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2013年6月27日 (木)

よくわかるTPP48のまちがい2

「よくわかるTPP48のまちがい 鈴木宜弘・木下順子著 TPPが日本の暮らしと経済を壊すこれだけの理由 農文協ブックレット」二回目の要約です。
今回は25-48です。


25 FTAの増加は世界に自由貿易が広まる望ましい傾向だ。
これは間違いである。FTAは「悪い仲間作り」なのである。貿易自由化と言っても本質は特定の国を優遇する「市場の囲い込み」(金子勝)なのである。アジア諸国互恵的な関係を

26 例外措置が少ないほど優れたFTAだ。
これは間違いである。協定国以外に迷惑をかける全関税をゼロにするFTAの方が悪いFTAである。TPPとほぼ同義の日米FTAで全ての関税をゼロにすると「その他の世界」が46億ドル被害を受ける。

27 農業分野が障害となってFTAが進まないからTPPしかない。
これは間違いである。多くの場合工業で難行している。例としてチリとの交渉では日本の銅板の実効関税は1.8%だが、国内の銅関連産業の利潤率低く関税を守っている。

28 農業のせいで国益が失われるーTPP問題は「農業保護vs国益」の対立だ。
これは間違いである。1.5%の為に98.5%を犠牲にするのかのわずか1.5%という考え方が問題。北海道や九州は食品が製造業のメイン。輸出は15%しかない。

29 関税を撤廃しても農家には所得補償があるから大丈夫。
これは間違いである。米価の下落が続けば補填されない部分が出る。TPPで米関税を10年で全廃すれば米価下落でそれが多くなる。毎年消費税2%分4兆円の補填が必要となる。

30 輸入米価格は、自由化の被害を過大に見積もる60kg3千円ではなく9千円程度と見込むべきだ。
これは間違いである。9千円と仮定するとゼロ関税での補填は7500億円となるが中国米、アメリカ米、豪州米全て3千円以下である。

31 ゼロ関税まで10年の猶予があれば、農業はコスト削減して補填の財政負担を縮小できる。
これは間違いである。日本の土地条件で10年でコストを半分は無料、大規模化が効率化の要素だが規模拡大やコストダウンだけではない。

32 補填財源が足りなければ対象を大規模農家に絞ればいい。
これは間違いである。中山間地域は面積でも生産でも4割を占める。兼業農家が稲作の7割を占める。日本型農業の持続可能な強さは兼業農家の継続を後押しする事から生まれる。

33 世界の米の生産余力は限られているし、高品質な日本の米は負けない。
これは間違いである。豪州は5万tしか今は作ってないが過去には100万t作っていた。旨いと定評のある加州米は増産可能である。品質も生産量もダイナミックに動く。

34 貿易を自由化して競争すれば強い農業ができる。
これは間違いである。耕地面積は日本は1.8hだが豪州は3385hである。米価格は3分の1である。乳価も1kg当たり70円対19円で3分の1以下である。FTAでは多様な農業主張していた。

35 競争を排除して既得権益を温存していては成長できない。
これは間違いである。1%の勝者の利益が大きく99%の敗者が苦しむ構造は不幸せな社会である。貿易ルールは輸出国に有利に出来ているので、自由化によって格差が広がる。

36 牛丼が100円安くなるならTPPに参加したほうがいい。
これは間違いである。日本の市場開放は既にかなり進んでいるので関税撤廃や規制緩和をしても安くなる輸入品は限られている。日本が輸入を増やせば国際価格は上がる。

37 安さの追求は効率性の追求である。
これは間違いである。 米では遺伝子組み換えの成長ホルモンを乳牛に注射して生産量の増加を図っているので乳がんや前立腺癌の発生率が高まっている。製薬会社、国、大学の間の交流が原因。

38 日本農業は過保護だからTPPによるショック療法が必要だ。
これは間違いである。真実は逆で、日本の農業保護度は低い。農業所得に占める直接支払(財政負担)の割合は日本15.6%、米平均26.4%,米コメ58.2%、仏90%.英95%

39 日本の農産物が高いのは価格支持政策のせいだ。
これは間違いである。むしろ日本は、世界に先駆けて価格支持政策を手放した先進国唯一の「優等生」なのである。品質やサービスや安全性が優れていれば消費者は買う。

40 国土が狭い日本だから食料自給率が低下するのは仕方がない。
これは間違いである。英国は農家支援で自給率を40%から65%に上げた。(独80%,仏110%)国民の命に直結する食料生産は公益事業と同じで自国で守り抜く国の覚悟要

41 日本は食料自給率引き上げが無理なのだから、あきらめて輸入依存の道を行くべきだ。
これは間違いである。米は1兆円の農業保護のお陰で輸出国になっている。(日本は守りの保護で3400億円)TPPは、日米の従属関係を永続化する。

42 施設園芸が成功しているのだから稲作も大丈夫だ。
これは間違いである。水田稲作を規模拡大しても10-15haを境にコストダウン効果は打ち止めになる。土地の制約を受けにくい施設園芸と土地利用型農業は違う。施設園芸価格も不安定

43貿易を貿易自由化が不十分だから世界の食料供給は不安定化する。自由化を推進すべきだ。
これは間違いである。貿易自由化を徹底する程世界の胃袋は少数国に支配されて、価格高騰や食料安全保障のリスクを増幅する。

44協定を結んで輸出規制を禁止し、安定供給の確約を取り交わせばよい。
これは間違いである。国民への食料確保は国家の第一の責務なのに後回しにして他国への輸出を優先する国はない。どんなルールも友好関係も実効性ない。

45そもそも非効率な産業に補助金を投入する道理はない。
これは間違いである。水田には外部効果として洪水防止、地下水涵養、水質資源、窒素循環、生物多様性保全、土壌崩壊防止等多面的機能がある。米の生産は食料安保。

46生産を維持するには高関税ではなく直接支払い制度のほうがよい。
これは間違いである。米関税をゼロにして全額直接支払いにすると2兆円と膨大である。また、日本のように需要が大きい国が輸入を増加させれば国際価格は上昇する。

47 TPPを契機に規模拡大してコストダウンすれば「強い農業」になる。
これは間違いである。日本の農業は小規模なので生産者と消費者の繋がりが大事。スイスではミグロという生協が食品流通の7割を握っているので価格形成可能。

48 強い農林水産業になるための対象がないではないか。
これは間違いである。水田の4割も抑制する為に農業予算を投入するのではなくやる気のある経営を支援すべき。食料安保は防衛予算、海外援助予算。定年帰農等新規参入支援を。

あとがき
アジアやEUとのFTAの選択肢があるのになぜ「最悪のFTA」TPPか。責任回避と保身ばかりを考え、見返りを求めて生きていく人生は楽しいだろうか。残された生涯を、人々の為に我が身を犠牲にする気概を持って尽くす覚悟を。

以上です。
この最後のあとがきに筆者の決意の程が溢れています。
知ってしまった者は伝える義務がある。
そう思ったのが私がこの48項目の概要を纏めた思いです。
Twitterに流す為の140文字では限界がありますが最も肝の部分を書かざるを得ませんでした。
一言で訴える内容としてはTwitterは向いていると思います。

TPPは希代の悪協定です。7月23日正午の日本の交渉参加まで時間がありません。
参議院選挙と同時進行の大きな国民運動をおこしましょう。
対話でも集会でも演説でも使えると思います。
そのために作りました。
皆さんの持ち場立場でご活用頂ければこれに勝る幸せはありません。

6月27日 大津留公彦

以上
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