宇都宮けんじさんの「希望社会の実現」を読んだ
宇都宮けんじさんの1月23日発売の最新刊「希望社会の実現」(花伝社)を読んだ。
一言で言うならば「人にやさしい政策のマルチイシュー」の本だ。
項目は以下の4つです。
1.人にやさしい社会を
2.司法を人権擁護委にためにー日弁連会長の経験から
3.2012年、都知事選をたたかう
4.我が歩み
この本を買ったのは1.16の拡大選対会議の場でした。
まだ印刷が出来たばかりの日でした。
本を買っている時隣で本を買っている人がいるので見てみると宇都宮さんでした。
「先生、自分で自分の本を買うんですか?」
と聞いたら「いや~僕のところには一冊もなくてね~」
とその日の特別価格千円で我々と同じように買っていた。
「宇都宮先生」(我々はこう呼ぶ)の人柄を感じられるエピソードだと思います。
さて中身の紹介です。
(TPPとグレーゾーン金利禁止法の事は昨日のSTOP TPP官邸前アクションの記事で紹介したので省略します。)
1.富の再分配について
トヨタの社長の2010年収入は約3億4千万円(2013年はもっと増えそうだが)負担する税金(所得税、住民税、社会保険料)は20.7%
給与所得者の平均収入413万円の労働者の税金は34.9%
つまり労働者の方が7割も税金が高いのである。
このからくりは
豊田社長の収入の3分の2は株主配当でそれは税率が10%だからであり、
社会保険料の掛け金は年収一千万が最高額となっておりそれ以上は払う必要がなくいからである。
日本には800兆円の個人資産があるというので1%の富裕税を掛ければそれだけで80兆円の税収になるという。
貧困と格差を解消するにはこの不公平を是正し富の再分配が欠かせない。
2.生活保護について
日本の生活保護の捕捉率は2-3割と言われている。
欧州は8ー9割と言われている。
この差はどこから来るか?
それは具体的な手続きを学校で教えてないから。
憲法25条は教えるが生活保護申請のやり方は教えない。
階層が固定化するような社会状況は改善しなけれないけない。
そのためには国のレベルでキチンと対応しなければならない。
3.司法を人権擁護の立場に変える
戦後軍国主義に協力した軍人は追放されたが、メディア関係者や裁判官などは追放されなかった。
東京裁判で軍人は断罪されたが日本国民として戦争責任の追求運動を広げる事が出来なかった。
(このいわば戦犯政治が継続している事が今、安倍首相や田母神さんや百田さんの問題発言に繋がっていると思う)
ドイツでは今でもナチス協力者の追求が行われている。
又、ドイツの裁判官の中には裁判官組合がある。
ドイツの憲法裁判所は戦後500件近くの違憲判断を出している。
ドイツは、個人の尊厳や基本的人権を守る観点から立法と行政をチェックしているので完成した原発についても稼働差し止めという判決が最高裁で出る。
(脱原発路線にドイツが舵を切ったのはこういう背景もあるのかもしれない)
権利や人権はたたかいとらないと自分のものにならない。
憲法改悪の動きはピンチだけどもチャンスに変えるいい契機だ。
4.リベラル結集の為の協同を
リベラルと呼ばれる人は小さな政策の差異で、党や運動が分裂してしまう傾向がある。
社民党や新社会党は掲げている内容は同じなのに別々になっている。
リベラルの人々の間には情勢分析を間違えず、正しい政策を立さえすればそれを実現する為の社会運動も自然発生的に広がって行くだろうという考え方が根強くある。
「こういう運動をしたら、いままでとは違った新しい層が関心を持ってくれるようになった」「こういう運動が、いま多くの人に受け入れられる新しいスタイルである」という運動論の積み重ねのほうが、政策立案や情勢分析の何百倍も求められている。
(今戦われている都知事選でも毎日のようにこういう実例が生まれている。この「宇都宮理論」は今まさに試されている。)
5.衝撃を受けた本
「わたしゃそれでも生きてきたー部落からの告発」(東上高志編、部落問題研究所)
その中の「うえだまさよ」さんという方が書かれた手記。
52歳で彼女は字が書けずひらがなをやっと同和教育の先生に習って書いた手記。
自分も貧しいと思ったが世の中には自分よりももっと貧しいと人がいると知った。
「小さな胸は燃えているー産炭地児童の生活記録集」(芝竹夫編、文理書院)
60年安保の少し後に大学に入った自分が知らなかった貧困の問題を理解し始めた。
大学ではみんなマルクスやエンゲルスを読んでいたが、自分は泥にまみれて魚をとったり芋を作ったりしていたのでそういう「理論」は胡散臭いと思っていた。
この二冊の本にはそういう「理論」ではない「現実」が詰まっているように感じて、自分自身の生き方を大きく問い返された。
この本の中では統一、協同という言葉が何度何も出てくる。
経団連は分裂せずまとまっている。
反貧困ネットワークは政治的な立場は様々だが纏まっている。
しかし
労働運動はナショナルセンターは3つに分裂しているし
平和運動は原水禁と原水協に分裂している。
要求を実現するには運動の統一が必要です。
この都知事選挙は複雑な要素を持ちましたが思いっきり闘い、ノーサイドの笛と同時に新たな協同運動の歩みを始めましょう。
以上の文章は正確な引用を期していませんので括弧は付けませんでしたが( )と一部以外は殆ど本の引用です。
是非原文をお読み下さい。
以上です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宇都宮けんじ「選対ニュース」配信登録希望の方は、メールの件名に「選対ニュース配信希
望」と書いてmail-magazine@utsunomiyakenji.com まで送信してください。
希望のまち東京をつくる会HP(http://utsunomiyakenji.com/)からも登録可能です。
宇都宮健児・井戸川克隆 未来を語る
(2月22日までダウンロード無料です。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
« 今1本化が公職選挙法的に違法な3つの理由 | トップページ | 「舛添さん!これはひどいで賞!」 »
「2014都知事選」カテゴリの記事
- 「微力だけれど無力ではない」(2015.02.20)
- 二人の弁護士の話(2014.03.25)
- 私たちは微力だが無力ではない(「希望のまち東京を作る会」の拡大選対会議)(2014.03.17)
- 家入・宇都宮対談のサテライト中継イベント(2014.03.08)
- 「私が東京を変える」2014東京都知事選総括(2014.03.03)
コメント