広島・長崎と福島を結ぶものは「内部被曝」です。
内部被曝からいのちを守る
( 市民と科学者の内部被曝問題研究会編)
旬報社
を読んだ。
この本を読んで内部被曝を避けることの重要さがよくわかった。
子どもや孫たちの内部被曝量はどれ位になっているのか心配である。
と同時にホットスポットとなっているわが町に住む子供達の事も心配である。
そして疎開出来ないでいる福島の子ども達の将来も心配である。
被爆者の障害から内部被曝を排除して統計処理した原爆傷害調査研究所(ABCC)や放射線影響研究所(放影研)の流れをくむ国際放射線防護委員会(ICRP)の基準は内部被曝が見えなくされている基準です。
アメリカや日本の基準はこのICRPに準拠しています。
これは被爆者救済の為にでなく原発推進の為の基準です。
福島事故後の政府の対応がそれを現しています。
政治の使命は経済が第一ではありません。
被爆者や被曝者の救済や新たな被曝者の発生の防止が第一です。
この本を内部被曝に興味のある全ての人にお勧めします。
以下矢ケ崎克馬さんの分のみ紹介します。
矢ケ崎克馬さんの内部被曝(放射線の危険を科学的にみる必要性と内部被曝が隠され続けた歴史)から
1.放射線による分子切断は「被曝評価」の基本
被曝の二つの危険
第一の危険
分子が切られることにより生命機能が破壊されてしまう危険
第二の危険
切られた分子が間違って再結合し、異常に変性された遺伝子を持つ細胞が生き延びることによる危険(これは主として「内部被曝」による)
広島・長崎の原爆症認定集団訴訟の19回の判決では全て「内部被曝」が認知された。
認知してないのは国とそれをサポートする「学者」たち。
ICRPは第一の危険だけしか見ることの出来ない基準を持ち「内部被曝」が見えなくされている。
広島・長崎と福島を結ぶものは「内部被曝」です。
2.放射線の作用ー内部被曝の危険
(1)内部被曝と外部被曝の危険
アルファ線 :空気中では45mm、体内では40μmしか飛ばず、10万個の分子切断をする。(内部被曝)
ベータ線 :空気中では1m、体内では10mm飛び、2.5万個の分子切断をする。(内部被曝)
ガンマ線 :物質との相互作用が弱く疎らにしか分子切断行わないので遠くまで飛ぶ。(外部被曝)(DNA分子切断が修復する可能性が高い)
内部被曝の実効線量は外部線量の600倍
核種が骨に沈着すると半分になるまでに50年かかる
(2)内部被曝では局所的に被曝線量が大きくなる。
ニュートンによる力学の確立までは「ものが動くことは力が働く証拠である」、あるいは「天動説」が唱えられていました。ニュートンが物体の「位置と時間」の関係ではなく「速度の変化と力」の関係によって法則を解明しました。
今、放射線科学は「内部被曝」を隠してその分野の被害を「認めない」実践活動をしてきました。
ひとつの重要な分野を考察対象から排除して、まともな科学が行えるはずがありません。
現行のICRPを世界観とする放射線「科学」分野は、現象論さえまともに展開することが適っていません。政治的支配からの脱却と分子生物学等の具体的科学で本質論が展開できる科学としての確立が求められています。
3.放射線被害の隠蔽とICRP
(1)アメリカ政府による内部被曝の隠蔽と「福島」への影響
アメリカの内部被曝隠ぺいの意図は、日本政府により「被曝者認定基準」に集約されました。内部被曝を欠損させた基準を作成したのです。
「被曝者認定基準」は本当の被曝の実相を反映していません。
多くの疾病に苦しむ被爆者は「あなたは放射線には被曝していません」と切り捨てられ続けました。原爆症認定集団訴訟ではすべての判決で、内部被曝が認められましたが、ICRPに従う国や多くの機関や科学者はこの結果を受け入れていないのが日本の悲劇です。現に進行している福島原発による被曝の見方は大きく歪められています。被爆者が味わった苦しみを「福島」で再現すべきではありません。
(2)ICRPの基準は内部被曝無視と功利主義
欧州放射線リスク委員会(ECRR)は1945年から1989年までに世界で放射線により命を失った人の数を5500万人と推定しています。しかし、ICRP基準で試算すると112万人です。この違いは内部被曝を勘定に入れるか入れないかの違いです。
ICRPの基準はもともと原子力発電推進上の都合と人の健康を天秤に掛けたものなのです。年間1mSvから20mSvまで公衆の被曝限度を上げることは、住民の健康を犠牲にして原子炉の破綻処理の都合を優先したもので、主権在民の原理から許されるものではありません。具体的な被曝回避措置を行わずに、被曝限度値をあげるだけの行政は「民を打ち捨てている」ものです。
ECRRは、チェリノブイリの影響を世界中で疫学調査した結果、平均値として「内部被曝の実効線量は外部被曝の600倍」としています。
4.現に進行している被曝の回避に全力をー日本を被曝地獄にしてはならない
(1)政府の限度額は棄民ー命を守るものではなく食べさせるため
①全ての食糧産地に測定器を完備させる必要があります。
汚染地域・海域での農産物・海産物は、放射線測定をしなければ売ってはいけない。さもなくば、獲らない、売らない、食べない。東電に測定器を購入させるべきです。
②政府は生産者補償を行うとともに、汚染ゼロの食品を国民に提供せよ。
③政府の限度値の50分の1程度以上の汚染食品を市場に出さない、食べない、ことを生産者と消費者が一体となって実現しましょう。
④汚染の無い(少ない)日本の地で、休耕田等を利用して、食糧大増産を行いましょう。
(2)政府は汚染地域の住民の命の保護との関わりで論ぜよ
年間1mSvの限度値以上の汚染地の学童の疎開を即刻手配すること。
今住民を被曝から守ることが、やがて生じる巨大な健康被害、莫大な医療費などを軽減し混乱を回避することに繋がります。とにかく、放射線汚染処理の責任を東電に果たさせることを基本として、安易に市民が収めた税金で実施させないようにしましょう。
⑶住民、特に幼児、学童、妊婦、病人等の「被曝弱者」の被曝を最小限にする施作
政府は年間1mSvの基準値を守るべし。
⑷短期的・長期的視点での避難と除染
汚染の強いのを除染でごまかすことは誤りです。
東電・政府の責任で汚染のない国土の再現を果たさなければなりません。何百年と培ってきた微生物と小動物の生態系が破壊されないよう、両者を維持できるような方法を考えるべきです。
短期的な観点と長期的視点が必要です。
⑸長期にわたる健康診断が必要です
⑹晩発性がんなどの犠牲者が出た時の無料医療制度が必要です。
以上です。
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広島・長崎と福島を結ぶものは「内部被曝」です。
以上です。
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