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2013年5月11日 (土)

「新日本歌人」2013年5月号を読んで


十二回目の「新日本歌人」誌の感想文です。
今回は次の6つについて書きます。

1.10首選
2.ピックアップ歌人
3.読者歌壇から
4.わが短歌人生<歌と時代と協会と>(五)(田中収)
5.銃後の子供から育って(杜澤光一郎)
6.石川啄木と杉村楚人冠(二)(碓田のぼる)

1.10首選
1.美しき青き星に銃声の絶える日のなし 地球よ鎮まれ p8 兵庫 安武ひろ子
2.智恵子のいう「ほんとうの空」は戻るのか低線量被曝におびえる福島 p9 大阪 山本栄
3.被災地の修復されし除夜の鐘 仏も人が支えねばならぬ p9 北海道 山本司
4.三十年の歴史を秘めて閉ざさるる前進座劇場と別れゆく夜 p12 東京 浅尾務
5.もう一度女に生まれたいと言うはなしされど男もねと思案はしきり p12 東京 有村紀美
6.わが無聯慰めんとやキクイタダキ二羽つれだちて梅に遊べり p19 福岡 加来和江
7.ショーウンドーにうつる右肩傾ぐる者右手あぐれば左手をあぐ p33 熊本 神田武尚
8.「原発廃炉」のリズム良き声聞こえくる地下駅の段かけ上り行く p35 長野 黒田晃生
9.蒸発する気持ちが判るとう業者に子、孫の自慢を言わせ励ます(特選) p66 東京 稲邑明也
10.TPP、消費税、デフレ。
爪に詰まった土に
  答えていない。p70 京都 井口牧羊

2.ピックアップ歌人
左目と右目の成分が異なるようで...君を見つめる p44 福岡 田村柚

3.読者歌壇から
亡き父の手帳に幾度も我が名見ゆ真知子が来た真知子が帰った p95 熊本 竹山真知子

4.わが短歌人生<歌と時代と協会と>(五)(田中収)
仲間たちー支部、近県集会、総会ーと題があるとおり新日本歌人協会の東海地区の歴史を纏めている。
中で浅野純一が「無産者口語運動」を語るのに口語歌に重点をおいた大隈信行と無産者に力点を置いた大塚金之助という分類をしている事を学んだ。
「まるめら」に発表された大塚の「無産者短歌」という文章が導火線となり、当時の歌壇を驚かし「新興歌人連盟」「無産者歌人連盟」といった短歌革新の炎を燃え上がらせた事も学んだ。
1986年の東海近県集会の写真が掲載されていたが今は亡き宮前初子さんなどの写真が懐かしかった。

5.銃後の子供から育って(杜澤光一郎)
戦争中の空襲の経験や中学校の「あたらしい憲法のはなし」との出会いや教職員組合に参加した時の事などが書かれている。「あの頃の明るさや快活さや元気さは、何だったのだろうか」とも述懐している。
こういう自作の歌を紹介している。
生存権なる条文を憲法にさがし読む「孤立死」も他人事と思へず 光一郎

6.石川啄木と杉村楚人冠(二)(碓田のぼる)
我孫子に住む碓田さんの我孫子の人杉村楚人冠の二回目です。
碓田さんのこういう仮説が出て来る。
啄木が大逆事件で筆写した幸徳秋水に「陳述書」を楚人冠の所に持って行ったのは「啄木は楚人冠の事を密かに研究し、秋水と楚人冠を結ぶ多くの情報と、深い結びつきを知っていたのではないか」というのだ。
楚人冠は啄木の死迫る病床に多額のカンパを届けているがその啄木の気配を感じとったからではないかと想像しているいう。ありうる話だろう。

取り上げられている二つの歌を紹介しよう。

既に幾年白髪抜きつつ文字を売る十二の骨を葬りて後 堺利彦

「文字を売る」は文字通り堺の生活の糧であった売文社の事であり「十二の骨」は大逆事件で死刑となった幸徳秋水以下12名の骨です。

トルストイの日露戦争論を写せりと読みて聞かせりわれも読みしを 土岐善麿

読売新聞の記者であった土岐善麿は以下のことを知っていたに違いないという。
トルストイの「日露戦争論」の英訳を入手した楚人冠は幸徳秋水に写しを渡し、楚人冠の行ったトルストイの論文の訳は16回にわたり朝日新聞に連載されたが堺利彦と幸徳秋水の行った訳は「平民新聞」に一回で一挙に掲載されたので朝日のスクープとはならなかった。楚人冠は明治の社会主義運動に対する敬意から「平民新聞」に花を持たせたという。この歌は歴史の証人でしょう。
以上です。

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