大津留の選ぶ2012年新日本歌人年間最優秀歌
2012年新日本歌人最優秀歌はこの歌にしたい。
「おとうさん、大変だったでしょ。お芝居だった」
ある朝妻よ舌出して言え
十月号 東京 小石雅夫
奥さんの急激な病状の悪化に小石さんは驚いている、悲しんでいる、嘆いている。
そしてそのどうしようもない現実にやっと顔を上げて向き合おうとしている。
自分もリューマチが悪化し一人では出歩けなくかった妻が居り小石さんの思いに痛く同感する。
妻が元気ならこの歌を年間最優秀歌には選ばなかっただろう。
人生への思いを深くさせてくれた小石さんの奥さんと我妻に一緒に感謝したい。
以下年間10首です。
これは既に新日本歌人10月号に掲載されています。
この一年 わたしの選んだ十首
大津留公彦・選
職退きし八十二歳閑暇などなきに沁み入る ごとき月光 一月号 故・向井毬夫
心臓に穴のある子のかくも多しチェリノブ イリ・ハートと呼ばれて今も 二月号 下村すみよ
ヨオーツと手をかざして微笑む向井さんの遺影に緊まりし心の和む 三月号 佐藤靖彦
来る日、来る日
夫の死を悼んでくれる
歌友の手紙は
本棚にうず高くあるー四月号 水枝弥生
解体されないコンクリート塀に
赤い丸印とX描かれ
あそこもここでも見つかった人 五月号 西沢幸治
大空襲の火の海逃れし姉行きて戦時を知るもの身内に絶えぬ 六月号 故・相川雅信
不当解雇に挑みて勝てるSST十一人の写真切り取る 七月号 松野さと江
姿も見えない音もしない
針だけが動く線量計を
凝視している 八月号 清水鉄次郎
「撮影をする時合掌を」と涙して願いし男性教師のありぬ 九月号 秋山公代
「おとうさん、大変だったでしょ。お芝居
だった」ある朝妻よ舌出して言え 十月号 小石雅夫
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来年2月のみさとシティーハーフマラソンで10km完走する
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