「新日本歌人」2012年2月号から10首紹介
新日本歌人2012年2月号を久しぶりに全て読みました。
10首選を行いましたのでひと言コメントと一緒に紹介します。
入営前夜「あなたが好きよ」と告発し自画像渡し答えは聞かず
田端久仁子
悲しい歴史は語り継ぎたい。
除染されし土あたらしき園庭に児らの声あり遊具に群れて
永井幸雄
この風景は去年から今年にかけて関東の多くで見られた事だろう。
秋の空ポッカリ浮かぶくじら雲私の母はそこに居ますか
平塚澄子
くじら雲に母は乗っているか
「被りかたこれでいいの」と聞きたきに母は在さぬ秋の帽子よ
池添智恵子
母の不在がまだ納得出来ていない作者が見える
恋人の裸体描きし学生は未完に残す帰郷の誓い
石井洋子
これも無言館の歌か。 聞けわだつみの声!
むっとくる異臭に耐えつつ石巻の津波の痕を胸に刻みぬ
上田精一
作者は熊本から石巻まで行かれたようだ。日本の多くの善意が胸に津波の痕を刻んだ事だろう
「この国には何の未来もない」とTVの青年よマルクスがやが手を振って来よう
碓田のぼる
欧米でマルクスが見直されている。現代の日本に多くのマルクスよ出でよ!
北上川に舞うコイのぼりはればれと阿部美保子写真集にふるさと薫る
嘉部明子
日本の原風景である農村の風景を今からでも何とか残したい。
心臓に穴のある子のかくも多しチェルノブイリ・ハートと呼ばれて今も
下村すみよ
寡聞にして「チェルノブイリ・ハート」という言葉を知らなかった。悲しい言葉だ。
子の賃金親の年金よりしたまわる話がついに現実となる
荘司光子
これは実感出来る事実である。
事実は何よりも訴える
東日本大震災関連の歌が半分を占めたが全体でも半分近くを占めていたかもしれない。
こんな事は新日本歌人の歴史でもなかったかもしれない。
3.11以後世界は変わった。短歌が変わらないはずがない。
もうすぐあの日から一年になる。
Re start!
短歌は再スタートすべきである。
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