不透明になってゆく。 テクノロジーは存在し続けるだろうし、進化し続けるだろう。 自分のドメイン上で自分のサーバーを走らせることも当面の間はできそうだ。だが、 本当に意味のあるものはごく少数の巨大なウェブ会社によって支配されるだろう。 あなたのアイデンティティはあなた自らが所有するドメイン名ではなく、Facebook、Google、 そしてTwitter上のアカウントになるだろう。 これらの巨大なウェブ会社に私たちは一銭も払っていないのだから、 私たちのアイデンティティと全てのデータはいつでも取り上げられてしまうだろう。多くの人の目にとまり、 多くの人に使ってもらえるものはFacebook、Google、 そしてTwitterが私たちに行ってもらいたいものになるだろう。 あなたのサイトではあなたがしたいことをすればいいだろうが、多分誰の目にも留まらないだろう。
もし何か答えを見つける事が出来れば書くが、今のところのぞみは薄い。私たちの知っているウェブの終わりだ。 気分は全然良くない。
@hkmurakami
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今日の昼のアップ直後が一番多くその後はなだらかに減っていますが今も多いです。
特定のリンク元もキーワード検索もなくサイト内からの移動と直接アクセスが多いです。
ブログ全体のアクセスでも3000を越えており、ひょっとすると過去最高かもしれません。
facebookへの皆さんの関心が高いということでしょうか。
投稿: 大津留公彦 | 2011年9月29日 (木) 22時57分