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2011年12月24日 (土)

「避難の権利」についての公開論争

3.11後まもなく「原発事故緊急対策マニュアル」を発行したグループである日本科学者会議福岡の「核問題研究委員会メンバー」が日本共産党に対して「避難の権利」についての公開質問状が出された。
その回答に注目していたがこの度公開の回答書が日本共産党名で出された。

なかなか回答書には原発災害被害者を守ろうとする気持ちが籠っており感心した。
この問題は一般論ではなく避難か除染かを決める数値基準が明確にされる必要があると思います。
この問題は今後の進展があると思いますが、こう言う真摯でオープンな議論をする政党と市民の関係は日本には他に無い貴重な物なのではないかと思います。

どちらの文章も大事だと思いますので全文紹介させて頂きます。

ーーーー

質問は
「避難の権利」の擁護が弱いとこう書かれている。


「しんぶん赤旗」紙面にも,また三次にわたって出された共産党の「大震災・原発災害にあたっての提言」にも,この権利についての言及はありません.それどころか,例えば,10月10日の「赤旗」の野口邦和講演会記事の「除染が決定的です」という見出しや,10月3日の同氏の「福島の放射線量 3年で半減する」というタイトルの文章などに見られるように,除染のみを一面的に喧伝し,避難の必要性あるいは「避難の権利」の擁護については全く触れていません.

又最後はこう危惧している

この最低限の権利としての「避難の権利」を,貴紙と貴党は明確に支持し主張されるよう要請します.さもなければ,この原発災害における被災者支援,人権擁護の活動において決定的で重大な過ちを犯すことになりはしないかと危惧しております.

共産党は8月11日提言にこういう風に「避難」の事について書いている。
自主避難についても東電の賠償は当然と書いている。

3、避難者への支援を抜本的に強化する

 ――(避難先の確保など生活支援)放射線測定によって、一時的な避難が必要になる場合には、安定した避難先の確保をはじめ生活支援に万全の体制をとる必要がある。

 ――(自主避難にも賠償、子ども・妊婦に配慮)住民の判断による、いわゆる自主避難についても、必要な生活支援と東京電力による賠償が行わなければならない。とくに、子どもや妊婦の避難には特別の配慮が求められる。

「避難の権利」に関する意見への共産党からの回答: ペガサス・ブログ版
へjunskyさんはこういうコメントをされてる。

この文書の2か月前の、日本共産党の8月11日付けの「提言」で、避難者への対処を明記しているのですから、上記の「断言」は、事実誤認によるものだったということになります。

従って、【JSA福岡「核問題研究委員会メンバー」】としては、日本共産党の12月16日付け回答を掲載するだけではなく、“多数の”ブログ読者をミスリードしたことを謝罪するべきではないでしょうか?

尤も、日本共産党の回答も、上記文書送付後2ヶ月も経った12月16日付けという遅きに失した(間抜けな)点があるとは思います。

これについてペガサスブログ版はこう回答している。

たしかに8月11日付けの「提言」では「避難の権利」に相当する表現があります.しかし全体の中に占めるウェイトが極めて小さいだけでなく,「言葉」より大事な「行動」がほとんどなかったと思います.というのは,福島の父母や市民団体がこの権利の問題を中心とした政府交渉を繰り返してきましたが(*),そこに共産党の議員などキーパースンの姿が見られなかったと思うのです.またメッセージなどが寄せられたとも聞いていませんし,赤旗での報道も皆無に近いものです.

以下回答と質問の全文です。

「避難の権利」に関する意見への共産党からの回答: ペガサス・ブログ版

10月13日の当ブログ記事で紹介した次の意見
「共産党は『避難の権利』を擁護すべきだ」
に対して,今月16日に回答がありました.公表可とのことなので,そのまま転載します.
応援のクリック歓迎

-------------------

JSA福岡核問題研究委員会メンバーのみなさんへ

 みなさんから「しんぶん赤旗と共産党は『避難の権利』を擁護すべきです」とのご意見をいただきました。以下を私たちの回答といたします。

(1)みなさんも心を痛めているように、東京電力福島原発の事故によって深刻な放射能汚染がひろがっています。国民、とりわけ、放射線感受性の高い子どもの健康をまもることは、日本社会の大問題です。そのため、日本共産党は、三次にわたる「大震災・原発災害にあたっての提言」にくわえて、「福島原発事故による放射能汚染から、子どもと国民の健康を守る対策を」との提言(8月11日)を発表し、政府に実行を求めています。この全文もぜひご覧ください。http://www.jcp.or.jp/web_policy/2011/08/post.html

(2)みなさんがいう「避難の権利」が、「避難をした場合に十分な支援と賠償をうける権利」を意味するなら、憲法が保障する幸福追求権(13条)、生存権(25条)にてらして当然のことだと考えます。それは、自主避難であっても同様に認められるべきです。私たちは、「提言」のなかで「住民の判断による、いわゆる自主避難についても、必要な生活支援と東京電力による賠償が行われなければならない。とくに、子どもや妊婦の避難には特別の配慮が求められる」と、明確にのべています。多くの人々が長期の避難生活を強いられ、将来の展望もみえず、心身ともに疲れ果てているなかで、一刻も早く国が抜本的な支援と全面賠償を行うよう強く求めるものです。
 同時に、「避難の権利」を認めるからと言って、「警戒区域」「避難区域」に指定された地域以外の住民に「避難すべきだ」と求めることは、適切でないと考えます。避難するかどうかは、正確な情報提供のうえにたって住民の判断にゆだねられるべきです。
 それは、避難すれば、放射能の不安から逃れることはできたとしても、別の深刻な困難をかかえる人が多数いるからです。家族や友達が離れ離れになってしまい、そのストレスは子どもの心に少なからず悪影響をもたらします。その地で長年築いてきた仕事や営業・営農を手放すことは苦渋の選択です。多くの住民が避難をせずにとどまりながら、放射能汚染から身を守るために懸命の努力をしているという現実があります。この人々にも、幸福追求権や生存権にてらして国に支援を求める権利があります。
 避難をした人も、避難しない選択をした人も、避難したくてもできない人も、ともに連帯を強め、国と東京電力に責任をはたすよう求めていく世論と運動をひろげることが大事ではないでしょうか。
 私たちが12月13日に開いた第4回中央委員会総会では、「自主避難も含めて避難された人々と、現地で暮らし続けている人々の双方に対して、生活と権利、健康を守るための万全の対策を等しくとることを、政府に強く要求します」として、徹底した除染と全面賠償を政府に行わせるため、全力をあげることを明らかにしました。「提言」も、こうした立場から発表したものです。

(3)みなさんは、「しんぶん赤旗」が「除染が決定的です」と報じたことなどをもって、「除染のみを一面的に喧伝し」ていると非難していますが、大きな誤解だといわねばなりません。
 国民、とくに子どもたちの命と健康を守るために、また、避難している人々が一日も早く故郷に戻れるようにするためにも、今なすべきことは、私たちの「提言」が「放射能汚染の規模にふさわしい除染を迅速にすすめる」とした具体的な措置をすべてとりきることです。「しんぶん赤旗」が、その立場から「除染が決定的」と報じるのは当然のことでしょう。
 福島事故での汚染の調査と除染は、規模の面でも方法についても、人類が経験したことのない挑戦であり、国が本腰をいれて責任もってとりくむべき一大事業です。みなさんは「除染の効果が現時点で限定的」といいますが、本格的な除染が行われていない段階で「効果が限定的」と断言するわけにはいきません。汚染土壌の表層5cmを剥ぎ取るだけで線量が半分以下になり、農地の果樹も高圧洗浄で線量が半減することは、すでに実証されています。1回の除染では効果が少ない場合や、効果をあげても再び線量があがる場合には、除染方法の改善や面的除染へひろげるなど、さらに効果をあげる努力が必要になってきます。大事なことは、あらゆる英知を結集して、本格的な除染、効果のある除染をやりとげることです。
 そのためには、除染のための大きな財源確保や汚染廃棄物の「仮置き場」の確保も必要になります。財源の確保は、「原発埋蔵金」の活用や「原発利益共同体」の負担によって可能と考えますが、国の除染費用は来年度予算を含めても1・2兆円にすぎません。「仮置き場」も住民合意を貫きながら国の責任で行うべきなのに、なかなか決まっていません。政府の対応があまりにも不十分で無責任なことこそが大問題なのです。
 除染の作業を、内部被ばくを防ぐ方法で行うべきことも当然のことです。「提言」は、「内部被ばくを避ける作業方法などの相談や援助を各自治体が行えるよう、国が支援する」ことを求めています。
 なによりも、本格的で迅速な除染は多くの福島県民の切実な要求です。10月30日に「オール福島」で開催された集会でも、浪江町町長の馬場有さんは「一日も早く除染して、元の生活に戻してほしい」と訴えています。
国と東京電力の無責任な姿勢を変え、除染と賠償に責任をはたさせるために、いまこそ国民が力をあわせるときではないでしょうか。私たちは、そのために全力をつくします。

               日本共産党

ーーーー

コメント欄のjunskyさんのコメント

リンクを開いて、日本共産党の8月11日付けの「提言」を読んだところ、

【――(住民のための汚染マップ)福島県をはじめ放射能汚染が心配されるすべての地域を対象に「放射線量等分布マップ」(放射能汚染マップ)を、早急に作成する。放射線量が高い市町村では、住居ごとに測定し、「私の家はどうなっているか」などについて、住民がわかるようにする。空中放射線量や土壌汚染など、放射能汚染の実態を把握するモニタリング調査を系統的に実施する。】
【――(検査機器と体制の整備)食品の検査は、厚生労働省が都道府県に行わせているが、検査機器も体制も足りないために、実態の正確な把握には程遠い状態である。自治体まかせにせず、国の責任で、民間の能力も活用し、最新鋭の検査機器を最大限に確保して、検査体制の抜本的強化をはかる。】

とあり、避難についても

【――(避難先の確保など生活支援)放射線測定によって、一時的な避難が必要になる場合には、安定した避難先の確保をはじめ生活支援に万全の体制をとる必要がある。】
【――(自主避難にも賠償、子ども・妊婦に配慮)住民の判断による、いわゆる自主避難についても、必要な生活支援と東京電力による賠償が行わなければならない。とくに、子どもや妊婦の避難には特別の配慮が求められる。】

と書かれていました。

これに対して、10月13日付けの【JSA福岡「核問題研究委員会メンバー」】の日本共産党宛て文書には、

【「しんぶん赤旗」紙面にも,また三次にわたって出された共産党の「大震災・原発災害にあたっての提言」にも,この権利についての言及はありません】

と断言しています。

この文書の2か月前の、日本共産党の8月11日付けの「提言」で、避難者への対処を明記しているのですから、上記の「断言」は、事実誤認によるものだったということになります。

従って、【JSA福岡「核問題研究委員会メンバー」】としては、日本共産党の12月16日付け回答を掲載するだけではなく、“多数の”ブログ読者をミスリードしたことを謝罪するべきではないでしょうか?

尤も、日本共産党の回答も、上記文書送付後2ヶ月も経った12月16日付けという遅きに失した(間抜けな)点があるとは思います。

by JUNSKY (2011-12-22 10:01)

これに対する豊島さんの回答です。


たしかに8月11日付けの「提言」では「避難の権利」に相当する表現があります.しかし全体の中に占めるウェイトが極めて小さいだけでなく,「言葉」より大事な「行動」がほとんどなかったと思います.というのは,福島の父母や市民団体がこの権利の問題を中心とした政府交渉を繰り返してきましたが(*),そこに共産党の議員などキーパースンの姿が見られなかったと思うのです.またメッセージなどが寄せられたとも聞いていませんし,赤旗での報道も皆無に近いものです.

避難の必要性についても,上記提言では「放射線測定によって、一時的な避難が必要になる場合には」などという書き出しで,すでに長期間高い線量の場所があり続けていることを知らないかのようです.

「除染が決定的」の表現にしても,一方では「避難が決定的」な場所も広範に存在するのです.

なお,このコメントは意見提出者を代表してのものではなく,1連名者であり当ブログ主催者である豊島個人によるものです.

* たくさんありますが,8/11直前では例えば次の行動です.
「29日【緊急】「自主」避難者にも賠償を!…文科省前行動」
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/07/post-d76d.html
by yamamoto (2011-12-22 17:30)


共産党は「避難の権利」を擁護すべきだ [社会]

本日(10月13日)朝,JSA福岡 核問題研究委員会メンバー4人の連名で,以下の文書をメールとファクスで「しんぶん赤旗」と共産党に送りました.JSA*福岡 核問題研究委員会は,3.11後まもなく「原発事故緊急対策マニュアル」を発行したグループです.応援のクリック歓迎

------------------

                   2011.10.13

しんぶん赤旗と共産党は「避難の権利」を擁護すべきです

           JSA福岡 核問題研究委員会メンバー
                   岡本良治
                   豊島耕一
                   本庄春雄
                   三好永作

貴紙と貴党の福島原発災害と原発問題への取り組みに敬意を表します.しかしながら,現在の政策には,以下に述べるように重大な問題点があるように考えます.

福島県の多くの住民が放射能汚染地域に居住し続けることを余儀なくされています.しかも「放射線管理区域」の定義である「3ヶ月あたり1.3mSv」(時間あたりに直すと0.6μSv)という高い値を超える地域も広範に及びます.このような区域内では,未成年者の就労が法律で禁じられるような環境ですが,未成年者といわず,小児や幼児までもが四六時中この中にいます.しかもこの線量には内部被ばくはカウントされていません.

このような異常な状況に対し,多くの人々が「避難の権利」を求めて闘っています.他人(東電)に生活環境を放射能で汚染されて,それを受忍しなければならない理由などありません.この「権利」はあたりまえ過ぎるほどあたりまえのことです.

しかしながら,「しんぶん赤旗」紙面にも,また三次にわたって出された共産党の「大震災・原発災害にあたっての提言」にも,この権利についての言及はありません.それどころか,例えば,10月10日の「赤旗」の野口邦和講演会記事の「除染が決定的です」という見出しや,10月3日の同氏の「福島の放射線量 3年で半減する」というタイトルの文章などに見られるように,除染のみを一面的に喧伝し,避難の必要性あるいは「避難の権利」の擁護については全く触れていません.

しかし除染の効果が現時点で限定的なのは福島県のサイトでも明らかですし[1],除染作業に伴う作業者の内部被ばくの危険もあります.除染だけで避難に触れないのは,また除染作業の危険性にも触れないのは,まるで「竹槍で放射能と戦え」と言うに等しいでしょう.

短期間に効果的な除染が出来ないときは,つまり,平常値と大きく違わない程度にまで線量を下げる見込みがない場合は,だれもが「避難の権利」,つまり支援と賠償を伴う避難を実行する権利を持つのは当然です.これは最低限の権利であり,本来は,このような高リスクの地域に対しては,国が責任を持って「義務的避難」をさせるべきと考えます.

この最低限の権利としての「避難の権利」を,貴紙と貴党は明確に支持し主張されるよう要請します.さもなければ,この原発災害における被災者支援,人権擁護の活動において決定的で重大な過ちを犯すことになりはしないかと危惧しております.

今回はこんな所です。

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