TPPよりもっとTFPを!
2月7日の日本経済新聞の「経済教室」に一橋大学の深尾京司教授のこういう論文がある。
産業競争力強化の視点上
生産性引き上げが不可欠
全体のトーンはTPP賛成など評価出来ないがTPPでなくTFPの問題は参考になった。
TFPとは生産技術・効率の改善度合いを示す全要素生産性の事だという。
長期停滞が始まった1991年以降製造業の生産性が大幅に低下したという。
もしそのまま生産性の上昇が続いていれば製造業の実質付加価値は現在より5割大きかったはずだという。
その低下の原因は「R&Dや国際化に後れをとった中小企業の停滞と、生産性の高い大企業が海外移転などのため国内で生産を拡大しなかったことだ。」という。
(ここでは企業を呼び戻すのにTPPが必要という変な論理を展開している。)
中小企業の研究開発の推進や国際化の推進は必要かも知れないがTPPの推進や大企業の法人税減税は必要ない。
寧ろ1989年の竹下内閣の消費税の導入で消費が落ちたことと時期が重なる事に目を向けるべきではなかろうか。
これに対し非製造業の生産性停滞の背景としては「IT投資が他の先進国より大幅に出遅れたこと、組織変革や教育訓練支出などの無形資産投資が停滞したことが指摘できる」という。
そして更にこう指摘する。
「企業の教育訓練の減少は非正規雇用の増加と密接に関係している。非正規雇用は転職も多く、人的資本が十分に蓄積されず、日本全体として膨大な損失が生じている可能性が高い」
これは肯ける。
我々の就職した70年代は集合研修が数ヶ月オンザジョブトレーニングが数ヶ月そして教育配属が数年というのが常識だった。
非正規雇用や有期雇用ではとてもそんなことは出来ない。
それへの対策は当然従業員の正社員化だと思うがここではそうは書かれていない。
「セーフティネットの整備と労働の流動性を高め正規・非正規の格差是正」が必要としているのみだ。
この20年間アメリカでは賃金が大幅に上昇したが日本では停滞した。
「日本製造業の時間当たり労働報酬は米国の労働報酬に対し、最近では91年時点の6割の水準にまで下落している。」由
「この間にドルの価値は7割の水準にまで低下しているので同一通貨に換算した賃金率は91年時点と比べて日本が1割安くなった。換言すれば、賃金率で実質化した為替レートでみると、91年と比較して現在は既に1割程度円安だといえる。」由
これは計算は合っているがあくまでも為替レート上での話であり、1991年時点でさえ消費購買力平価で比べれば大きな所得差のあった日米の比較であり、それがさらに4割も差が開いたという事であれば生活者としては今は1割どころではなく既に何割も円安になっているという事だろう。
現況の把握として筆者は正しくこうまとめている。
「要するに日本の製造業は、円高を上回る賃金の引き下げにより生産性上昇の減速をカバーし、長期停滞傾向以前の競争力をほぼ回復している状況にあると言えよう。」
この論文の今後すべき政策はこうなっている。
現状の認識は正しいが出てくる政策は企業寄りだ。
その企業擁護の政策の幾つかには賛成ではないが紹介しよう。
「労働者や企業が活躍する環境を整備する政策が成長のカギとなる。規制緩和、イノベーションの促進、製造業の国内回帰策、働きたい女性や高齢者の活用、セーフティーネットの整備と労働市場の規制緩和資源再配分・産業再編を速めるコーポレートガバナンス(企業統治)の強化が欠かせない。」
国際競争力と賃金の引き上げを両立させる上でもTFP上昇が大事と書いているがTPP推進はここでは述べられてない。
課題である中小企業の活性化の為に必要ないからだろう。
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コメント
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世界キラーTPPさん
嬉しいコメントありがとうございます。
「TPP太平洋に更にアメリカによる隷属的な植民地ブロックを作ろうとする政策と言っても過言ではないでしょう。しかも日本をバスのガソリンにするということで。
TPPは参加したら20年で日本が滅び、その結果燃料が無くなった参加国全体が10年経たずに滅びてしまう無謀な計画です。何としてでも阻止しなければなりません。日本は絶対参加しないことです。」
ズバリそうでしょう。
投稿: 大津留公彦 | 2013年2月13日 (水) 20時45分
この問題は奇形児を差別するという問題ではありません。薬まみれ、遺伝子組替えの作物が人体に多大な悪影響を及ぼすことが恐ろしいのです。
更に食料を外国に握られることも大問題なのです。アメリカ、オーストラリア、カナダ等土地面積の違いから安い農産物が押し寄せてくることになり(しかも上記の人体に影響を与えかねない作物)、関税のない状況ではどんなに日本が対抗しても太刀打ちできません。このことで確実に日本の農業が無くなっていくことにより、日本国の食料自給率が40%から13%に下がることも危惧しております。結果外国に食料を握られることになり外国が不作になったり、有事があれば日本に食料が回ってこないからです。北朝鮮のような餓死者があふれる社会になります。
したがって農業を外国に握られるようなことは絶対避けるべきだと思います。TPPは農業に関する処方箋ではありません。外国が入ってくる国際条約です。日本の農業の既得権益も改めなければいけないところはあっても日本が持つべきだと考えております。
TPPはそのほかの交渉項目は25分野あると言われており、外国人労働者受入問題だけをとって見ても一般企業にも外国人が入り雇用が脅かされる、外国人犯罪者が多発する、日本企業が乗っ取られアメリカ式となり、下手したら日本語も非関税障壁として使えず英語で話すよう強要される等、様々な可能性も秘めているのです。国際社会は国相手のことであり自分だけは大丈夫という問題ではありません。
経済自由化と言ってもブロック経済の失敗はEUが証明しています。TPPは太平洋に更にアメリカによる隷属的な植民地ブロックを作ろうとする政策と言っても過言ではないでしょう。しかも日本をバスのガソリンにするということで。
TPPは参加したら20年で日本が滅び、その結果燃料が無くなった参加国全体が10年経たずに滅びてしまう無謀な計画です。何としてでも阻止しなければなりません。日本は絶対参加しないことです。
投稿: 世界キラーTPP | 2013年2月13日 (水) 13時18分
ろれつさん
モンサントの問題はそんな悠長なことを言っている場合ではありません。
世界中に害悪をばら撒いており欧州では実験結果が問題になっています。
ここをみれば貴方は意見を変えるでしょう。
http://blog.livedoor.jp/wisdomkeeper/archives/51848804.html
ついでにこの事も触れないわけに行きません。
「米倉経団連会長は、古巣の住友化学工業がモンサント社と提携して、遺伝子組み換え穀物の輸入を大々的に手掛ける計画でいますので、それに向けて、TPPを強力に推し進め、遺伝子組み換え有毒食品を日本人に大量に食べさせようと企んでいる」
結局TPPは独占的第企業が儲かるだけで他は皆危害を被る物です。
投稿: 大津留公彦 | 2013年2月12日 (火) 23時19分
奇形の子供を見たことがりますか?世の中には、本当に不思議な子供が生まれてくることがあるようで、有名どころでは体がくっついてしまっていたり、単眼症(サイクロプス)とよばれる遺伝子の異常による目が一つしかない子供がいたりします。
時に、我々は(いかな倫理を有していたとしても)、それらに対して生理的嫌悪感を覚えることがあります。これらの遺伝子の異常の原因は多岐にわたり特定できないことが多いのですが(あるいは、特定したと言い切れない)、多くの場合hox遺伝子群の突然変異であろうと言われております。このhox遺伝子群に関してですが、体の形を決定する遺伝子群と考えてよいです。つまり、彼ら奇形児は、体を形作る遺伝子の異常が原因で生まれてきたのであり、別にだからと言って何かしらの毒劇物や有害物質を体が作ってしまっているわけではありません。しかし、人類には正常な遺伝子を正常に子孫に受け継がせたいという本能がありますから、これらに対して嫌悪感を抱くのです。
大津留さんのリンク先のモンサント社の不思議な食べ物。多くが、この類でしょう。確かに形がいびつなものがありますが、だからと言って毒だとは決めつけられない。それに、遺伝子改変とは、ほとんど失敗するんです。中には成功する奴もいて、それが製品となるのです。この映画は、その「失敗作」達を列挙しているだけなのではないですか?いうなれば、人類の新生児たちの中から、奇形の子供たちだけを取り上げて、SEXは危ない!と言っているのと同じです。
そもそも、生命の進化の歴史は遺伝子改変の歴史なんです。遺伝子組み換えに用いる試薬はすべて生物由来なのをご存知ですか?微生物の類にもなれば、むしろ能動的に遺伝子を自分たちで組み換えているのです。遺伝子組み換えを始めた人間をおこがましいなどと呼ぶ輩がいますが、そう考えること自体おこがましい。遺伝子組み換えなんて、人間が自然のほんの一部分に学んで得た技術に過ぎない。自然の模倣に過ぎないのです。
投稿: ろれつ | 2013年2月12日 (火) 11時12分
ろれつさん
私はtppに反対です。
日本にとって百害あって一利なしです。
食の安全や食料安保の意味から日本という国のアイデンティティを守るならtppは絶対許してはいけません。
農業を強くする方策はいろいろあります。
全て無くしてから再度作る事は出来ません。
遺伝子組み換えについてはモンサントについての映画「モンサントの不思議な食べ物」が参考になります。
http://www.uplink.co.jp/monsanto/about.php
「遺伝子組み換え作物から、過去に発売された枯葉剤、農薬、PCB、牛成長ホルモン。1世紀にわたるモンサント社のヴェールに包まれた歴史を、貴重な証言や機密文書によって検証していく。
自然界の遺伝的多様性や食の安全、環境への影響、農業に携わる人々の暮らしを意に介さないモンサント社のビジネス。
「世界の食料支配、それはどんな爆弾より脅威である・・・」」
投稿: 大津留公彦 | 2013年2月11日 (月) 22時30分
TPP私はいいと思いますけどね。
大体、日本の農業はもっと自由市場として開放されるべきですよ。日本の農学のレベルは決して低くないのですが、それは研究施設と一部の農家での話。大部分の、農協の主体となっている経営力の無い農家は、弱者のふりをして保護を求め、先進的な研究は何一つ取り入れずに、のうのうと補助金で飯を食っている。はっきり言って、日本の農業は腐ってます。本気で農業やりたい人間は、まず農協からはじかれて農業に手を出せない。これじゃあ成長しませんよ。日本の農業を腐らせたのは、無意味な既得権益まみれの保護体質でしょう。ここらで、TPPに参加して世界の荒波にもまれるといいです。そうやって生き物というものは成長したり淘汰されたりしていくんです。
変化を嫌う日本の農業の体質もよろしくありません。その筆頭は、遺伝子組換え食品に対する過激なまでのアレルギーでしょう。だいたい遺伝子組み換えって、具体的に何やってるのか知ってて反対してる人っているんでしょうか。そもそも、遺伝子ってどういう役割をもって、どのように機能しているのか知ってて反対してるんでしょうか。
せいぜい、代謝系をいじって温度耐性を変えたり、害虫にたいする耐性を上げたり、味を落としている遺伝子をノックアウトしたりする程度。それでいったいどんな有害物質が生まれてくるのか聞いてみたいものです。
投稿: ろれつ | 2013年2月11日 (月) 17時02分