TPP 孫崎享vs古賀 茂明
孫崎享氏の視点ー(2013/04/18)
TPP:テレビ朝日「そもそも総研」での古賀 茂明氏との討論を終えて
実は、今回、テレビ朝日「そもそも総研」でTPPの討論を
行ったこと自体に意義がある。
経緯に次のものがある。
・3月14日(木)のテレ朝日「そもそも総研タマぺディア」に出演して
TPPに関して「日本が交渉参加しても先発9か国がすでに決めたことを
変更できない」ことと「ISD条項によって米国大企業が日本の国内法や
規制の不当を訴えて日本政政府に莫大な賠償金を請求することができる」
の2点を指摘した。
・大西英雄自民党衆議院議員は3月21日にNHK予算案を審議する
衆議院総務委員会で孫崎氏を「とんでもないことをTVでしゃべっている」
と批判 しNHK会長にNHKに出演させるべきでないと述べた。
この動きは明らかに政府に不都合な発言をするものに対する言論封殺の
動きである。
NHKが大西議員の要求にどう対応しようとしているか不明である。
しかし、発端のテレビ朝日「そもそも総研」が再度、TPPのISD条項を
取り上げた。少なくとも「国会での発言に容易に屈しない」ことを示した。
このこと自体大変に重要であると思う。
しかし、テレビ朝日「そもそも総研」は一つの安全装置を埋め込んだ。
私の論に対して、推進派の論客古賀茂明氏をもってきて、
論争をさせる形態をとった。
ーー
以下対立点が明確になるように意見と反論を並べ直して書きます。
孫崎
ISD条項によって、「企業の利益確保の理念が国家の法律の上に行く制度である、
したがって国家主権が侵される」というものである。さらに法律は、生命、健康、環境、社会格差の是正など様々な要件で決定される。
経済の効率化だけで社会を律せればよいというものではない。
古賀
・投資保護協定は、投資条約などで
3000以上の条約に盛り込まれている、
孫崎
・投資条約は多くの場合、法整備、裁判制度が
整っていない国に対してISD条項が
適用されている。これはそれなりの意義がある。
しかし、日本など法律、裁判制度等
整っている国に対して適用することになると、
その意義はすっかり変わる、
古賀
・経済に関する限り、自分の経産省の
経験では米国の主張が無茶苦茶ということは
あまりまく、日本の反論の方がおかしい
という時がしばしばあった。
孫崎
・かつての通産省は米国の要求を丸呑みする
ことはせず、しっかり反論していた。
しかし、現在の安倍政権では全く違う。
米国との事前協議が示すように日本は自分の主張を
とおす能力がない
古賀
・TPPにおいては農協、医師会など
既得権益を守りたい人が反対している、
・ISD条項の裁判を見ると、
かならずしも米国企業が一方的に勝っている
ものではない。
孫崎
・私は北米自由貿易協定(NAFTA)の
締結の頃、カナダにいた。
この時にはカナダでは自由貿易による利益のみ、
説かれており。
ISD条項は全く論議されていなかった。
・しかし今米国の製薬会社イーライリリー社が
カナダ政府を訴えている。
これは薬品の特許を付与するに際して、
裏付けのデータが不十分(22の患者を対象に
1治験)であるとして、カナダ最高裁判所までいって
付与をしない決断がされたものである。
これに対してイーライリリー社はISD条項を
用いて1億ドルの損害賠償をカナダに要求
している、
・米国の関税は2%程度でほとんど日本の輸出に
影響がない。
かつ日本の輸出でみると対米輸出は15.5%程度、
他方東アジアは38.5%程度。
日本にとっての重要度は東アジアになっている。
東アジア諸国はTPPに参加しない。
孫崎
これらの論点に対する古賀氏の明確な反論はなかった。
TPP賛成論者は「米国に追随して悪くはなかった。
だから今後も大丈夫だ」の論の域を出ないようだ。
参考
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/63909911.html
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